仙台市議会委員 加藤和彦のHP。活動及びプロフィールなどのご紹介。

 

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定例一般質問

 自由民主党の加藤 和彦です。本年は5月1日に新たな天皇陛下が即位され、年号も改まり、まさに新たな時代の幕が開ける年であります。本市に於いても市政施行130周年を迎え、平成とともに歩みだした東北中枢の政令指定都市が一つの区切りを迎える節目の年であります。Society5.0が代表される新たな時代の到来とともに、より豊かな明るい時代になっていくことを期待しつつ、将来の宮城総合支所管内の展望について質疑いたします。
 
1宮城総合支所管内の抱える課題
○ 平成元年4月1日、仙台市は念願の政令指定都市となり、5区役所、2つの総合支所という体制でスタートし、今日に至っております。発足当時88万人ほどだった人口も、現在は108万人を擁し、この間、各区役所管内の人口変遷は今更申し上げるまでもありませんが、特に、宮城総合支所管内においては、平成元年当時、約3万3600人だった人口が、昨年には、約7万3400人へと、実に2倍を超える増加となっている状況にあります。
○ 人口構成の中身を見ても、15歳以下の若年人口は全市平均よりも高く、65歳以上の高齢者人口においては、全市平均とほぼ同じであり、全体としてみれば、市中心部への通勤、通学等の利便性もあり、人口の若返りが進んでいるかに見えます。
○ 確かに、落合、栗生、愛子、吉成地区といった市中心部に隣接する地域においては、大型店舗をはじめ、クリニック、各種事務所などの集積も進み、人口が増加しておりますが、このため、仙山交通の動脈である国道48号線の慢性的な渋滞も顕在化してきている事実もあります。
 一方、作並・新川、熊ヶ根、大倉地区といった地域においては、人口が近年急速に減少してきており、65歳以上の高齢者の割合は、実に約42%となっております。しかし、このエリアは、雄大な自然と観光資源があり仙台市にとって貴重なもの、地域の魅力向上を図る観点から、これらを生かした新たな地域づくりや観光交流の場の振興を図っていく必要があります。
 宮城総合支所管内においてさえ、こうした地域間の乖離が年々進んでいる状況を踏まえると、何らかの手を今、打っておかないと、将来にわたり、大きな課題を残すことになるのではないかと危惧を抱きます。
 そこで、当局はこうした宮城総合支所管内が抱える課題認識と、今後の宮城総合支所としての役割について青葉区長にお伺いいたします。
2 区役所、総合支所の将来に向かっての機能強化
 来年には東京オリンピック、パラリンピックを控え、その後には2025年に、大阪・関西で万博が開催されることが決まっております。ますますさまざまな投資が首都圏へ、そして関西圏へと流れていくなかで、いかに仙台、東北が生き残っていくのか、これは容易でない大きな課題であります。
 地方がいかに時代を先取りして、他の自治体に対抗していく努力をしていくかが、今後の都市間競争を生き抜く、大きな試金石であると考えます。
 現代においては、AIをはじめとするICTの進展、様々な分野でのロボット化の動向など、時代を取り巻く潮流はますますその激しさを増しております。決してこうした流れを逃すのではなく、地域において、どのように取り入れ、課題解決につなげていくのか、より個性的なまちづくりをモデル的に行い、それによりいかに投資を呼び込むかが大切であります。
 宮城総合支所管内を横断する仙山線は、日本で最初に交流電化による鉄道の運行が実現した路線で、交流電化技術のシステムが鉄道の発展につながり、今日、わが国の新幹線が単なる高速鉄道でなく鉄道運転システムとして他国より優れている点が評価され、この試験が後の鉄道技術及び産業の近代化に果たした役割は非常に大きいのです。これらの歴史を顧みれば、この地域はまさに
社会実証の先進地といっても過言ではなく、これからの様々な
先進技術の実証をまちづくりに活かしていく手法も、この地域の発展に向けた一つのテーマになりえると考えております。
 例えば、飛躍的に進歩しているVRをはじめとする映像コンテンツとすぐそこまで実用化が迫っている5Gといった通信インフラの組み合わせとともに、自動車の自動運転やドローンによる宅配といった新たな技術を活かし、自宅で、まるでその場にいるかのような臨場感の中で、買い物ができ、しかも、それらが自動で配達されれば、過疎地での買い物難民への一つの解決策が提示できるかと考えます。
 
 また、自宅に居ながらにして、映像による遠隔診療や福祉関係の書類申請ができれば、わざわざ医療機関や行政機関に出向かなくても、必要な医療や福祉サービスを享受することも可能となります。
現在直面している課題解決のみにならず、これからの医療・福祉サービスや行政機関の窓口業務にも画期的な改革をもたらすこととなります。
 かつて、1970年の大阪万博において、人々が目の当たりにした携帯電話や電気自動車といった未来は、今や現実のものとして、日常生活に溶け込んでおります。我々のこれからの責務として、未来を担う子供たちに、どのような夢を提示できるか、そうしていかに世界に向けて一地方から発信していくことができるか、こうした観点も非常に重要であると考えます。
 これからの街づくりを考えていくにあたって、重視すべきは、区役所、総合支所の職員がいかに主体性を持って取り組んでいくかといった視点であります。これまでの本庁と区役所といった関係ではなく、自分たちの区の素晴らしさを自分たちでしっかり捉えて、積極的に発信し、そのことによって、企業の投資も獲得していく、そういった取組みを進めることが肝要であります。
 今、宮城総合支所を中心とする愛子地区において、新たなまちづくりが進みつつあります。まさにこうしたエリアを一つのモデル地区として、地域に住まう市民の皆様に夢を与える取組みを区役所、総合支所が中心になって進めていく、それを推進していくのが、今回ご提案されている区役所におけるまちづくり推進部の主要な仕事であるべきと考えます。
 地域の発展には、そのハブとなる区役所、総合支所の機能強化と充実が不可欠と考えますが、当局はどのような構想をお持ちなのか、所見をお伺いいたします。
3 西部地区のまちづくりについて
 西部地区のまちづくり、地域活性化については、まちづくり政策局において仙台市郊外住宅地・西部地区まちづくりプロジェクトを推進するなど、本市としても積極的に事業を展開している
ところであり、成果が出つつあるものと認識しています。
 また、作並・新川地区においては、地域住民や関係する町内会・自治会、事業所、各種団体等が連携して地域活性化に向けた取り組みを始めるため、平成29年9月に「作並・新川地区活性化連絡協議会」を設立しました。青葉区でもこの動きを積極的に支援するため、作並・新川地区活性化事業を「ふるさと底力向上プロジェクト」として位置付け、宮城総合支所ふるさと支援担当が協議会と連携して取り組んでおり、今年度は協議会内に4つの部会を置いて、それぞれに地域活性化のための具体的事業の検討を開始したと伺っております。
 こうした取り組みは、人口減少と高齢化が急速に進行する地域での将来に対する危機感の高まりによるものと存じますが、全国の人口は平成27年に初めて減少に転じました。本市においても、近い将来、人口減少の局面を迎え、少子高齢化のさらなる進展が確実視されています。このような状況の中で、市民生活や地域社会への影響を考えますと、まちづくりの担い手の確保は避けて通れない課題であると考えます。
 こうした中で、これからのまちづくり活動の主体は、地域にお住まいの方だけでなく、地域と関わりのある、あるいは関わりがなくとも関わろうという意思のある方など、幅広い方々であろうと考えます。
 
 近年はアートをきっかけにしながら、地域にお住まいの方だけでなく様々な方々を巻き込み、その関わりの中で地域の活性化につなげようとする取組みが全国各地で行われるようになりました。
 震災からの復興支援の中には、アートを核とした活動が多数あります。例えば石巻地域では、2017年に「アート」「音楽」「食」をテーマにして「リ・ボーン・アートフェスティバル」が開催され、延べ26万人を動員しました。多くの方々が牡鹿半島など石巻の地を訪れ、国内外のアーティストの活動に触れながら、その地域の姿を実際に見て、感じる機会であったと同時に、地域にとりましては、アートによる新たな活力や賑わいづくりの可能性を見出すことにつながったのではないかと推察しています。2019年夏には2回目のフェスティバルが開催されると聞いています。
 本市におきましても、平成28年度から「せんだい・アート・ノード・プロジェクト」がスタートしています。世界的にも注目されているアーティストのユニークな視点と、地域の資源や課題をつなぐこの事業は、復興まちづくりの意義も踏まえつつ、宮城野区岡田の新浜地区において、地域の資源である貞山運河に注目した事業が展開されていると聞きます。地域にお住まいの方々と
協働しながら、津波で流された橋に代わり、アートの橋を貞山運河に架けるという、震災からの復興と新たな賑わいづくりを目指すプロジェクトだと伺っております。
 このように、アートがきっかけとなり、自分の住む地域に関心を持ったり、地域の外から人を呼び込むことにつながったりすることで、地域に活力が生まれ新たな賑わいを生み出す可能性は
十分にあります。全国各地でこのような取組が盛んに行われていることからも、本市においてもこのような取組を推進することは大いに意義があるものと考えます。
○ そこで改めてお尋ねします。外部の資源も活用しつつ、アートの視点を取り入れたイベント等をきっかけとしながら、地域づくりにつなげていくことは、地域活性化を進める上でも、有効な取り組みであると考えますが、ご認識を伺います。
 アートの持つ力は、いろいろな分野で活用ができるものと思います。近年は、高齢者施設などでの取り組みもありますが、アートを教育活動の一環として取り入れている学校もあります。全国的には、学校法人、NPO法人など経営形態も、いわゆる小中高等学校やフリースクールなど学校種別も様々ですが、子どもたちが集う施設が地域にあることは、賑わい・活性化に良い効果が出るものと考えています。
 昨年の第1回、第4回定例会において、作並小学校の統合問題についての議論がありました。西部地域においては児童生徒の減少が進んでいますが、学校は子どもたちの学びの場としてだけでなく地域コミュニティの中心でもあり、また大人の学びの場、地域社会とのつながりの場でもあります。
 学校が統合という方向になった場合には、学校の跡施設活用も含めて、地域に関わる方々と、まちづくりについてより丁寧に取り組んでいくことが何より必要であります。
 そうした中、地域の高齢化が進むことで、当該地域のまちづくりの担い手不足が深刻になるおそれもあります。今後、まちづくりの担い手となっていくであろう地域の若い方々の考え方や意見を生かし、地域に関わりのある方々と共に、まちづくりの中心となって活動していくための人材育成にもつながる取り組みが望まれるものと考えます。
 石巻地域や宮城野区の取り組みは、まちづくりの担い手について考える際に、参考とするべきものではないでしょうか。
 
〇 一方、本市の西部地域には、森の緑や清らかな流れ、さまざまな生き物に代表される豊かな自然環境があります。アートの取り組みの中で、これらを活用しつつ、国内外への情報発信につなげていくことも、有効な地域づくりの手段であろうと考えます。
○ アートをきっかけとした地域づくりの可能性について触れてまいりました。本市の西部地域におきましても、地域が持つ特性、また、これからの地域の担い手の思いを生かしながら、アートの持つ力を活用し、まちづくりにつなげられる可能性があるのではないかと考えますが、ご所見を伺います。