仙台市議会委員 加藤和彦のHP。活動及びプロフィールなどのご紹介。

 

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定例会代表質問

 
 
 自由民主党の加藤 和彦です。質疑に先立ちまして、この度の7月に西日本を中心とした豪雨、先週発生した北海道胆振東部地震により甚大な被害を生じたことにつきまして、謹んで哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様に哀心よりお見舞い申し上げます。
 会派を代表して、本定例会に提案されている平成29年度一般会計・特別会計・企業会計等歳入歳出認定に関する件、並びに各号議案に関連して、総括的に質疑をしてまいります。
 
1 市長就任2年目を迎えた所感
 郡市長就任一年、決算審議定例会を迎えて、初の市政運営の反省と将来に対する指針を与える機会でもあります。   
 市長はこの一年の施政を経て、人口減少社会の本格的到来を見据え「未来への責任を果たす上で重要な局面にある。スピードを上げ、道を開きたい」と強調され指針を述べられている。
 その人口減少時代に立ち向かう指針の具体的な施策は何なのか、市長任期中での思いを描いているのか、そのビジョンを情報技術の急伸、グローバル化の進展、地域創生の時代、市民に示していただきたいと考えますが如何でしょうか伺います。
 市庁舎内でも所管事項の報告でも、市長は公約以外で注文を付けることは少なく、柔軟性はあるが信念を感じられない部分がある。市政課題の本質を極め、大局的に判断すべきだと注文。市政を大きく左右するのは市長はじめ行政側の人的な要素、市政と市民・議会・県・国との関係機関といった政治的な要素であるが、そこに踏み込むことに慎重になり庁内の事情をつかめきれていないのではないでしょうか。
現今は、グローバル社会の時代、各地方圏の中核都市が各圏域の成長をリードしなければなりません。とりわけ交流人口の拡大に向けては、国内のみならず世界都市間との競争を視野に入れ、情報技術革新社会で積極的に仙台の情報発信を推進すべきである。市長はこの傾向の情勢変化に敏感に反応し、都市の持続可能性を確保していく視点が重要であります。
 当然、公約の優先順位も変わりうるし、公約に掲げないことであっても市政経営の持続性を優先して取り組まなければなりません。スピード感をもって取り組むことは重要だが変なところにギアを入れて、アイドリング状態にならないように注意しなければならない。複雑極まりない都市の諸課題は行政だけでは不可能であり、市民、企業の参画、協働が重要であり、さまざまな形でつながり、持続的な参画でのシステムを構築して達成する。
 市長は成長のダイナミズムを生み出し、持続的な仙台の発展を先導するリーダーシップが問われると考えるが如何でしょうか伺います。
 
2 平成29年度決算に対する認識と今後の見通し 
 次に,平成29年度一般会計及び特別会計決算に関連して伺います。
 仙台市は,自然的・歴史的な背景,産業構造や人口規模等の諸条件を基礎とし,国の財政と密接に関わりなが
ら,市民生活向上の役割を担って財政運営をしています。
 本市の平成29年度一般会計決算における実質収支は,35億8千万円余りの黒字で,平成27年度の31億5千万円余り,平成28年度の32億5千万円余りと比較しても若干の増加となっています。それを支えているのは,歳入の根幹たる市税の堅調な伸びであり,税制の違いもあるので単純な比較はできないものの,平成10年度以来の水準となっているようであります。その他の歳入歳出の内訳をみると,歳入では,県民税所得割臨時交付金や市債が増,地方交付税や諸収入が減,歳出では,土木費,健康福祉費,教育費等が増となっています。
 東日本大震災発災以後の財政運営について改めて振り返ってみると,1日も早い復旧・復興に向けて,国の10年間の「復興期間」のうち,平成27年度までの前半5年間を,本市の「復興計画期間」と位置付け,復興計画のもと,重点的に国からの財源を確保しながら,様々な課題に取り組んできました。5年の計画期間終了後は,復興から見えた課題に対応すべく,国家戦略特区として,社会起業支援関係・女性活躍関連・医療関係・エリアマネジメントに係る道路法の特例に取り組むなど,国内外の交流人口の増加と起業機会の創出を積極的に図ってきました。こうした取り組みを通じて,震災から7年,国の経済情勢が緩やかに回復する中で,本市の税収も伸びてきているものと認識しますが,一方で,本決算後の財政調整基金の残高は252億円余りと,前年度末より約41億円の減となっており,震災後のピーク時に比べると約70億円の減となっております。当然のことながら,基金は一度取り崩してしまえば減少する一方であり,将来にわたっての安定した財源にはなりえません。
 国は,6月に経済財政運営と改革の基本方針を定め,人づくり革命や生産性革命などを柱として,少子高齢化の克服による持続的な成長経路の実現を目指しています。そうした中で,本市が置かれている環境を顧みれば,人口減少と高齢化で生産年齢人口の減少により,税収は減少が予想され,その一方で,団塊の世代は4年後から75歳以上となり,健康保険や介護など社会保障関係費の増加,さらに道路,橋梁,学校施設等のインフラが更新時期を迎え維持管理費の増加が見込まれます。加えて,地域経済の中核を担う中小企業の活性化,自助・共助力を発揮した地方創生の取り組み,本市のみならず東北全体を見据えた自治体間の連携の推進,過疎地域などの条件不利地域の振興策など様々な課題への対応を進めなければならず,財政需要はますます拡大するのではないかと考えますが,市当局は,平成29年度決算を踏まえて,本市の財政状況をどう認識されているのか,今後の財政構造の弾力性をどう確保していくのかお伺いします。
 
3 本庁舎建替えと老朽化対策
 この8月には、市議会調査特別委員会での議論を踏まえる形で、老朽化が進む本庁舎の建替え基本構想が策定されました。日本各地で、これまでにはなかったような災害が頻発している中、災害時の対応の拠点となるべき本庁舎の建替えは喫緊の課題であると認識しております。
 しかしながら、ここにも財政の問題はついて回ります。平成16年度には、市庁舎整備基金を造成し、毎年の積み立てを行っていた時期もありました。その後、改築から大規模修繕へと舵を切りなおしたことにより、当該基金は一旦廃止となりましたが、基本構想が固まり、いよいよ基本計画へとステージをすすめようとする今、財源にもついてもしっかりと議論しておくべきと考えます。
 併せて、本庁舎だけでなく、老朽化が進む泉区役所や宮城総合支所といった施設の対策も考えていく必要があると考えますが、これらの財源をどのように確保していくのか、当局の考えをお伺いします。
 
4 経済成長戦略と交流人口ビジネス活性化戦略
 決算を踏まえ、本市の財政状況の見通しを伺ってきましたが、こうした議論の根底に必要なのは、いかに本市へ潤いをもたらす財源を涵養していくかであります。私は、その基本は本市の経済活動であり、その活性化がなければ、今後の財政状況を見通すことなど到底できないものと考えます。
 今般、当局より、「仙台市経済成長戦略2023」及び「仙台市交流人口ビジネス活性化戦略」の2つの骨子が示されましたが、私は、今、求められていることは、本市を取り巻く様々な環境要素をいかに分析し、それを地域経済活性化につながる施策にいかしていくのか、その指針となる新たな経済活性化プランであると考えます。
 その際、第一に考慮すべきは人口動態であると考えます。すでに我が国は少子高齢化時代と言われて久しく、2016年現在の総人口1億2693万人に占める65歳以上の高齢人口は、すでに3,459万人を数え、実に27.3%となっております。さらに、昨年国立社会保障・人口問題研究所の発表した「日本の将来推計人口」によれば、我が国の総人口はすでに減少過程に入っており、2029年は1億2000万人を下回り、2053年には1億人を割り込んで約9,924万人、2065年には約8,808万人まで減少するとのことであります。
 こうした中で、高齢化人口が増加する一方で、生産年齢人口は減少していくことになり、ますます高齢者による労働力の活用に向けた各種施策の充実が待ったなしの状況にあるわけです。
 経済施策や交流人口の増加を目指す施策を展開するにあたっては、地域の人口動態や生産年齢人口の推計といった基本的な分析は当然行われるべきと考えます。
 さらに、一つの提案として、その活用が期待されるのが、いわゆるRESAS(リーサス)であります。これは、地域経済分析システムのことで、地域経済に関する官民の持つ様々なデーターを地図やグラフで分かりやすく「見える化」したシステムであり、誰でもインターネットで活用が可能であります。その街のどの産業で、どのように儲けているのか、人の流れがどのようになっているのか、周辺地域の状況も詳細に知ることができます。
 こうした点も含め、当局は今回の2つの戦略を策定した中で、どのような環境分析をなされてきたのかまず伺います。
 
 そのうえで、経済施策を実施するにあたっては、真に地方創生に資する取り組みが必要であります。これまで、行政が実施する地方創生に向けた施策は、結局は総花的な施策の展開に終始し、結局何をやっているのかわからないと言った声も多いのが現実であります。これは、行政として様々な要請を取り入れていくうちに、あれもこれもということになり、本質的な部分を見失うといった陥穽に陥りがちであると推察いたします。
 私は、こうした事態を打破し、本当に地域の皆様に分かりやすく、積極的に参加して頂く地域経済活性化策とは、簡単な目標に絞り込んで、それに行政も含む地域の総力を結集させることに他ならないものと考えております。
 地域創生とは「地方の平均所得を上げること」と定義し、いかに地方が独自の魅力を駆使して「稼ぐ」かということであります。
どこに注力し、どうしたら稼げるか、国内外を問わず他の地域からいわゆる「外貨」を稼ぐことができるのか。さらに言えば、いかに他の地域に対する支払いを減らすことができるのか、こうした点を必死に考える必要があります。
 今回の2つの戦略骨子を見ると、やはり総花的な印象はぬぐえず、これはいったい誰をターゲットにした戦略なのか、国内からの観光客なのか、いわゆるインバンドといった外国人観光客なのか、経済戦略においても、市内の中小企業向けなのか、それとも外資系も含む大企業を市内に誘致したいのか、さらに言えば、第一次産業である農業や食といった、本市経済を下支えしてきている産業についての戦略が希薄なのはなぜなのか、これまでの仙台市の持つ東北の中枢都市といったイメージだけでは通用しない状況の中で、いったいどこに力を結集するつもりなのか、はっきりと見えないのではないかと危惧しております。昨年、株式会社ブランド総合研究所が発表した都道府県の魅力度ランキングによると、宮城県は全体の13位、本市は全体の市町村中11位とのことであります。市長は、こうした本市の位置づけを1つでも上げていくために、市長自身はこの地域の最大の魅力は何であると捉えているのか、その魅力に対し、どのように力を結集し、「外貨」を稼ごうとしていくのか、お示し頂きたいと存じます。
 
 私は、地域経済の活性化、地方創生への取り組みへの第一歩は、自分たちの街は自分たちの力で再生していくといった気概と実行力であると考えます。そうした「自助の精神」のもとに「稼ぐ」自治体には、国は情報・人材・財政といった支援をしていくというのが基本であります。
 国の都市再生本部においても、このことは謳われており、地方経済のコアとなる中枢・中核都市等において、質の高い投資案件を形成し、世界に直結し、機能、成長する都市への再生、東京一極集中の是正、大規模災害への備えとするとされております。こうした国の姿勢との連携がますます重要になっていくものと考えます。
 地方創生に向けた経済活性化策については、すでに様々な自治体で取り組みを強化しております。一例をあげれば、グーグルのストリートビューを通じた地域の魅力発信、各種ブランディング、地場産業や伝統工芸といったものづくりとデザインのコラボレーション、古民家再生による観光プランの造成等、これらの既存の施策をただなぞるだけでは、他の地域とも差別化は進まず、国からの支援も期待ができない状況となり、地域経済に効果をもたらす戦略となるとは、全く思えません。
 市長は、他の地域との差別化を図る中で、内外の企業、あるいは旅行者に本地域を選択してもらうにあたり、2つの戦略骨子に記載されたプロジェクトを、地域にどのように展開していくおつもりなのか、その際の核となる取り組みは何なのか、現時点での率直な考えをお聞かせ願いたいと存じます。
 
 関連して、いよいよ開幕まで2年を切った東京オリンピック・パラリンピック対応について伺います。交流人口ビジネス活性化戦略の骨子では、東京オリンピック・パラリンピックを契機とした東北への誘客を一つの方向性と示しておりますが、東日本大震災からの復興を発信し、風評を払拭するための契機とするにはそれなりの取り組みが必要であることは言うまでもありません。
 当局は本年度、文化観光局に東京オリンピック・パラリンピック事業担当課長を配置し、主にイタリアをターゲットに各種競技のキャンプ地誘致を行っていることは認識しておりますが、具体的な動きが見えてこないのが実情ではないかと危惧するものであります。キャンプ地以外にも、利府の宮城スタジアムで開催されるサッカー競技に参加する選手、観客への対応等、取り組むべき課題は山積みしているものと考えますが、その点どのように取り組んで行こうとされているのか伺います。
 
 さらに来年はラグビーワールドカップが日本で開催されます。東北では釜石市が会場になっておりますが、ワールドカップの周知、外国人の誘客や釜石市との連携はどのように取り組んでいるのか併せて伺います。
 
 私ども自由民主党会派は、先般、直接安倍首相に面談し、将来の東北地方の持続的発展に向けた集中支援の必要性や、東日本大震災からの復興と今後の災害等の備えといった各種要望をしてまいりました。
 その中で東京オリンピック・パラリンピック開会式等における「東北絆まつり」の参加についても鋭意ご検討くださるよう要請をしてまいりました。市長におかれましても、是非、この趣旨を汲んでいただき、東北各県、各市との連携のもとで、この実現に向けて特段の努力を行って頂きたいと存じますが、いかがでしょうか、伺います。
 
 ここまで経済戦略に関し、伺ってまいりましたが、私は、突き詰めれば本市の持つ様々な魅力の販路拡大をどのように進めていくのか、地域経済のみならず、世界経済の中の日本、仙台といった大きな視野で考える必要があるのではないかということであります。
 そのためには、いかに本市を世界的に認知してもらえるか、情報発信がまさに重要であります。幸いにも本市には映像、ICTといった情報産業の集積も進んできております。こうした資源を最大限活用し、情報発信を行い、その結果を東北6県に還元していく取り組みを進め、仙台一極集中ではない、まさに東北連携を見据えた本市の成長ビジョンが必要であります。そのためには、まず身近な宮城県の施策との連携が不可欠と考えます。宮城県には「食材王国みやぎ」といった大変分かりやすい取り組みもあります。現在24時間化が模索されている仙台空港、仙台港といった地域インフラの有効活用等々、決して宮城県と張り合うだけでなく、補完すべきはお互いに補いながら、全体として最適な施策へと仕上げていく取り組みが重要であります。
 このためには、市長にはより一層知事との話し合いの機会を設けていただきたいと思います。そうして、東北全体を元気づけるための情報発信等、市長自らが本市も魅力発信の販路拡大を進めていくことが、真のトップセールスであると考えますが、市長のご所見を伺います。
 
5 いじめ防止条例
 次に、「(仮称)仙台市いじめの防止等に関する条例」について伺います。
 本市の重要課題であるいじめ対策については、学校でのいじめが関係する中学生の自死事案が相次いで発生した深刻な事態に鑑み、我々市議会としても、先行して、昨年全議員で構成するいじめ問題等対策調査特別委員会を設置し、議論を重ねてまいりましたが、しかし、再三スピードを持って取り組むよう市長部局には要請はしたものの、なかなか出来なかった事は残念でなりません。
 先月示された条例骨子案には、この調査特別委員会で取りまとめた中間報告書が反映されておりますが、条例案を策定するにあたっては、4件目の事案は決して発生させてはならないとの強い決意の下、当然、これまで及びこれからの議会での議論も踏まえて進められるものと考えております。
 まず、宮城県議会で検討が進められている県のいじめ防止条例との関係についてであります。現在、条例案に関するパブリックコメントが実施されており、本年11月の施行を目指して、今月開会の県議会に提案される予定とのことであります。これから条例案を策定していく本市では、先行する県の条例との間で矛盾や不整合が生じないように条文化していくべきだと思いますが、ご所見をお伺いします。
 
 次に、条例案策定のスケジュールについてです。
 市長は、来年第1回定例会に条例案を提案する意向を表明されています。現在、骨子案に対するパブリックコメントで寄せられた意見の集計・分析が行われているとのことですが、そのほかにも、連合町内会長や校長会など関係者から伺ったご意見もあるということですし、いじめ問題等対策調査特別委員会でも、議会としての意見をまとめるべく議論を進めているところです。こうした多くの意見をこれから整理して、条文化していく作業を丁寧に進めるには非常に厳しいスケジュールに思われますが、どうお考えかお伺いします。
 
 最後に条例制定後の市役所庁内や関係機関の連携についてであります。
 我が会派では、昨年来、いじめ防止対策の実効性を上げるため、全庁挙げていじめ防止対策に取り組んでいくべきであり、そのための組織を設置すべきだと申し上げてまいりました。この4月に子供未来局にいじめ対策推進室が設置され、それに就いた点は評価できますが、きちんと関係部局、関係機関の連携が図られ、各施策の有効性を上げていかなければ、条例を制定しても、画龍点睛を欠く状態になってしまうと言わざるを得ません。
条例制定後の庁内、関係機関の連携について、どのように考え、どう対応していくのか、お伺いします。
 
6 教育環境の整備について
 (1) 教育関係予算の考え方について
 県費負担教職員の市費化は、本市教職員の人事管理上から大きなメリットがあるもの、本市の財政に負担増となったのは、今回の決算を見ても明らかであります。
 市長は、今年4月から中学校2年生の35人以下学級を市単独事業として実施しているが、これも財政負担が生じています。
 本市の児童生徒がより良い教育環境で学ぶことは必要であるが、いじめ防止対策など継続した課題への対応に加え、来年度は中学校3年生の35人以下学級実施の方向であります。一方で、学校の校舎、プール等の老朽化対応やトイレの洋式化促進をはじめとするハード面の整備も待ったなしの状況であります。
 議会としても、30年度当初予算の議決に当たり「教育施策の展開にあたり十分な体制の整備と財政の健全性の維持を求める」決議を行い、「市長はじめとする本市当局が、教育の質を維持し、向上を図ることの重要性を認識するとともに、将来の世代に過度な負担を残すことがないよう、持続可能な責任ある財政運営の下で、教育にかかる施策を展開していく」ことを強く求めたところであるが、今後も増大が予想される教育予算について、市長はどのように対応していくつもりなのか、その姿勢を伺います。
 
(2) 学校へのエアコン設置について
 さて、今年は、本市おいても、30度以上の日が7月に17日になるなど高温の時期が早くから長く続き、全国的に「危険な暑さ」とまで言われる状況でありました。
 このような中にあって、学校においては、扇風機の設置や保健室等の一部冷房化、水分補給などの対策だけでは不十分な状況であることを認識し、児童生徒が大半の時間を過ごす普通教室すべてに、また職員室などにエアコンを設置することに踏み切るべきではないでしょうか。
 今後も続くであろう高温環境に対し、児童生徒がより良い学習環境で学び、教職員も含め、安心して安全に学校生活を送ることが出来る対策を採るべき時期であると考えます。
①設置を進めるにあたっての課題と検討状況について
 もっとも190校を超える市立学校すべてに設置することは、様々な課題が考えられます。
 児童生徒の健康管理を念頭に置き、普通教室を第一に必要な整備を進めることが基本であるが、今年7月に西日本を襲った豪雨災害においては、暑い時期の避難所における環境確保がクローズアップされました。本市の学校は避難所となっていることから、体調管理に配慮が必要な被災者に対する対応も含めた検討が必要となります。例えば当初の避難場所となることが多い体育館にエアコンを設置するなど、様々な事態を想定した整備も課題と考えます。
 冷房方式も、電気・ガス両方あります。初期整備費用は電気優位、ランニングコストの観点からはガス優位と言われており、他の政令都市においてはトータルコストの観点からガスヒートポンプ方式を採用している例が圧倒的に多いと聞いております。整備が急がれる中で、発注する本市側としても迅速かつ適正に進めるために、他都市の事例を参考にしながら十分に検討を行い、しっかりとした体制で進める必要があります。また、未整備自治体が設置を進められる中で、機材や施工業者の確保も課題であります。
 さらに、民間事業者の力と知恵を借りて進めることも考えるべきです。例えば、PFIやリースによる整備なども進めることで、早期の整備が可能となるはずです。整備に当たっての当局の課題認識と検討状況を伺います。
 
②年次計画による確実な設置について
 全校に設置した場合の予算は、当局によると100億円を超えるものとなり、そのうち国からの補助は多くても17億円程度と見込まれているという。そもそも本市の学校において、改修にかかる予算が年間24億程度という中で、100億円の事業を一気に実施することは、財源の調達も含め慎重な検討が必要です。
 大阪市においては、平成24年度から5年間かけて選考に整備を行ってますが、1~2年目に中学校の教室、3年目から5年目にかけて小学校と段階的に整備しています。本市としても35人以下学級も含め、施策の優先順位を付けた上で、エアコンの設置についてしっかりと年次計画を立てて進めることが求められます。各学校が立地する環境や建物の構造が異なることを十分に踏まえつつ、今後新築や大規模改修を行う学校には同時に設置することを念頭に、計画的に着実に整備を進めていくことが必要と考えますが如何でしょうか、伺います。
 
(3) エアコン設置への取り組み姿勢について
 市長は報道機関の取材に対し、学校施設の老朽化やトイレの洋式化などと一体的に検討すると答えていたようですが、このエアコン設置については、これまでとは異なる対応も含め、実現に向けた方策を取るべきです。文部科学省も次年度予算の概算要望において上積みを図っているという情報等も踏まえれば、国の補助メニューに既に含まれているものであるとはいえ、県内自治体との連携した取り組みなども含め、国へのさらなる要望等を行っていく必要があります。
 我々、自由民主党会派は、8月29日に安倍総理に面会し、本市が東北の持続的発展を担うという立場から要望を行い、その中でエアコン設置やトイレの洋式化を推進する考えが示されたところであります。
 本市も、エアコン設置にしっかりとした取り組みが必要と考えますが、市長はどのように進めていくつもりなのか、決意を伺います。
 
7 西日本豪雨を踏まえた本市の取り組み
 近年の異常気象は、地球温暖化に伴う気象変動の影響から、甚大な被害が発生するリスクが懸念されております。2015(平成27)年、仙台開催の国連防災世界会議で、仙台枠組2015-2030が採択され、セミナーでは、世界の降水雨量は15%増加しているという報告がありました。現今、日本では、1時間当たりの降水量が50ミリ以上の非常に激しい雨が各地で頻発するなど、雨の降り方が極端化、激甚化しています。今年の7月の西日本豪雨は、降り始めからの期間が長く、集中豪雨としては異例ともいえる範囲に甚大な被害が及びました。この強雨域の中に、長時間激しい雨を降らせる「線状降水帯」が同時多発的に発生し、各地が数10年に一度か、それ以上の猛烈な豪雨に襲われました。空から津波に襲われたかと思わせる、泥流と土砂に埋まった被害の惨状からの復旧、被害者の医療、ライフラインの復旧等の取組みには自治体の対応が求められております。
 この数年、4年前の広島豪雨被害、昨年は九州北部豪雨、秋田県の豪雨災害、毎年のように甚大な被害をもたらす豪雨災害に襲われ、本市においても、3年前の平成27年の関東・東北豪雨災害が記憶に新しいところであります。気候変動により、大雨が降る頻度が増え、集中豪雨や台風の発生しやすい時期に土砂崩れ、河川氾濫や堤防、砂防ダムの破壊が起きやすい地域の住民の生命・財産を守る上で治水対策の重要性が高まっております。豪雨被害対策にどのように取組みを強めていくか、これまでも質問してまいりました。
 今年、異常気象により、西日本の豪雨被害、関東以西の連日猛暑、仙台でも8月1日、観測史上最高37.3度を記録する中、豪雨被害者には何が必要か、自治体にはどのような対応が求められるか、ソフト面では、本市は東日本大震災の経験と知見を活かせるよう、仙台防災未来フォーラムの防災・減災の取組みセミナー、仙台市防災シンポジウム、仙台市職員の自主勉強会「Team Sendai」、震災体験100年後、伝える東日本大震災の対応など、防災意識の向上を目指してきました。本市は異常気象から身を守る挑戦へ、特に、豪雨時の水害や河川氾濫、土砂災害、堤防・ダム崩壊など、仙台防災タウンページを各戸に配布し、ハザードマップの活用、夜間避難行動など、防災計画に基づいて水害対応の総合訓練を各区で実施しております。
 一方、ハード面では、豪雨時の河川氾濫、土砂崩れ、堤防決壊の被害が大きい、本市の名取川や広瀬川、七北田川や梅田川など、住宅地の多い地域における堤防の機能強化や護岸、河道の整備など、国、県、各自治体が連携して事業を進めていくことが重要と考えます。
 豪雨災害を最小限に抑えるために、異常気象を踏まえた警戒と備えに対する当局の認識と今後の目指す取組みについてお伺いします。
 
8 自転車安全利用条例
 次に、第99号議案「仙台市自転車の安全利用に関する条例」について伺います。
 今回、提案された条例が本市の自転車の安全利用に資するものとなることを期待しており、そのためにも、具体の取り組みが重要になりますが、そこで課題と考えられる数点について、以下質問いたします。
 まず、自転車損害賠償保険等の加入の促進に向けた取り組みであります。
 条例では、被害者救済の観点から自転車損害賠償保険等への加入を義務化しておりますが、一方で、未加入の場合の罰則は設けられていません。
 したがって、保険加入の促進に向けては、自転車利用者等に必要性をしっかりとご理解いただき、加入につなげる取り組みが必要と考えるものですが、市としてどのように進めるおつもりなのか伺います。
次に、自転車の交通ルール・マナーの徹底であります。
 路交通法等で規定されている様々な事項についての法令遵守は自転車安全利用の柱であります。左側通行や交差点での一時停止など、自転車利用者が守らなければならない走行ルールは多くありますが、私自身、特に危険を感じるのはスマートフォンなどを操作しながら、またはヘッドフォンで音楽を聴きながら運転する「ながら運転」であると考えます。
 このような行為は、道路交通法及び宮城県道路交通規則で禁止されている非常に危険な乗り方であり、昨年12月には川崎市において、スマートフォンなどを手に持ちながら自転車を運転し、歩行者をはねて死亡させた大変痛ましい事故も起きております。
 この「ながら運転」の防止はもとより、自転車の交通ルール・マナーの遵守を自転車利用者に訴えるとともに、これまで以上に、宮城県警察、交通安全関係団体等との連携を図り、取り組む必要があると考えますが、この点について如何に交通ルール・マナーの徹底を図るつもりなのか伺います。
 次に、市の責務とされている教育や啓発についてであります。
自転車利用者は、子供から大人まで、幅広い世代にわたり、その意識にも差があることを念頭において、教育や啓発に取り組むべき必要があります。
 私は、特に小さい頃から、自転車の正しい乗り方を教えることが重要であると考えております。子供が自転車のルールを習得し、それを周りの大人が見習って、社会全体の安全利用に繋がることを期待しているものであります。
 また、条例は、仙台を訪れる外国人を含めた観光客なども対象となります。こうした方々への啓発、情報発信も重要であります。
 このような幅広い自転車利用者に対しては、例えばアプリを活用する等、有効な教育、啓発の方法を工夫し、きめ細かな対応を図る必要があると考えておりますがいかがでしょうか。当局の認識と今後の対応について伺います。
 以上、具体の取り組みを進めるうえでの課題を指摘してまいりましたが、自転車の安全利用に向けた市長の決意を伺います。
 
9 次期総合計画策定
 最後に、次期総合計画についてお尋ねします。
 平成29年版の「仙台市統計書」によれば、本市の平成29年の人口の自然動態がついにマイナスとなりました。本市が人口の自然減少局面を迎えたのは、終戦間もない昭和21年以来のことです。我が国の人口は既に平成20年をピークに減少局面に入っており、本市も東北地方各県からの人口流入により現時点では人口は増加しておりますが、近い将来、人口減少局面を迎えることは避けがたい事実です。
 市長は本年度の施政方針で、「人口減少がもたらす課題への挑戦は長きにわたることとなる」とされました。就任1年を迎え、この間の市政運営を通して様々な本市課題を肌で感じて来たのではないかと推察しますが、中長期視点を持って策定する次期総合計画は、さらなる厳しい時代環境を見据えなければなりません。次期総合計画策定にあたり、挑戦すべき市政の課題をどのように認識しておられるのか、伺います。
 国が今年6月に閣議決定した「まち・ひと・しごと創生基本方針2018」では、人口減少と地域経済の縮小の克服に向けた地方創生の充実・強化を掲げ、地方が自らのアイデアで、未来を切り拓いていくことが重要とされています。全国一律ではなく、独自の創意工夫によりまちづくりに取り組むことが都市の未来を左右する時代であり、首長がしっかりと都市の将来ビジョンを持ち、市民と共有しなければなりません。仙台に生まれ育ち、1年間市政運営を経験された郡市長は、仙台の魅力、強みをよくお分かりのことと思います。仙台ならではの魅力、強みを生かしたビジョンが必要です。次期総合計画策定に向け、郡市長が描く目指すべき都市の姿とはどのようなものでしょうか。伺います。
 併せて次期総合計画の体系と目指すべき都市像の位置づけについて伺います。
 現在の総合計画は、21世紀半ばに向けて本市が目指すべき都市像を「基本構想」として掲げ、その下に10年間の施策の方向性を示す「基本計画」、これを推進するための3年程度の「実施計画」という3層構造となっています。
 この基本構想の策定については、現総合計画を策定した平成23年3月以降、法律上の動きがありました。地方自治法上、現総合計画を策定した平成23年3月時点では、基本構想の策定は市町村の義務でしたが、平成23年8月の地方自治法改正によりこの策定義務がなくなり、基本構想を策定するか否かは各市町村の判断によることとなったのです。今回の総合計画では、地方自治法の改正後最初の計画となるものですが、基本構想の取り扱いも含め、どのような体系を考えているのでしょうか。また、従来は基本構想の中で示してきた「目指すべき都市像」について、次期総合計画ではどのように位置づけるのでしょうか、伺います。
 市長には108万市民のリーダーとして、常に先、さらにその先を見据えたまちづくりを進めることが求められます。次期総合計画は、仙台市民にとって極めて重要な指針となるとの認識を持つものであり、このことを代表質疑の最後に伺って、私の第1問といたします。
 ご清聴ありがとうございました。