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定例会一般質問 自由民主党の加藤 和彦です。新年度である平成30年度は、いわゆる一つの節目と言ってもよい政令指定都市移行30年にあたり、この時をとらえ、これまでの仙台市行政を振り返りながら、将来を見据えたあるべき姿について質問をいたします。
1人口減少・少子高齢化時代の仙台市の新たな展望について
平成元年4月1日、政令指定都市仙台がスタートした。市制施行100周年の記念すべき年に、21世紀の国際化、情報化時代をリードする大都市に向けて、大きく飛躍した。一地方都市であった仙台市は全国でも最も成長可能性に富み、一番住んでみたい都市と評価され東北の中枢な拠点都市として位置づけられた。
平成30年の新年度は本市の政令指定都市移行30年の節目であります。人口減少・少子高齢化時代、市政においても人口増加時代の成功のイメージから脱着して人口減少という過去にない社会情勢の中で、施政の現状と将来を冷静に分析して、将来の人口に見合った市政はどんなものか政策を考えていく必要があります。
都市人口の動きは、それぞれの都市の地理的・経済的などの条件で一律ではありません。平成29年度の国の政令指定都市の人口動向から基づいて、政令指定都市の人口動向の傾向で自然増はさいたま市、川崎市、福岡市だけで、その他の大部分の政令都市は自然減になっています。一方、社会増しているのは札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、横浜市、川崎市、相模原市、名古屋市、大阪市、福岡市、熊本市となっています。都市人口の動向で大きな要素として、都市機能や雇用、暮らしやすさなどが考えられます。
本市は伊達政宗が450年の様々な厳しい環境を乗り越えて、インフラ整備、産業の振興(河水千年、民安国泰)の歴史、伝統、文化、景観、自然、食、特産物を背景した特性と多様性がある、東北中枢の政令指定都市仙台として東北新時代をリードしてきた。人口減少・少子高齢化にあって持続可能な政策による東北らしさの地方創生への道、都市環境等を整備し地域経済の活性化の観点から地域資源の利活用により、実現の取り組みを一体的・総合的に推進しなければなりません。
市長は施政方針で市役所の出身でない私だからこそ、市役所改革を推し進めてまいりますと述べられています。私は持続可能な都市創生の課題を形成し、現今の改善に取り組むリーダーシップとして、市役所組織の多様性の機能強化が重要であると考えますが、所見をお伺いします。
2 区役所の機能強化
政令指定都市移行時、区の行政は、市民の日常必要業務をすべて区役所で処理するシステムとして大区役所制を採用した。文化施設やスポーツ施設など区ごとに必要とされる諸施設の計画的な整備を図り、区政懇談会の設置など区ごとの広報・広聴体制の整備を進め、市民の日常生活に密着した行政の展開に努めた。
これまでの定例会で、市民の信頼を高める大区役所制の改革(区役所・総合支所の機構)宮城総合支所の人口変動、機能強化、福祉サービス体制整備について提案。平成29年度は各区、総合支所にふるさと支援課を配置、市内5区が主体的に地域づくりに取り組む「ふるさと底力向上プロジェクト」をスタートさせ、本年4月から宮城総合支所の保健福祉業務が拡大し、きめ細かに対応する体制を整えつつあることは評価いたします。しかし、こうした体制は、あくまでも現在の課題に対応するものであり、めまぐるしく変化する現代社会の多様化、複雑化するニーズに果たして対応しきれているのか、疑問を持つものであり、将来の区のあるべきビジョンを示すものではないと考えますが如何でしょうか。
日本人の平均年齢という統計では、1960年が28.5歳であったものが、2010年には45.1歳に、さらに2030年には50.9歳という予測があり、この数字から我が国全体が高齢化していることは明らかであります。地方都市の多くは、人口減少・少子高齢化にあって、都市のスポンジ現象により地域経済が弱体化しています。こうした事態を受け、国は「地方創生」を掲げ、地方自治体による少子高齢化・人口減少の克服と地域経済の活性化を図ろうとしております。今後、都市間競争の激しさ、将来の人口を冷静に分析して、独自のカラーを出し、地域の魅力づくりを考えていく必要があります。政令指定都市仙台において、区役所が中心に区ごとに特性があり、官と民それぞれの得意分野を組み合わせ、魅力を備え「地域創生」へと進めていくべきと考えます。
これまでの区役所の体制の歴史を踏まえて区のあるべき姿の所見を伺います。
3 区役所における地域創生
本市には区役所が5区あります。青葉区では人口すでに31万を超え、東北における中枢を担う都市と言っても過言ではなく、宮城総合所管内に限定しても約7万3千人を擁しています。一つの行政体として十分に力を発揮しうる規模であると考えます。東北の政治、経済の中心である都心部から、山形県との県境までの豊かな自然との調和と、青葉区自体の魅力ある発信も重要ではありますが、もう少し視野を広げて、他の自治体との連携、特に仙山連携に代表されます。山形市、天童市、東根市といった県境を超えた連携もこれからの地方創生を考えていく際には極めて重要な要素となると考えます。こうした連携の中心的役割を担うのが、青葉区役所であり、より距離的にも近い宮城総合支所であると考えます。
そうした区役所の機能強化を考えるとき、忘れてならないのは、地域にある多様な主体、例えば産業界、教育機関、金融機関、NPOなどの存在であります。行政がこうした主体に呼びかけ、その中心となって、いわゆるこれまでの産学官の連携に加え、金融・労働・マスコミ、さらに新たな新規企業とのコラボといったより大きな枠組みの形成がこれからの地方創生には重要な機能を果たすものと考えます。とかく、本市においては、大学や大企業との連携を志向する傾向がありますが、私はもっと身近な存在、たとえば、地元の中学校、高校、中小企業といった主体との連携の強化も区役所が中心となって取り組むべきと考えます。そこへ、地域・郷土愛を持った市民や地域団体などの参画していけば、さらに相乗効果を生みだし、より身近で魅力ある地域創生が可能になると考えますが、こうした連携の枠組み形成に向けた当局のご所見を伺います。
私は、持続可能な地域創生への道は、従来の本庁発想でなく、区役所の柔軟な政策と考えます。
各区役所に住みやすい環境を備えた総合力、分野横断型の政策づくりのプロジェクトチームの設置、その政策の基盤となる調査研究のワーキングチームの創設、区が地域と連携を図りながら、自分たちの区の素晴らしさを自分たちで発信していく取り組みを進めることが必要であります。新しい視点で区のシティセールスを行い、本庁はそれを支援し、必要な時にトップセールスとして、区と連携して積極的に様々な施策を展開し、地域創生の魅力発信を行う取り組みが持続可能な地域創生への道を拓いていく。
シビックプライドという言葉があります。19世紀イギリスの都市で扱われた言葉で、「都市に対する誇りや愛着」という意味を持ちます。日本にも郷土愛という言葉があります。伊達政宗の「河水千年、民安国泰」、郷土愛で魅力的な城下町を実現しました。「シビックプライド」は思いだけにとどまらず、その都市の課題解決や活性化といった、具体的な取り組む姿勢も含む、さらに踏み込んだ概念であります。まさに次世代へ続く、時代の変化に対応できる街づくりの向上を図り強化するためにも、本市に於いても市民一人一人が地域に愛情を持って地域のために行動に移せる「シビックプライド」が持つ創富力で地域づくりが重要であります。地域創生への道は行政が示し、市民が自発的に参加に参與し達成するように導いて行くためには区役所の構造の機能強化が必要だと考えます。今後の区役所の新しい視点や考え方をどう創生して行くか、ご所見を伺います。
4 一定規模校確保に向けた取り組みについて
❶市内小中学校における一定規模未満校の現状
全国的な少子化の進行に関連して、本市の小中学校における小規模校への取り組みについて伺います。
本市の児童生徒は、昭和50年代後半から62年までがピークであり、12万人ほどおりましたが、平成29年度は8万人を切っていると聞いております。
教育委員会においては、「仙台市立小・中学校の一定規模確保に向けた基本方針及び実施方針」を策定し、小規模校への取り組みを進めております。
基本方針では、1学年複数学級を一定規模の基準としておりますが、今年度は、基準に満たない小中学校は何校あるのか伺います。
❷一定規模未満校に対する取り組み状況
一定規模確保に向けた実施方針では、望ましい教育環境の実現や改善を目的として、保護者や地域の方々に情報を提供するとともに、幅広く意見等をお聴きするなど、丁寧に取り組みを進めるとしています。
学校の今後のあり方は、保護者や地域住民の意向を踏まえながら、丁寧に話し合いを進めるべきであることは言うまでもありません。学校は地域コミュニティの核、地域のシンボルともいう存在です。
しかしながら、まず、第一に考えるべきことは、学校は子供たちの教育の場(考え抜く力・チームで働く力の育成・確かな学力の成長)であるということです。また、子供たちは、学校で友達との関わり合いながら人間関係を学び、大人へと成長した後は、将来の担い手となるべき地域にとって大切な存在です。学校のあり方は、その学校で生きる力を学び、そして地域で育つふるさと教育、子供たちの目線を大切にしながら話し合われるべきです。一定規模未満の学校で行われている話し合いは、何校で行われ、どのような意見が出ているのか伺います。
❸学校を統合した場合の通学の安全確保
本市西部地域には、児童の減少が著しい作並小と大倉小学校があります。
本市においても、特に小規模な小学校で、友達の人数は極めて限られ、進学する中学校も生徒数が少なく、楽しいはずの部活動も選べないという状況です。これでは楽しい学校生活を送ることはできず、そのような環境で学ぶ子供たちが不憫でなりません。それぞれの地域の実情はありますが、丁寧に話し合いをしながらも、統合を引き延ばさないようにすることが大切です。そこで、学校を統合する場合に、保護者が心配することは通学の足であると考えます。大倉小児童は全員スクールバスで通学していますが、作並小児童は便数の少ない市営バスか、保護者の送迎で通学しています。48号線は見通しが悪いうえに、車両の通行量が多く、乗り継ぎしなければならない児童もおり、決して安全な通学路とは言えない状況です。道路の横断も極めて危険なため、比較的通学距離が短い児童も保護者の送迎で通学せざるを得ません。児童の登下校の安全確保は最重要課題の一つです。作並小学校を統合することとなった場合には、児童の通学の安全確保はどのような考えなのか、便数の少ない市営バスは利用させず、また、保護者に負担をかけないようにスクールバスを導入し、児童の安全な通学環境を確保すべきと考えますが如何でしょうか、伺います。
❹地域の意向を踏まえた跡施設利活用
地域住民が統廃合に慎重になる理由には、地域の思いが詰まった学校が無くなってしまうことへの不安もあると思います。学校施設を統合後も大切に使い、その上、地域活性化に資する使用であれば、地域住民の不安解消にも繋がるのではないでしょうか。学校施設は、特に中山間部にとって地域活性化の目玉になる施設です。現在は、大都会からの環境の良い地域に移住しようとする人も多くなっております。他の自治体では、そのような移住希望者を呼び込もうと、様々な施策に取り組みを始めています。本市もその流れに遅れないようにして、人口減少に歯止めをかける施策の展開が必要です。他都市との移住者の奪い合いではありませんが、後手に回らないようにしなければなりません。
作並地域は、環境も良く、里山の自然に囲まれて勉強ができる地域です。例えば、本市の喫緊の課題でもある不登校児生徒が通えるフリースクールや、校庭・体育館を活用してスポーツの合宿所など、民間の力を借りながら活用する方法も考えられます。跡施設の一部は地域の声を取り入れて、住民が使用できる場とし、残りは、フリースクールや合宿所などに使用できれば、学校のまま使用でき、地域住民の思いも大切にできます。県外の子供たちの受け入れや利用できる仕組みがあれば、地域の子供たちとの交流も生まれ、地域愛が芽生えます。こうした交流が、やがて人口増加の1つにつながると考えます。子供が生き生きしている状況は、地域に期待を抱かせます。将来的に作並地区をモデル地区に指定するなどして、地域活性化に資することを条件とし、民間事業者等も利用しやすい跡施設利活用策を検討しては如何でしょうか、伺います。
❺教育委員会としての判断
学校は地域のシンボルであり、コミュニティの核として地域住民を繋いでいることなどから、地域住民の学校に対する思いは強いものがあります。しかし、特に西部地域の学校において児童生徒の減少は著しく、学校統合により児童生徒の教育環境を改善することは、喫緊の課題であると考えます。
地域住民や保護者の思いを汲み丁寧に話し合いながら、学校統合の必要性の理解に努め、より早い段階での学校統合の判断も必要と思われますが、所見をお伺いいたします。
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