仙台市議会委員 加藤和彦のHP。活動及びプロフィールなどのご紹介。

 

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定例会代表質問に対する回答

 
 
1 市長就任2年目を迎えた所感について
(具体的な施策について)
(市長のリーダーシップについて)
 人口減少時代を見据えた課題認識と私のリーダーシップについてのお尋ねでございます。
 人口減少・少子高齢化の波は、ここ仙台にも押し寄せておりまして、昨年、本市の人口の自然減が見られるなど、いよいよ本格的な人口減少局面に入ろうという、迎えつつあるということだろうという風に思います。
 私はこの就任来の1年、教育や福祉の分野をはじめとした喫緊の課題への対応に力点を置きつつ、自ら現場に足を運ぶことに重きを置いてまいりました。
 こうした中で、本市は、復興の総仕上げに向けた取組は当然のことながら、人口減少社会を前に「真のポスト復興」のステージへと、ギアをチェンジする時期、との気持ちを強く持っているところでございます。
地域経済の活性化や交流人口の拡大はもとより、投資対象として魅力ある都心部の再生も課題でございます。また、市内の地域政策では、市民協働のもと、豊かさを実感できる地域社会を持続的に確保していく、このことにも取り組んでまいらねばなりません。いずれも中長期的な視点に立った戦略的な行政運営が重要と認識をしておりまして、先日骨子をお示しをいたしました本市の経済・観光の分野の戦略につきましても、こうした考えから策定を進めているものでございます。
 人口減少時代にあってもなお、活力ある街・仙台の実現に向けまして、引き続き多くの皆様方のご意見をいただきながら、仙台のリーダーとして果敢に施策を展開してまいる考えでございます。
 
2 平成29年度決算に対する認識と今後の見通しについて
 財政状況の認識と財政構造の弾力性の確保についてお答えいたします。
 平成29年度決算は、市税が堅調に伸びる一方、義務的経費の割合が歳出の半分以上を占める等、臨時の財政需要への余裕がなく、財政構造が硬直化している状況と認識しております。
 人口減少や少子高齢化の進展等により、歳入の大幅な伸びが見込めない中、扶助費の増加や道路、橋りょうといったインフラ施設等の老朽化対策など、各般の課題にしっかりと対応するためには、安定的な自主財源の確保が重要と考えているところでございます。
 このため、持続的な経済成長や交流人口拡大による魅力と活力の創出など、将来にわたる税源の涵養等を積極的に進めるとともに、選択と集中による予算の適正配分を徹底し、弾力性ある財政構造を確保してまいります。
 
3 本庁舎建替えと老朽化対策について
 本庁舎建替え等に係る財源についてお答えいたします。
 現在、公共施設の長寿命化や計画的な更新を図る目的で、公共施設保全整備基金を設置しているところでございますが、今後本格化する本庁舎の建替え等に備え、同基金の一部を新たに「市庁舎整備基金」として独立させて設置することを検討しております。
 こうした基金の活用も視野に入れながら、本庁舎のみならず区役所庁舎等を含めた公用施設の老朽化対策を長期にわたり確実に進めていくとともに、あわせて市有地売却等にも積極的に取り組むことにより、必要となる財源をしっかり確保してまいります。
 
4 経済成長戦略と交流人口ビジネス活性化戦略について
(環境分析について)
 地域経済活性化に向けた2つの戦略の策定に関する環境分析についてでございます。
戦略の策定にあたりましては、人口動態や転出入、就業実態、旅行者の動態のほか、地域経済分析システムRESASを活用した地域内の経済循環等について、現状や実態の把握・分析に努めてまいりました。
 経済成長戦略におきましては、市内の企業所得の一定割合が域外に流出していることや、域外からの所得を稼ぐ産業が減少傾向にあることから、地域経済を牽引する企業の輩出を重点プロジェクトとしたところでございます。
 また、交流人口ビジネス活性化戦略に関しましては、観光以外の目的で来仙される方々が全体の半数近くおりますことから、その方々の宿泊促進などを重点プロジェクトの一つに位置づけたものでございます。
今後とも地域経済に関する様々な最新のデータを分析しつつ、現場の生の声も踏まえながら、戦略の策定・実施に向けて取り組んでまいりたいと存じます。
 
(地域の魅力を生かした経済政策について)
 本市の魅力と活用についてでございます。
 経済分野における本市の最大の強みは、東北大学をはじめとする学術・研究施設、また、ICT企業の集積、放射光施設の立地にあるものと認識しておりまして、これらと地元企業や産業を掛け合わせる取組みの充実を図ることで、地域産業の高度化を図ってまいりたいとこのように考えているところでございます。
 交流人口の拡大にあたりましては、滞在時間を延ばして、消費を拡大するための体験型観光が重要となってきていることから、その担い手である地域の人材を最大の魅力ととらえて、こうした方々の発掘、育成に努めてまいりたいと考えております。
引き続き、本市の強みとなる魅力をさらに磨きをかけまして、最大限活用することによって、持続的な成長発展に取り組んでまいりたいと思っております。
 
(地域への展開について)
 プロジェクトの今後の展開についてのご質問にお答えをいたします。
東京一極集中の是正それから地方経済のコアとなる中枢・中核都市の機能強化が求められる中、これまで以上に地域特性を活かした取り組みが求められるものと認識しております。
このため、経済成長戦略におきましては、高い成長が見込まれる地元企業への徹底的集中支援、また、震災を契機とした社会課題解決の機運の高まりやICT関連企業の集積を活かした「クロステックイノベーション」これを掲げたところでございます。
また、交流人口ビジネス活性化戦略におきましては、旅行者に選ばれる都市を目指す「日本一の体験プログラム創出プロジェクト」を第一の重点プロジェクトとして位置づけたところでございます。
これらのプロジェクトの展開におきましては、企業や大学、金融機関はもとより、NPO法人等のソーシャルセクターや市民の皆様とも一体となり、東北各地との連携も強めながら、本市の特性を最大限に活かした経済成長と交流人口拡大に取り組んでまいりたいと存じます。
 
(東京オリンピック・パラリンピックに向けた課題への取り組みについて)
 東京オリンピック・パラリンピックについてでございます。
 キャンプ誘致につきましては、先月、イタリアの野球・ソフトボール連盟会長が仙台に視察に訪れた際に、市長が直接トップセールスを行ったほか、これとは別に職員をイタリアへ派遣しまして、バレーボール、サッカーの各連盟を訪問した結果、それぞれの連盟からは、本市を最優先にキャンプ候補地として検討したい旨お話をいただいているところでございます。
 今月下旬には、本市の働きかけにより、イタリアのパラリンピック委員会が、視察を予定しており、本市の受け入れ環境をアピールしてまいりますとともに、さらにイタリア以外の国につきましても、関係機関との折衝を鋭意進めているところでございます。
 利府町でのサッカー競技の開催に向けましては、本市としましても、これまでのスポーツボランティア活動の実績を最大限生かすなど、宮城県と連携して受入環境の整備に取り組んでまいります。
 
(ラグビーワールドカップに関する取り組みについて)
 ラグビーワールドカップについてでございます。
 本市では、大会の周知と機運醸成に向けて、仙台国際ハーフマラソンやラグビーフェスティバル in SENDAIなどにおいて、釜石市等によるPRの支援を行ってまいりました。
 また、本市が中心となって進める東北の観光案内所のネットワーク化事業へ、今年度より釜石市に新たにご参画いただき、釜石市への誘客や東北周遊の促進に取り組んでおります。
 引き続き、本大会に向けて外国人観光客の受け入れ体制をさらに強化していくとともに、今後も様々な機会を捉えて、ワールドカップの機運醸成に取り組んでまいります。
 
(東京オリンピック・パラリンピック開会式等への「東北絆まつり」参加について)
 東京オリンピック・パラリンピック開会式等への「東北絆まつり」の参加についてお答えします。
 東京オリンピック・パラリンピックは、世界最大のスポーツの祭典でございまして、東北の復興の姿を内外に発信する、またとない機会であるわけでございます。
 この間、4月には、私を始め6市の市長及び商工会議所会頭が揃いまして、吉野復興大臣、鈴木オリパラ担当大臣、森大会組織委員会会長に要望書を直接手渡したほか、6月には盛岡で開催されました絆まつりに、大臣をはじめ関係者をお招きし、視察いただいたところでございます。
 今後も、関連イベントへの絆まつりの派遣ですとか、関係者への働きかけを行うなど、議会の皆様方のご協力も得ながら、私自身、あらゆる努力をし、東北六県・六市としっかり連携することで、開会式等への絆まつりの参加を実現してまいりたいと考えております。
 
(県とのさらなる連携について)
 情報発信や県との連携に関するお尋ねがございました。
東北各県との繋がりの上に成り立っている本市経済にとって、東北全体の活性化に寄与していくことというのは重要であるとの認識のもと、これまで様々な取り組みを行ってきたところでございます。
 経済成長戦略におきましては「東北の持続的な発展への貢献」を取組みの視点の一つと位置付けました。また、交流人口ビジネス活性化戦略におきましても、東北全体への誘客促進を図る「東北ゲートウェイ推進プロジェクト」を掲げたところでございます。
 戦略の推進に際しましては、東北全体の成長という視点から、東北各県、とりわけ宮城県との連携を一層強化し、海外の販路開拓やインバウンドの推進に向けた国内外への情報発信をはじめ、私を中心とした積極的なトップセールスも行ってまいります。
 
5 (仮称)仙台市いじめの防止等に関する条例について
(県のいじめ防止条例との関係について)
(条例案策定のスケジュールについて)
(条例制定後の市役所内の連携等について)
(仮称)仙台市いじめ防止等に関する条例にかかる数点のお尋ねに対しましてお答えを申し上げます。
 現在,パブリックコメントや関係する各方面の方々からいただきましたご意見につきまして,整理をし,分析を進めているところでございますが,今後,これらに対する市としての考え方を明確にした上で,議会でのご議論も踏まえて,条例案として形を整えてまいりたいと考えております。
こうした作業を迅速に,かつ丁寧に進めて,来年の第1回定例会に条例案をご提案できるよう努めてまいりたいと存じます。
 条例制定後の市役所内の連携等についてでございますけれども,子どもたちをいじめから守るためには,学校や教育委員会にとどまらず,関係する組織が情報の共有を図りながら,それぞれの専門性を活かして,協力していじめ対策に取り組むことが重要と認識しております。
 こうした認識のもと,子供未来局におきまして,学校や教育委員会と関係機関や相談窓口との現在の連携状況を踏まえて,効果的な連携の仕組みを検討しているところでございます。
また,今年度,関係局区の次長等で構成する連絡調整会議を設置いたしまして,いじめ問題に関する情報の共有などを進めておりまして,今後,市役所内の連携を一層強化していく考えでございます。
宮城県の条例との関係についてでございますけれども,それぞれが定める内容に不整合や重複が生じることのないよう留意していくとともに,条例施行後の運用面におきましても,県との間で連絡を密にし,学校現場で支障が生じることのないよう進めてまいりたいと存じます。
 
6 教育環境の整備について
(教育関係予算について)
(学校へのエアコン整備の取組姿勢について)
 教育予算と学校へのエアコンの設置についてお答えをいたします。
 教育予算につきましては、様々な課題に迅速かつ的確に対応するために、必要な予算を確保するという考えのもと、これまでも、ソフト面の施策と併せ、錦ケ丘中学校の新設や老朽化対策、トイレの洋式化などハード面の施策も進めてきたところでございます。
 今後、いじめ防止対策はもとより、35人以下学級の中学3年生への拡充、学校施設の長寿命化に係る費用など、子ども達の学ぶ環境を整えていくためには、将来に亘って一定の財政負担が必要になってまいります。
 そのためにも、持続可能で規律ある財政運営を基本とし、各般の施策にメリハリのある予算措置を講じてまいる所存でございます。
 そのような中、今年の夏の厳しい暑さを踏まえますと、学校へのエアコンについては必要性が高く、設置に向け具体的な検討を進めてまいります。
 事業手法や整備期間、財源など引き続き精査すべき要素もございます。国からの支援も不可欠でございます。他の自治体と連携を図りながら、機会を逸することなく国等に対し、財政支援を強く働きかけてまいりたいと、このように考えているところです。
 
(学校へのエアコン設置の課題と検討状況について)
(学校へのエアコン設置の計画的な整備について)
 学校へのエアコン設置における課題等についてでございます。
 設置に向けては、市立学校190校に約 3,000の普通教室があることや、学校の長寿命化と教育環境改善のために、引き続き大規模改修やトイレ洋式化などの整備を行うことも踏まえ、検討していかなければならないものと考えております。
 機器の設置にあたっては、ヒートポンプの機種は電気方式とガス方式があり、設置費用やランニングコストにおいて優位性が異なることや、学校によって受電設備の容量やガス管の敷設状況の検討が必要であること、民間事業者との協力等複数の整備手法が考えられることなど、解決すべき課題を抽出し、その検討を進めているところでございます。
 また、設置する教室数が多いことに加え、これから大規模改修を迎える学校については、その工事との調整を図るなど、整備時期や財源等について速やかに検討を行い、実施に向けて計画を策定してまいりたいと存じます。
 
7 西日本豪雨を踏まえた本市の取り組みについて
 最近の気象を踏まえた警戒と備えに対する認識と今後の取組みについてお答えします。
 このたびの西日本を中心とした豪雨災害でも非常に激しい雨が広範囲で極めて長期間継続し、堤防の決壊や大規模な浸水により多くの命と財産が失われるなど、近年、豪雨災害の被害が甚大化し、その蓋然性も高まっているところでありまして、本市といたしましても豪雨災害に備えた取り組みをさらに強化していく必要があるものと認識しております。
 こうした状況を踏まえ、ハード面では、主要河川の改修等、より一層の事業推進が必要であることから、今後とも国と県、本市で定期的に情報交換を行い、継続して国への要望等を行ってまいります。また、ソフト面では、最新のハザードマップを活用した説明会の開催やホームページによる情報発信等、今まで以上に市民の皆様に対する啓発に力を入れてまいりたいと存じております。
こうしたハード、ソフト両面にわたる取り組みによりまして、豪雨災害の被害の軽減に向け努めてまいります。
 
8 自転車の安全利用に関する条例について
(保険加入促進に向けた取り組みについて)
 自転車損害賠償保険等の加入に向けた取り組みについてでございます。
 保険への加入を促進するためには、その必要性とともに、具体的な加入方法等をご理解いただくことが重要と認識しております。
 必要性について、交通事故被害者の救済という点での重要性を強調してまいりますとともに、自動車保険等の特約として保険に加入できる場合もあることから、様々な手法の情報提供を行ってまいります。
 これらの取り組みにあたっては、自転車小売業者や学校、損害保険会社等と連携して、機会を捉えて周知を図ってまいりたいと存じます。
 
(交通ルール・マナーの徹底について)
(教育や啓発について)
 交通ルール・マナーの徹底と、そのための教育及び啓発についてでございます。
 「ながら運転」の禁止も含め、道路交通法等の法令遵守は、自転車の安全利用の大前提であり、これまでも街頭啓発活動等で、法令遵守を訴えてきたところです。
 今後も、宮城県警察や関係団体等と連携し、自転車利用者に対し、交通ルール・マナーの徹底を図ってまいります。
 また、教育や啓発については、若い世代に向けたスケアード・ストレイト方式の交通安全教室の実施やショッピングセンターを会場とした市民向けの安全講習会に取り組む等、対象となる世代に応じて内容を工夫し、充実を図ることとしております。
 さらに、外国人を含めた観光客への啓発については、インターネットの活用のほか、宿泊施設の協力も得るなど、より効果的に伝わるよう、進めてまいりたいと存じます。
 
(自転車安全利用に向けた決意について)
 自転車の安全利用についてお答えいたします。
 自転車は、気軽に利用できる交通手段として、子供から大人まで多くの市民の皆様方が利用されている一方で、市内での利用者の法令違反やマナーの欠如による危険な走行も目立つ現状にございます。
自転車の安全利用の一層の推進を図るためには、条例の内容を市民の皆様と共有し、道路交通法など関係法令の遵守や自転車損害賠償保険等への加入促進など、条例の趣旨を踏まえた実効性のある施策を講じてまいることが肝要と認識をしております。
 そのためにも、地域の皆様や宮城県警察をはじめとする関係機関、団体とも連携を密に図り、自転車事故のない安全で安心な街の実現を目指して、鋭意取り組んでまいる決意でございます。
 
9 次期総合計画策定について
(市政課題認識について)
(目指すべき都市像について)
 次期総合計画策定に向けました私の課題認識、そして、目指す都市像についてのお尋ねにお答え致します。
若者が多い学都・仙台におきましても少子高齢化は着実に進んでおりまして、本市の人口も近い将来、減少に転じるものと見込んでおります。
厳しさを増す時代環境にあって、次期総合計画では、経済活性化や交流人口の拡大、魅力ある都心づくりなど、都市活力の向上をさせる施策、これがとても重要になるものと考えておりまして、現在進めております経済成長や交流人口活性化の戦略策定等も、このような課題認識に基づいて取り組んでいるものでございます。併せて、単身高齢者の増加、地域交通、あるいは空き家への対策など、地域の実情に応じたきめ細かな対応にも力を入れていかねばなりません。
 私が描く都市の姿は、複雑化・多様化する諸課題に対して、果敢かつ柔軟に対応していく持続可能なまちであって、どのような環境のもとにおきましても、市民の皆様方が安全安心に、そして豊かさを実感しながら暮らせるまち・仙台を目指すべきものと考えております。
そのためには、杜の都の風土や学都の知的資源など、このまちが育んできた都市個性を最大限に生かして、市民の皆様の持つ多様な力を最大限に引き出すことが肝要と考えておりまして、市議会でのご議論や、10月下旬を目途に立ち上げます総合計画審議会でのご意見なども踏まえながら、全力で取り組んでまいる所存でございます。
 
(都市像の位置付けについて)
 次期総合計画の体系、都市像の位置づけに関するお尋ねにお答えいたします。
平成23年の地方自治法改正により、目指すべき都市像などを掲げた基本構想に関する法的な策定義務はなくなったところではございますが、一方、将来を見通すことが困難な時代にあって、目指すべき都市の姿を市民の皆様と共有し、ともに歩みを進めていくことの重要性は変わらないものと考えております。
このため、次期総合計画では単独の基本構想は策定しないことといたしますが、本市の目指すべき都市像につきましては、震災からの復興や社会・経済情勢の変化などの動向を踏まえ、基本計画の中に掲げてまいりたいと考えております。