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平成24年 第3回定例会
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加藤和彦 定例会代表質問自由民主党・仙台の加藤和彦であります。前回の一般質問に引き続き、今回の大震災による停滞を取り戻し、その後の市の発展の構図を描く振興策を提案しながら、その中で振興策を位置づけて市民の活気を呼び起こす、市の発展への道について質問させていただきます。 (1)錦ヶ丘小学校新設に伴う関連施設の建設について 開校以来児童数の増加に悩まされてきた愛子小学校(児童数1,186、内錦ヶ丘地区の児童数758)は、錦ヶ丘小学校建設が軌道に乗り、平成27年度分離新設校を予定して建設に取り組んでいるところでありますが、その関連施設として団地市民から強い要望のあったコミュニティーセンター・児童館等の建設については、市の計画が示されないまま今日に至っておりましたが、今般建設案がまとまったと聞いて夢が実現する喜びをかみしめております。 つきましては、その概要についてご説明をいただきたいと存じます。 (2)広瀬中学校の仮設校舎賃貸借について 広瀬中学校は宮城地区中学校の中心的存在でありますが、近年生徒数の増加で施設設備が間に合わなくなり、平成25年度から5年間、仮設校舎賃貸借の契約を結ぶことになったとのことです。そこでその概要についてご説明いただきます。 【広瀬中学校生徒数の推計】
賃貸借契約終了時までには、何としても分離新設校により生徒数を中規模化して詰め込み学校を解消すべきであると考えます。これは万人等しく認めることであります。そこで広瀬中学校の大規模校解消については、現在の学校施設整備計画には盛り込まれていないが、将来の愛子地区の発展と人口増加に対応するには敷地の確保と建設計画を大至急進める必要があると考えますが、当局の考えをお伺いします。 2.愛子地区(下愛子地区・上愛子地区)の将来に向けた使命と発展計画について 私は平成22年第4回定例会一般質問において、山の手新都心構想を掲げ、新産業の誘致とスポーツ振興を唱えましたが、愛子バイパスの延伸構想の計画化は、いまだに棚上げ状態です。今後の西部地域の発展を考えれば必須であります。実現すれば新都心は上愛子地区全域を含めた新しい考えによる利用計画の設計が必要になると考えます。当然現在の市の方針に反するが、市街化調整区域の解除が必要になる。現在は松原工業団地を研究・開発・生産施設地区として工場等産業施設の立地を図る計画になっているが、バイパスが延伸するとなれば、それどころではなくなることは火を見るよりも明らかであります。 バイパスによる交通渋滞の解消は当然として、その沿線の活用が重要であると考えます。それは仙台市の発展に寄与するばかりか、最先端を行く新情報や新製品の交流による国内はもとより世界を股にかけたものすごい大きな力を発揮すると期待されます。東日本大震災の際、無傷で残ったのは市内で愛子地区だけであります。それだけ地盤が強固であることが証明されて、建造物についての安全度が高いため、各種の施設を誘致するのに非常に有利であります。 そこで私は次のような提案をまとめました。 (1)まずは、上愛子の赤生木、大針、倉内の農地をA地区、上愛子の二岩、岩本前ほかの農地をB地区、総合支所の南側の農地をC地区、総合支所の東側をD地区とし、これらの愛子地区(下愛子地区・上愛子地区)の農地を地域発展の起爆剤として市街化調整区域の解除を求めます 。
(2)転用農地の利用計画を明確にします。
①A・Bの地区は研究開発に没頭できる地域として有望であります。自然に囲まれ静かなところで思いっきり精魂を傾けて作業できる地域で、中核施設と新分野の進出が期待されます。
②C地区は松原地区にある体育館・グラウンド・その他のスポーツ施設・関連施設の移転先となるほか、新設中学校の敷地として優先度の高い地域となる。
③D地区は総合支所中心の行政機関・大規模道の駅用地その他、一部商業施設と栗生地区との4車線道路の取り付けで東部商業地域に結ぶ。大駐車場の設置によって物と人の流れ・情報の流通が盛んになり、愛子地域のみならず仙台の街に強烈な活気を呼び込む重要な地区となる。なお、詳細については当局と打ち合わせながら計画し、議会に諮ります。
(3)松原地区に物流機能を持つ施設を建設し、大和工業団地への交通機能を充実してほしい。愛子バイパスの延伸により物資の交流は何倍にもなり、東北高速道路への連結で 従来の常識を破る大発展が予想される。仙山交流の道でもあるため、物流機能を持つ施設を備えれば、松原と大和地区の工業団地を直結する物流ができるため、道路の整備が必要になる。これらの計画案は地元の中・高校生と膝を交い、将来の地域の街づくりを話し合ったのがベースになっております。 この愛子地区の将来に向けた使命と発展計画について、どのような取り組みをなされるか、強い期待を持って仙台市のお考えをお伺いします。
3.科学技術開発の促進・推進について
仙台市天文台が錦ヶ丘に建設されてから、市民の意識が従来と変わりつつあります。火星に着陸してそこの映像が映し出される時代になり、夢でなく現実であることで子供たちの宇宙への関心が高まり、天文台の果たす役割も一段と重要さをましています。一方、東日本大震災と原発大爆発以来、原子力依存からの脱却が国民の意識に根付き、電力会社の需給関係の綱渡り状態から、節電を始め省エネルギーが全国で主流になり、これまでの生活習慣を見直す時代になりました。自動車ではハイブリッド車が多く選択され、暖冷房機・冷蔵庫などは消費電力が少ないほどよく買われる。またレアメタルは中国の輸出規制で世界中で血眼で産地を求め、輸入先の分散化を図っているのが現状であります。しかし日本国周辺にはレアメタルが豊富に存在することが分かり、今後の開発に期待が寄せられております。このような時代に各市が科学技術開発にしのぎを削っているのは、新産業の開発、産業技術の高度化、市民の生活の安定、ひいては市の発展、税収の伸びへの期待、国内外の評価を高め市民の誇りに通ずるからであります。
(1)仙台市の現状
そこで仙台市はどんな現状でしょうか。JAREC財団法人全日本地域研究交流協会の資料によると、
①仙台市の科学技術振興策の戦略ビジョン 大学等の知的資源の集積を活用し、自立した経済基盤を確立するため、地域経済を支える中小企業の新製品開発や新事業展開などを支援するとともに、本市の知的資源や産業の特性を生かした新産業の創出に向け、取り組んでおります。
②自治体の主体的取り組み 地域企業の新製品開発等を支援するための事業として、地元大学の教員4名を地域連携フェロー(本市非常勤嘱託職員)として採用し、地域企業からの相談を待つことなく積極的に企業を訪問し、その的確なアドバイス等により多数の新製品等の成功事例を生み出している仙台発の産学連携の成功モデルとして全国的に注目されている「御用聞き型企業訪問事業」を実施しています。
③今後の重点的取り組み 「御用聞き型企業訪問事業」については、今後も「困りごとを聞きに行く」という地域企業の目線に立った積極的な取り組みを堅持し、地域企業の業績向上に結びつけ、地域産業の活性化を推進します。また「仙台MEMS産業クラスター創生事業」については、地元大学に集積するMEMS技術を活用した事業化、製品化等を支援し、MEMS技術に関連する新産業・新事業の創出を図ります。「仙台フィンランド健康福祉センター事業」については、同センターをプラットフォームとして、仙台およびフィンランドの企業、大学等の連携によりIT等を活用した健康福祉機器・サービスの研究開発、事業化を促進します。「広域仙台地域知的クラスター創生事業(第Ⅱ期)」については、市民ニーズと研究・開発を結びつけるプラットフォームづくりに向けた取り組みを推進していきますと記載してます。 私は、市の将来の技術開発・産業の育成などの視点から見て、強いリーダーシップが感じられない、弱腰の振興策であると断じざるを得ません 。
私なりに各市の状況を読み取ると、いずれも産学提携、産学官提携、産産提携などの組み合わせで組織化し、相互に情報を交流しながら目標達成に向けて努力していることが分かる。中に中核施設を設けるとか、市のセンターが仲介役を引き受けるなど方式は異なっても、その役割を果たす組織が備わっていることが確認できる。 都市規模の大小により、
①大学や高度技術を持つ大企業が多数ある場合は総合的に先端技術を開発するし、比較的小規模の場合は少数の技術に特化して味深いものを研究開発する。
②古い都市では伝統文化に根ざした地域性を活かしたものを対象とするし、最近規模が拡大した都市では現在地域で求められているものを対象とする。
③歴史的に工業の発達の分野が特色を持っている都市ではそれに関連して技術を開発するし、市内に希少価値のあるものを産出する都市では、国内外にかかわらず広く社会に貢献できる分野を選択して開発する。
④数ある大企業が存在している都市ではそこで所有している開放特許を中小企業に活用させるか、少数でも先端的研究の盛んな都市では逆に大企業が求めているものを新技術で製品化してその産業全体に貢献する。 などの見方ができる 。
(3)本市の技術開発の成功例
本市では技術開発の成功例として、地域企業と地域連携フェローの連携による新製品開発事例(御用聞き型企業訪問事業)として、
①PBセラミックス粒子を配合したソール材を用いることで対滑性を向上させた滑らないサンダル
②特殊な表面仕上げを施すことで水に濡れた場合の対滑性を向上させたコンクリート平板
③PBセラミックス粒子を配合することにより、雨天時でもグリップ力の落ちない対滑性に優れるレース用自転車タイヤを挙げているが、いずれも社会的インパクトが小さいことは否定できないであろう。
(4)資料から得られる本市の科学技術開発の水準
(5)本市の特色を発揮し実態に即した科学研究開発分野の選択
(6)本市の科学技術開発の振興のための組織的改革 宮城県では、宮城県産業技術総合センターを立ち上げ、事業支援力の向上による充実したサービス提供を目指しています。県の重点産業である自動車関連・高度電子機械・食品製造の支援はものづくり支援につながり、県内の産学官ばかりか近県の公設試、産総研との連携支援に繋げていくとのことです。 足下の東北大学には未来科学技術共同研究センターがあり、開発研究部では次の5つの特色を持った組織が活動しています 。
①産学連携(現実の課題の解決、実用化)
②先端的かつ独創的な開発研究
③期間を明確にしたプロジェクト型研究(3~5年計画)
④大規模な開発研究
⑤主として外部資金による研究の推進 このように本市を取り巻く科学技術開発に対する取り組み方は急速に進歩しており、このままでは従来の水準のままになってしまうのは当然で、大震災からの復興、振興を目指す本市としては、他の市以上の実績を上げるのには今後の研究開発組織のあり方、取り組み方をどのようにして本市の産業の中核となる工業の振興を目指すお考えなのか当局のご見解をお伺いします。
(7)本格的な研究開発の拠点づくり
大方の政令市では、研究開発の中核となる拠点を設けて、産学官の連携を図り技術の交流を推進しています。共同研究も盛んに行われ、新技術、新産業の創出が実績を上げています。もう御用聞きの時代から脱皮しなくてはいけない時期ではないでしょうか。
大震災で東北大学でも実験用の機材が破損し、復旧に長い時間と莫大な費用がかかったといいます。もし地盤の堅固な地域に建造物があればこうした被害は防げたと思います。今後高額な実験用機材や資料を蓄積するならば、被害の出にくい場所を選べば、実質的に経済的であると考えます。本市では唯一愛子地区が無傷であったことを確認しています。 市では愛子地区を次のように位置づけています。
①都市の緑や景観を守り育み、杜の都にふさわしい緑豊かで美しい市街地
②市街地ゾーンの中で「鉄道沿線地域」として位置づけられ、「交通利便性や地域の中心としての機能を活かして、生活環境の充実や居住機能の一層の集積を図る」
③周囲の自然や景観などとの調和の取れた良好な住環境を有する地域
④JR仙山線や仙台西道路など都心へのアクセス機能に加え、東北自動車道宮城ICが間近にあり、東北各地との結節も有する
⑤市内では突出した人口増加の著しい地域であり、急速な定住人口の増加が加速し、新しい街づくりが求められている。
今後さらに効果的に科学技術開発研究の中核施設や資料の収蔵所・重要な実験装置の移転先として集中させるとしたら、あらゆる環境が優れている愛子地区のA,Bを推奨したいと思いますが、当局のご意見をお伺いします。
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