仙台市議会委員 加藤和彦のHP。活動及びプロフィールなどのご紹介。

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定例会一般質問

 
          令和7年度第1回定例会一般質問
                      自由民主党 加藤 和彦
 
自由民主党の加藤和彦です。
宮城総合支所建替えに伴う地域のまちづくりと交通問題、及び本市の体育施設のビジョンについて、順次質疑してまいります。
 
1 宮城総合支所建替えに伴う地域のまちづくりについて
①庁舎建替えとまちづくり
まず始めに、宮城総合支所の建替えに伴うまちづくりについてです。
昨年12月、宮城総合支所建替えについての基本構想中間案が公表されました。現庁舎の課題を解決し、誰もが利用しやすく、災害にも強い庁舎、宮城地区の環境に調和して、地域の皆さんに親しまれる庁舎とすべく、「みんなのMIYASO」を基本理念とし、「やさしいMIYASO」「つよいMIYASO」「緑いっぱいMIYASO」の3つの基本方針からなるものです。今年度末までには基本構想を固め、令和12年の完成に向け、新年度は基本計画に着手する予定となっています。現在の総合支所建物は昭和54年建築であり、老朽化と狭隘化が著しく、保健センターとの統合・合築も含めて、よりよい住民サービスを提供するためには建替えは必須であると考えるところであり、まずはこの動きを歓迎したいと思います。
一方で、ただ単に役場の建物を建て替えるだけでは、まちの未来のためにはなりません。地域の特性を生かしたまちづくりの中で、総合支所の建物をどう位置づけるか、総合支所がどういう役割を果たしていくかをしっかり考えていくことが重要です。
折しも、総合支所の周辺では大規模な区画整理が進んでいます。これは公共施工でなく民間施工ですが、まちづくりの観点から見れば、この区画整理と連携し、周辺の開発と連動しながら取り組んでいかなければなりません。この区画整理事業では、愛子駅周辺と住宅エリア、仙台都心と山形など、様々な地域同士をつなぐ連携拠点として、地域の豊かな自然、食と農をテーマとしながら、人・地域・自然・文化がつながる、交流拠点形成を目指すものです。愛子エリアは、開発可能な大規模な土地が残されており、ポテンシャルが高く、まだまだ発展の可能性があります。秋保との連携はもちろん、県境を超えて仙山連携の拠点にもなりうる立地も大きな利点です。
そうしたエリアの中での総合支所建替えとなるわけですが、自前で庁舎を建て替えるのも一つの方法ではあることは否定しないものの、民間連携なしに単独でものを考えたのでは
エリアの分断につながりかねません。今の全国的な流れは官民連携だと思いますし、現に民間とのコラボが増えてきています。
昨年7月に、北海道小清水町を訪問する機会がありました。北海道の北東部、網走市と知床半島の間にある、人口5,000人に満たない小さな町で、ジャガイモなどの畑作を主な産業としながら、オホーツク海沿いにある原生花園など自然に恵まれ、観光にも力を入れています。
そんな町に令和5年、防災拠点型複合庁舎「ワタシノ」がオープンしました。この複合庁舎は、地下1階地上2階建てのシンプルな建物ですが、延べ面積約3,900平方メートルのうち、町役場の面積は約3分の2ほどであり、残りの3分の1は住民の交流・健康づくり拠点である賑わいエリアが占めています。その賑わいエリアには、1階の交流スペース「にぎわいひろば」の周辺に、フィットネスジム、カフェ、コインランドリーといった民間施設がおかれ、役場に用事がない住民も気軽に立ち寄れるような仕掛けがなされています。また、温泉施設も併設されており、冬季でも施設全体が温泉熱で温められます。
「ホッタス」と名付けられたフィットネスジム・スタジオは、健康に関心のある女性層をターゲットにホットヨガをPRポイントに安定的に会員を集め、カフェ「もいもい」は、地元産のジャガイモを使用したコロッケやフライドポテトなどの軽食の提供を中心に18時まで営業し、観光客にも売り出すとともに、コインランドリーは年中無休の24時間営業となっています。
さらに特筆すべきは、この複合庁舎は、身の回りにあるモノやサービスを、日常時はもちろん、非常時にも役立てるという考え方、いわゆる「フェーズフリー」によって、災害などの非常時には、フィットネスのスペースは一時避難に、にぎわい広場やカフェは備蓄や炊き出しに、ランドリーは清潔さの保持に、それぞれ活用できるよう設計されています。
 この素晴らしい施設は、町と民間の地域活性化企業人を核としながら、自治体、民間企業、地元のNPO法人がタッグを組んで、企画・建設し運営を行う官民連携の賜物です。さらに言えば、できるだけ町費に頼らないという発想で、ジムのマシンに国庫補助を活用したり、施設の運営は地元のNPO法人を指定管理者とし、町の支出は指定管理料数百万円と電気代のみだそうです。担当の方の説明を聞き、官民連携で、地域のためにいいものを作っていこうという姿勢こそ大事だと感じました。
事例として小清水町を取り上げましたが、背景や地域性がそれぞれに違いますので同じものを作るべきというものではありません。重要なのは、総合支所の建物を単に建替えるだけのでなく、「民間と連携しながら周辺エリアとともに魅力あるまちづくりを進めていくこと」であります。建替え基本構想の27ページでも、事業手法として「官民連携により、施設の整備もしくは開発を進める手法」としていくつか列挙がなされ、「事業手法については基本計画において検討する」とされています。あらゆる可能性を考えながら、民間とも話し合いの場を持ち、課題を一つ一つ整理しながら前に進めていくべきと考えますが、官民連携を意識した総合支所建替えと周辺のまちづくりに関し、今後の進め方についての考えを伺います。
 
②愛子エリアの交通問題
関連して、当該エリアの交通問題について伺います。
これまで述べてきたとおり、総合支所の建て替えを契機としながら、区画整理と連携して「まちづくり」を進めていくべきです。そうして人や車の行き来がより活発になれば、交通問題が現在よりもさらに大きな課題となって顕在化することは間違いありません。国道48号バイパスは現在でも交通量が多く、錦が丘から愛子駅方面を結ぶ道路との交差点をはじめ渋滞が激しく、抜本的な対策が必要です。
バイパスを横断するのに歩道橋は一つあるものの、多くは横断歩道であり、歩行者が多くなれば安全上問題が生じることは明白です。私は、将来的には地上か地下かいずれかの方法でバイパスをまたぐ、歩行者用の自由通路が必要なのではないかと思います。
あるいは、今話題の都市型ロープウェイを、総合支所・文化センター近辺から錦が丘中学校を経て、中央公園あたりまで敷設するのも面白いかもしれません。その経路であれば人家も少なく、泉中央エリアから北へというルートよりは現実的な気もします。
さらには、将来的な交通量の増加を見通せば、バイパスと旧48号だけでなく、もう1本東西を結ぶ道路も必要になってきます。具体的には、現在の宮城総合支所の北側から、斎勝川を超えて、栗生小学校近辺までを結ぶ道路が整備されれば、交通量の増加と渋滞抑止にもつながるのではないでしょうか。
もちろんあれもこれも何でもやればいいという話ではなく、優先順位や費用対効果をよく考えながら、市でやること、区画整理事業でやること、民間でやること、また連携しながら国に要望することなど、役割分担しながら考える必要があります。このエリアにおける交通課題について、現在の当局の認識と今後の方向性について伺います。
 
2 体育施設の整備ビジョンについて
①仙台市体育館の大規模修繕
次に、市内の体育施設の将来ビジョンについて伺います。
新年度から仙台市体育館カメイアリーナの大規模修繕が始まり、約2年間休館となるとのことです。機能を維持するため必要な改修を行うことは良いのですが、今の市体育館は、建設当時とは周辺環境が大きく変わっています。駐車場も少なく、周りも住宅地であり、大きな音が出るコンサートなどはとても開催できません。
地下鉄駅からの利便性の良さは認めるところですが、体育施設として駐車場の少なさは致命的であり、富沢駅周辺に限らず、広く鉄道沿線エリアに移転建替えし、現在の土地は宅地開発業者などに売却するなどすれば、十分な広さの駐車場を設置しても、財政的にもメリットが出るのではないか、とも考えるところです。今回の大規模修繕に反対するものではありませんが、将来的な課題としてそうしたことも検討すべきと思いますが、いかがでしょうか、考えを伺います。
 
②体育施設の整備ビジョン
市内には、仙台市体育館のみならず、様々な規模の体育施設がありますが、全国規模の大会に向けた体育施設があるわけではなく、将来的にどういうビジョンでもって体育施設を整備していこうとしているのか、私にはよく見えないところがあります。
とはいえ、全国大会レベルのアリーナなどの施設を作ろうとすると、観客席の確保含めコスト的に大変なのは理解します。であれば、強化合宿や、総当たりで試合をするようなプチ大会の開催にターゲットを絞った体育施設の整備を考えていくのがよいのではないか、と思います。こうした合宿やプチ大会は、子供たちが競技の腕を磨く場となることはもちろん、トーナメント方式の全国大会では敗退したらすぐ帰ってしまうのに比べて、仙台での滞在期間も長くなり、施設整備と誘致とをセットで進めることにより、本市の売りの一つにもなるのではないでしょうか。
私が関わっている剣道の事例を挙げますと、毎年3月に小学生主体で少年剣道錬成大会というのがあり、茨城県の水戸で開催されています。これには全国から約500チーム、5,000人が集まり、最低2日は滞在することになります。また、高校生の大会として、秋田県の武道館で3月末から4月にかけて開かれる魁星旗大会には、300チームが集まり、練習試合3日間、大会2日間と5日間現地に滞在し、日々熱戦が繰り広げられます。市民・地元の利用ももちろん大事ですが、こうした合宿や小中規模の大会の誘致を積極的に進めることで、スポーツ面だけでなく、経済的な波及効果にもつながっていくと考えるものですが、所見を伺います。
併せて、施設整備を考えていくにあたっては、運営も含めて民間活力の導入が不可欠であると考えます。例えば、カフェや小さい子供が遊べる場所を併設し、地域交流の場としての機能を持たせるなど、他都市では様々な先行事例があります。そうしたものを研究し、様々なスキームを活用しながら、民間活力を活用したこれからの体育施設の整備ビジョンを考えていってほしい、と思いますが、いかがでしょうか、伺います。
繰り返しになりますが、大会などの開催のためには十分な駐車場は必須です。数年前に市内の体育施設を会場としてインターハイが開催された際にも、競技によっては道具や着替えなどの荷物が多い場合もあり、駐車場の問題が関係者の間で話題になったこともありました。そうした交通アクセスの問題も含めて、本市の体育施設を市域内にどう配置すべきか、という施設整備のあり方を改めて検討してほしいと考えるものですが、所見を伺います。