仙台市議会委員 加藤和彦のHP。活動及びプロフィールなどのご紹介。

 

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定例会一般質問

 
 自由民主党の加藤和彦です。
 新型コロナウィルスによる経済への影響が長期化する中、新しい時代への対応能力を持ち、新しい知識と発想が必要とされ、時代が大きく変わり始めています。産業構造が劇的に変わる中で、今後は世界を見据え、新次元型の経済施策に舵を切り、来るべきアフターコロナ後の仙台の街づくりについて大きく2点伺ってまいります。
 
■交流人口ビジネス活性化戦略
まずはじめに、この度改訂をした「交流人口ビジネス活性化戦略」と、間もなく始まる「東北デスティネーションキャンペーン」について質問をいたします。
 
「仙台市交流人口ビジネス活性化戦略」は2019年3月に策定されたものです。この戦略のなかで、「観光施策の対象は、いわゆる『観光』に限らず、出張やスポーツ観戦など様々な目的で本市を訪れる方々であるという視点を重視して取り組みをまとめた。」とされており、「観光」を狭くとらえるのではなく、幅広い範囲でとらえていること、そして、単に交流人口が増えればよいと考えるのではなく、「交流人口ビジネス」という新しい概念で、地域経済活性化を目指すという大変画期的な内容でありますが、この「交流人口ビジネス」は、どのくらい広い範囲の産業や業種を想定しているのでしょうか、伺います
 
■東北デスティネーションキャンペーン
この戦略の中の重点プロジェクトの6番目に、「東北のゲートウェイ推進」が掲げられています。そして、4月からは、「東北デスティネーションキャンペーン」がスタートします。今回のいわゆるDCは、東北が一体となり、半年にわたって開催されるものです。しかしながら、新型コロナウィルスの感染拡大を受けて、GOTOトラベルが中断され、交流人口ビジネスを担う幅広い業種の事業者の方々は大変厳しい状況にあります。さらに、首都圏をはじめ大都市圏ではいまだ感染者が多く、従来のような方法で開催することは難しいと考えます。
今回のDCは6ヶ月にわって行われるわけですから、例えば国内における感染状況を見ながら、プロモーションの範囲を最初は小さくし、徐々に拡大していくなどの方法も考えらえると思います。ご当局は、新型コロナウィルスの感染状況を見ながら準備を進めてきたと思いますが、開催方法等について、これまでどのような議論が行われ、どのような工夫を行う予定なのか伺います。
 
今回のDCは、「交流人口ビジネス活性化戦略」に掲げる重点プロジェクト「東北のゲートウェイ推進」を具現化する絶好の機会です。JRをはじめ関係機関や東北6県が連携して実施するものであることは理解いたしますが、10月の経済環境委員会で報告いただいた資料を見させていただいた限り、コンテンツ製作などは行っているようですが、残念ながら参加する一団体としての取り組みに止まっているという感が否めず、本市の狙いや意気込みなど、東北のリーダーとしての存在感が見受けられません。
ご当局は、DCの開催にあたり、これまでいかに東北各県や関係団体をけん引し、プレゼンスを発揮してきたのでしょうか。伺います。
 
また、今回の東北DCは開催することが目的ではありません。これを機に、経済活性化が図られなければなりません。つまり、今回のDCを契機として今後どのように交流人口ビジネスを活性化させるのかが重要です。いくら観光客に来てもらっても消費先となる宿泊施設やお土産屋、飲食店、さらにはイベント関連事業者がいなければ経済波及効果は高まりません。また、いくら体験メニューを何百も作ったと言っても、事業者が廃業してしまっては意味がありません。現在、観光関連事業者はコロナ禍の中、極めて厳しい状況にあります。ご当局は、これまで経済効果を高め、観光事業者を守るためにどのような支援を行ってきたのでしょうか。伺います。
 
さらに言うならば、今回のDCを産業間の連携を含む、東北全体の連携の促進に向けた大きな契機をとするとの意識が重要です。現在の状況を鑑みれば、新型コロナウィルスが終息するまでに、あと2~3年かかる事態は十分に想定されます。100年前のスペイン風邪や2002~2003年にアジアで流行したSARSが終息したのは、人口の約7割が抗体を持つ状態になってからです。ウイルスに対する免疫力が高まるのを待ちつつ、バランスを取りながら、将来に向けた経済活動を行う方法を考える必要があります。
世界の観光業を見てみれば、ヨーロッパ人のバカンスや100万人とも言われる一部中国人の観光富裕層など、ビジネストリップとデスティネーションツーリズムの規模は自動車産業よりも大きな位置づけを占めています。
一方、東北地方はその清らかで美しい自然や豊かな山海の食材に恵まれつつも、美味しいレストランや宿泊施設はまだまだ不足している状況であります。
フランスやイタリアには、どんな町にも美味しいレストランと十分な宿泊施設があり、魅力的な観光地を形づくっています。東北も素材はたくさん満ち溢れています。必要なのは、そうした魅力的な素材を観光資源に作り変える構想力であり、プロデュース能力であると考えます。その観点から、地域に密着し、地元の人材や企業を熟知し、資金力もある地方の金融機関の持つポテンシャルを地方創生の核・触媒にし、活用することが極めて有効な手段となるのではないかと考えます。
今回のDCは東北の魅力、特に農水産に代表される食をしっかりとPRすることはもちより、観光の土台となる農業・水産業といった産業や金融業との連携を、新たな視点でさらに強化し、雇用も創出するという新たな東北連携を促進する絶好のチャンスと捉えるべきであります。
 アフターコロナを見据え、今から準備をすべきと考えますが、DCを契機とした東北連携に向けたビジョンについての考えお示しください。
 
■青葉区のまちづくり
次に、本議会に提案されている新総合計画に関連して、青葉区のまちづくりについて伺ってまいります。
 
今回の計画策定のプロセスでは、市民参画の機会が設けられておりました。青葉区においては、区民まつりでの試みなど、区民参加の機会が3回あったことに加え、中間案の説明会は、広瀬文化センターと市役所本庁舎で2回行われています。青葉区のイメージ、将来像について、夢のある提案、またすぐにでも取り組むべき課題など、貴重な意見が多数得られたということです。それらも踏まえて、基本計画の区ごとの地域づくりの方向性が示されたものと理解しているところです。
青葉区の方向性は、区を5つの地域に分けて、それぞれの特性や動向を示したうえで、4つの方向性が示されています。それぞれ地域性があり、それに伴うまちづくりの違いが出てくることはやむを得ないことと考えるものではありますが、心配になるのは、まちづくりへの差が出てくること、いわゆる地域格差の問題が生じることへの懸念であります。
青葉区の中心部は本市の中心部でもあり、都心まちづくりを始め勾当台ビジョンや定禅寺通活性化など各種の施策、事業が計画、実施されていくこととなります。それは必要かつ重要なことであり、しっかりと進めていくべきと考えます。一方、基本計画、実施計画とみていくと、「先端技術を活用した宮城地区の課題解決事業」が目立つものの、それ以外の青葉区内においては、地域を特定した事業がほとんど見当たりません。地域にお住いである、あるいは各地域と関わっている方々は、自らの地域が計画に出てこないことを残念に思っているのではないかと感じるものであります。区内全体を対象とする事業があるとしても、それぞれの地域との関係は見えにくくなっているのではないでしょうか。
各地域の特性や課題、ニーズをしっかりと捉え、地域づくりにかかわる皆さんと連携し、適切に施策を展開していくことが必要であると考えますが、その第一線である区役所において、地域性の違いを踏まえつつ、バランスよく進めていくための取り組みは、如何お考えか。伺います。
 
さて、地域性に着目した事業としては、宮城地区西部における取り組みが特筆されます。先ほど触れた先端技術を活用した課題解決事業では、ICTを活用した取り組みが進められております。私も新川地区での深水管理による稲作の成果を見させていただきましたが、当初の地域の方々の疑念、戸惑いが嘘のような、良質なコメの収穫が得られており、今年はさらなるICT活用、省力化、また収量増への取り組みが始められようとしていると聞いています。また、昨年スタートした八ツ森地域交通も、地域の方々に重宝されており、次のステップに向け好評に推移している状況です。
これまで、私は、平成31年第1回定例会、令和元年第4回定例会において、西部地区のまちづくりにおいては、芸術、アートを切り口とした地域活性化の観点からも検討をしていくべきと指摘してきました。この間、作並小、新川分校、大倉小が閉校となり、地域に大きな影響が出ている中で、その跡施設の活用に関して、現在も様々な事業者等と試行していると聞いておりますが、地域の考えを踏まえつつも、芸術文化の視点からの活用についても進めていくべきと考えます。これらも含め、宮城地区西部で展開されている事業の進行状況と、DX(デジタルトランスフォーメーション)等も踏まえた今後の取り組みについて伺います。
 
このような宮城地区西部での取り組みは、西部地区の活性化に資するだけではなく、本市域からのアクセスを考えれば、その主要なルートとなる愛子地域のまちづくりとも関連していくものととらえています。機能分担や連携を図ることにより、宮城地区全体の活力向上につながるものです。
子育てや地元資源の活用、地域史を生かすなど、西部地区、愛子地域だけではなく、まちづくりに向けたさまざまな地域内、地域外の動きが出てきております。これらをそれぞれの地域だけの取り組みに留まらず、魅力あるまちづくりとして進めていくためにも、総合支所の役割、機能強化がさらに重要になっています。広い管轄区域にあって、均衡ある取り組みをコーディネートしていくことが望まれているものと考えます。そうした中、今般の組織改正において、地域活性化推進室が宮城総合支所に設置されることとなりました。
かねてよりこうしたさまざまな取り組みを進めるためには総合支所のさらなる機能強化が必要であると指摘してきたところであり、現状を踏まえた上での組織機能強化と受け止めておりますが、今回の組織改正の意図、方向性についてあらためて伺います。
 
地域の方々との連携、協働により事業が進捗していくことはたいへん喜ばしいことであります。一方で、昨年から続くコロナ禍は、地域のまちづくり活動に大きな影響がありました。区内最大のイベントである区民まつり、宮城地区まつりが中止となったことを始め、市民センターまつりや地域の夏祭り、防災訓練、新年会など地域の絆を深める行事までが中止、無期限延期となり、町内会の会議等でさえできなくなっている状況と聞いています。
あらためて基本計画を見ていくと、新型コロナウイルス感染症が市民の生活や地域経済に深刻な影響を与え、一人一人の暮らし方や働き方も見直されているとした上で、変化の中から新しい可能性を見出すことが求められると書かれています。今現在は、市民の理解を得ながら、引き続き感染予防に注力するとともに、迅速かつ円滑なワクチン接種に向け、全力で取り組む時期であることは言うまでもありません。しかしながら、基本計画、実施計画の遂行に当たっては、その先を見据えた展開を意識しながら進めることになるはずです。
計画中には、市民一人一人の適切な感染症予防行動の定着を図っていくとの記載があり、そうなると、今後も地域での活動にはコロナ感染防止が不可欠となり、さまざまな制約が生じることも想定されます。ワクチン接種への動きが進められてきておりますが、感染の収束が未だ見えない今、いわば地域活動の立て直しとでもいうべき、ウィズコロナ、そしてアフターコロナを見据えた中での活動への取り組みへ、新たな視点での支援が必要ではないでしょうか。
忘れてはならないのは、活動主体、すなわち地域の担い手、プレーヤー育成である。地域活動は一過性のものであってはなりません。イベントなど一見単発のものを実施することがあっても、活動を積み重ねていくことで、地域の活力向上、暮らしやすい地域づくりに結びつける、息の長い取り組みにしていかなければならないことは言うまでもありません。ウィズコロナの中では、リモートワークやワーケーションなど、これまでと異なる働き方が可能となる方も出てきています。作並地区は、東京駅から乗り換え1回で、約2時間半。新しい働き方の中で、住まいや活動拠点として検討に値する可能性もあるのではないでしょうか。こうしたこともチャンスととらえ、お住まいの方はもちろん、お住まいではなくともかかわりを持ちたい地域外の方々なども視野に、多様な人材を育て、コーディネートし、一緒に動いていくことも、先ほど触れてまいりました観光の土台づくりに繋がっていくものであり、アフターコロナに向け、重要な意味を持つと考えます。
こうしたことも踏まえれば、これまで取り組みを進めてきた、先端技術活用や西部地区活性化事業だけではなく、今後取り組んでいく施策においては、総合支所管内に留まらず、青葉区全体での取り組み、展開が望ましい、あるいは必要であるものが増えてくるものと考えます。そのためには、宮城総合支所だけではなく、まちづくり推進部を中心とする青葉区役所と、2つの組織がそれぞれの地域のまちづくりと密接にかかわり、人材育成も考えながら支援していく必要があります。
「ウィズコロナ」「アフターコロナ」を意識した活動の必要性が叫ばれている中、宮城地区西部の取り組みを限定的なものとせず、他の地域も含めた青葉区全体の取り組みにどう活用し、地域の方々のまちづくり活動とともに歩み、支えていこうとしているのか伺います。