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加藤和彦議員定例会一般質問に対する回答1 認知症対策について
(初期症状の啓発について)
認知症に関する啓発についてのお尋ねにお答えを申し上げます。
現在からは40年以上前の話になろうかと思いますけれども、小説家の有吉佐和子さんが「恍惚の人」という本を出されたのが昭和47年でございまして、ただいまお話にございました、この認知症の問題が広く世に提起されるきっかけの1つであったのではないかと考えるところでございます。当時は、限られたご家族の方々を中心とした、いささか孤立無援な中での活動であったと記憶をいたしておりますけれども、その後多くの方々のご尽力にもより、次第に支援の環境とその輪が広がり、現在では関係の皆様と私ども行政が広く連携をして対策を進めるという状況となっていると認識をしております。
今後、高齢化に伴いまして、認知症の方がさらに増えるものと見込まれますけれども、まずは、認知症の方と日常的に接する機会が多い、ご家族や周囲の皆様が、認知症について正しく理解を持ち、早期に発見していくことにより、適切な治療やケアに結び付けていくこと、このことが認知症の進行を遅らせることにもつながると考えているものでございます。
このような考えから、本市では、ご家族や周囲の方々が、認知症を正しく理解し、早期の気付きにつなげることができるよう認知症に関する教室や認知症サポーター養成講座などを開催いたしますとともに、地域の「かかりつけ医」の皆様が、認知症専門医との連携を高めるための研修も実施しているところでございます。 今後とも、仙台市医師会、介護事業者、家族会の皆様などと連携をし、認知症は高齢社会において誰でもがかかりうる疾病であるということを多くの方にご認識していただけるよう、様々な機会を捉えて市民の皆様への啓発に努めてまいる所存でございます。
(地域包括支援センターの役割の周知について)
地域包括支援センターの役割の周知についてでございます。
地域包括支援センターは、その担当圏域における認知症対策として、早期発見・早期対応のための支援体制づくりを進めるとともに、本人とそのご家族への相談・支援を行っております。
今後、センターが地域包括ケアシステムのコーディネーターとしての役割を果たすためにも、民生委員児童委員、町内会や地区社協など、地域の方々との連携をより一層強化する必要があると考えております。
(若年性認知症の啓発について)
若年性認知症の啓発についてでございます。
若年性認知症の方は、働き盛りの時期と重なるため、最初に職場において異変に気付くことが多く、職場内での正しい理解が必要とされます。
こうしたことから、今後本市では、商工会議所やハローワーク、協会けんぽなどの委員で構成する働く市民のネットワーク会議と連携し、職場内において、若年性認知症の方を早期に発見し適切な支援につなげていくための取り組みを行ってまいります。
(認知症の予防について)
認知症の予防についてでございます。
認知症患者の増加を背景に、認知症に関する様々な調査研究が行われており、その中には認知症に罹らない体質づくりの研究もすすめられていると伺っております。
しかしながら、未だ明確な予防策が示されてはいないことから、本市といたしましては、そうした医学的な研究の動向を踏まえながら、必要な認知症対策を国に求めてまいりたいと考えております。
(市立病院での精神科医療確保について)
市立病院精神科の診療体制についてのご質問にお答えいたします。
当院の精神科は、これまで認知症疾患医療センターとしての機能を併せ持ち、認知症の鑑別診断や、身体合併症と周辺症状への対応等のほか、地域の保健・医療・介護関係者等との連携を推進することで、一定の役割を果たしてきたところでございます。
しかしながら、精神科医の減少により、現在、その機能を停止せざるを得ない状況でございます。全国的に総合病院に勤務する精神科医が減少している厳しい状況の中で、当院といたしましては、当面は地域において拡充が強く求められている、身体疾患と精神疾患を併せ持った救急患者を対象とする「身体合併症精神科救急医療」に重点を置き、医師の負担軽減等勤務環境の向上を図りながら、必要な医療提供体制の確保に全力で取り組んでまいりたいと考えております。
(介護施設の状況について)
介護施設の状況についてでございます。
認知症高齢者を受け入れる施設としては、特別養護老人ホーム、認知症高齢者グループホーム及び認知症対応型の通所施設があり、現在、全体で152施設、4,803人分が開所しており、今後の開所は22施設、871人分が予定されております。 これらの施設へのニーズは高い状況にあり、施設整備を着実に進めることが必要となりますが、介護職などの人材確保が課題と考えております。
今後とも、事業者と連携し、人材確保につながる、職場環境の改善に関する意見交換や人材育成の研修などに取り組んでまいります。
(地域で暮らすことの意味について)
認知症を自覚できない方への対応についてでございます。
認知症の方、本人にとりましては、認知症に気付かない、あるいは認知症と認めたくないという気持ちが強いことがあり、家族を含め周囲の方が気付きが大事でございます。
こうしたことから、家族や周囲の方が気付いた場合には、速やかに地域包括支援センターに情報提供し、早期の対応につなげることが重要であると考えております。
(地域で安心して暮らす上での課題について)
認知症の方が地域で安心して暮らす上での課題についてでございます。
認知症の早期発見の中核は、地域包括支援センターであり、医療的な判断も含めた早期対応については、認知症疾患医療センターを含む医療機関でございます。
現在、本市には病院型の認知症疾患医療センターが1か所、診療所型が1か所あり、認知症の鑑別診断を行っております。
今後とも、認知症の方が、必要かつ適切な医療や介護などのサービスが受けられますよう、支援体制の構築に努めてまいりたいと考えております。
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