仙台市議会委員 加藤和彦のHP。活動及びプロフィールなどのご紹介。

 

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定例会代表質問

 
 
 はじめに、本年10月に東日本全域を襲った台風第19号をはじめとする度重なる豪雨被害によりお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
今般の甚大な台風被害に鑑み、本市の防災対策について伺うとともに、本市が直面している重要課題と本定例会に提案されております各議案について、会派を代表して順次、質疑をしてまいります。
 
■台風被害対応関係
市長は、11月8日に今回の台風被害への対応として、特段政策的な判断を伴わない支出として、約32億円余り専決処分し、今定例会に報告するとともに、さらに一般会計、下水道事業会計を合わせ、約11億円余りの補正予算を提案しています。 
 今般の台風被害を考えますと、温暖化時の台風発生数が増え、温暖化の影響で豪雨の回数や、一回の降水量も増え、より気象災害が起こりやすくなると警告していて、強い台風が増える可能性の高いことが解っています。被害の甚大さを踏まえ、一層の尽力を図ることが重要です。
 
●宮城野区役所関係
一般会計補正予算中、庁舎等災害復旧費に係る債務負担行為の設定について、  
 
今回の台風被害により宮城野区役所の地下設備が浸水し、電源等の機能を喪失するに至りました。区の災害対策本部が置かれる区役所においてこのような事態が起こったことはあってはならないことだと考えます。 
 この復旧関係で債務負担行為7億8千万円を設定するとの説明ですが、今まで何らかの対策について、検討、実施をしてこなかったのでしょうか。仮に、事前の対策を講じていれば、今回の被害を軽減することもできたのではないか、これらの課題について当局の所見を伺います。
 電源喪失は大変重大な事態であり、そうした状況を想定しての事前の対策が必要であります。そもそも東日本大震災で地盤沈下をおこしている宮城野区にあって、災害対応の拠点となるべき区役所において、電源を喪失するという今回の失態は危機管理上の甘さがあったのではないか、これまで危機管理部署との協議等を行ってきているのか、その所見について伺います。  
 今回は復旧工事に関する債務負担行為の設定ですが、たんに元に戻しただけでは、再び同じことが起こる可能性を否定できません。復旧工事は万全を期すべきと考えます。今後の対策については、どう考えているか伺います。
 
●災害救助法改正関係
また、今回の台風19号は、本年4月に救助実施市に指定されてから、初めて災害救助法を適用した災害となったわけですが、適用の判断やその後の災害救助事務をどのように実施してきたのか、権限が移譲された効果も含め、この間の取り組みについて伺います。
 
●緊急エリアメール
台風19号やその後続いた大雨に対し、当局においては早期に避難準備・高齢者等避難開始を発令し、早めの避難を呼びかけました。台風の際には、段階的に被害の危険性が高まっていくのに伴い、避難勧告や避難指示へと順次、情報を発令しておりました。その範囲は市内全域の土砂災害危険個所や、河川の浸水想定区域に及んでおり、さらに何度にもわたり、避難情報を伝える緊急速報メールが配信されました。当局においては適切に対応いただいたものと考えます。気象庁から出される防災情報は、きめ細かく、高度化されています、スマホのアプリ進化もめざましく、時々刻々の気象情報が簡単に入る時代、「自分の命は自分で守る」ことを肝にすえて、ぜひ早めに身を守る行動をとる、気象庁の予測や、過去の災害情報などのデーターを活用し、もう少し対象エリアを絞り、より適切なタイミングで避難情報を発令するなどの対応の見直しを検討してもよいのではと考えますが、ご所見を伺います
 
 
●避難所関係
避難所についても伺います。市内のほとんどの指定避難所は、学校の体育館を使用することになっていると思いますが、今回のような大雨災害においては、校舎の2階などをあらかじめ使用できるようにしておくことが肝要と思われます。浸水が想定される地域の避難所においては、事前に地域や学校と調整を行った上で、2階以上に避難することになっているところですが、それ以外の地域の学校については、避難所が開設された後に、校舎を使用することや避難者を誘導することは困難であり、そのような可能性も考え、2階以上の校舎を使用することについて、学校と事前に調整しておくことが必要と考えますが、ご所見を伺います。
 
●台風と線状降水帯への対策
近年の豪雨災害は、台風の巨大化や、線状降水帯による激しい豪雨など、風水害の激甚化が懸念されております。本市においては、東日本大震災以降、地震や津波に対する備えは進んできたものと思いますが、豪雨災害への対応についてはいかがでしょうか。一般に台風と線状降水帯では、降雨の範囲や時間が異なることから、市民への啓発や避難情報の発令、災害対応において、それらの特徴に応じた適切な対応が必要になるものと存じますが、今後の取り組みについて伺います。
 
●古い団地の法面対策・民有地の法面対策
また、今回の台風においては市内各地の丘陵部などで土砂災害が発生し、住宅地が被害を受けました。
これらの造成時期の古い住宅地では、今後、擁壁等の老朽化がより一層進み、宅地災害の発生が懸念されますが、こうした個々の住宅地の法面や擁壁は民有地であるため、新しい擁壁への作り替え等の対策が進まないものと考えられます。
災害の発生は、天気、地面状態や、土壌の種類と、保水状態、堤防整備など治水状況など深く関係している。このような民有地の擁壁や法面について、防災減災の観点から市はどのような対策を考えているか伺います。
 
●農業分野の対策(稲わら・ため池等)
農業分野の対策についても伺います。稲の刈り取りはおおむね終わっていたことから、米の被害は少額で済みましたが、刈り取り後に田に置かれていた稲わらの流出への対応が必要となり、農作物では、収穫前の大豆や野菜を中心に
3億円を超える被害となっています。また、土砂の農地への流出や水路、農道、ため池、排水機場の損傷など、農地・農業用施設としては10億円を超える被害が生じています。
 来春の営農再開に間に合うよう、早急な対応を求めるものですが、まずは、流出した稲わらの処理について、現在の対応状況と今後の見通しについて伺います。
被害を受けた農地や農業用施設については、早期の復旧とともに、過去に何度も被害が発生している地区の状況も把握しながら、ハード・ソフト対策の充実が必要と考えます。例えば、ため池は市内に斎勝沼も含め約500ヶ所ありますが、このうち13ヶ所で土砂の流入や法面の損傷がありました。国は、昨年7月の西日本豪雨を踏まえ、ため池の改修等の緊急対策として予算を拡充したところです。こうした国の予算も活用し、さらなる拡充も求めながら、国や県とも連携し、農業用施設の機能向上に向けた取り組みを充実していくべきと考えます。自然の脅威をすべて取り除くことはできませんが、最大限被害を軽減できるよう、農業分野における今後の災害対策の取り組みについて伺います。
 
●河川事業(国・県と連携した河川の災害対策)
 近年の雨の降り方は変わってきている、強い台風が増え「降ればどしゃ降り」これまで経験したことがない大雨が降り、被害も甚大化している。これまでの河川整備計画では、堤防の決壊の有無、氾濫計算、流れ、湛水の浸水など、こうした大雨に十分な対応が可能なのか、懸念される状況であります。 
本市でも、台風第19号による大雨により、七北田川流域の一部および旧笊川の流域では浸水被害、河川の氾濫が発生しました。当該河川の管理者が宮城県であることは承知しておりますが、本市としても今後の大雨への対応として、さらに必要な対策を進めるべきと考えるものですが、いかがでしょうか。
その際、市内の大きな河川は国や県が管理者であることから、国や県とのいっそうの連携も不可欠であると考えますが、所見を伺います。
 
 
●下水道対策(内水対策)
 今回の台風による浸水被害では、河川等への排水が追いつかず、低平地では内水氾濫による浸水被害が多数発生した。 
 昭和61年8月の豪雨を契機に、主に市街地の雨水排水を担う下水道事業で雨水対策の整備水準を見直し、これまで30年あまり整備を進めてきていますが、それでも雨水排水整備率は、35%程度にとどまっています。 
 整備率がもっと高い状況であれば浸水被害も軽減されると考えられ、もとより、膨大な事業費を要する事業であるが、今後も激しさを増す豪雨が想定されることから、その対策は緊急対策を講じていく必要があります。
 そこで、現行の整備水準の見直し、下水道など排水能力が限界を超えて市街地等への侵入することを防ぐ整備など強化する効果的・効率的な事業の対策を進め、一層の事業推進を図るべきものと考えますが、如何でしょうか。 
 特に、東日本大震災による地盤沈下の影響が残る地区においては、浸水の危険度が高まっており、重点的な対応が必要と考えますが、所見を伺います。
 
●今後の予算対応
今回の災害対応としては、専決処分と補正予算案の合計で約44億円でありますが、市内広範囲にわたる数々の被害を勘案すれば、これで十分とは到底考えられない状況かと推察いたします。特に、農業用施設等においては未だ調査が完了していないものもあると伺っているなど、復旧や今後の災害対策に必要な予算は第一回定例会補正や新年度予算において、しっかりと手当てすべきと考えるものですが、当局はどのようにお考えでしょうか、伺います。
 
■来年度予算編成等今後の財政運営(財政)
次に、今後の財政運営の懸案になると思われる事項等を中心に対応の方向性について、以下、伺ってまいります。
 
●財政運営についての認識
先の決算議会においては、少子高齢化・人口減少社会の進展等により、市税収入の伸びが見込めない中で扶助費等の増加が止まらず、経常収支比率が100に近い値で推移するなど、財政が硬直化した状況にあることなど、本市の財政は予断を許さない状況であることが明らかとなりました。
財政状況が厳しい折、先般の台風はもとより全国で頻発する災害への備え、また、インフラや公共施設等の老朽化などへの対応は喫緊の課題として迅速な取組みが強く求められる一方、さらに、今後本庁舎建替え事業の本格化、音楽ホールや震災メモリアル拠点の整備など、大規模なプロジェクトも控えております。こうした状況を踏まえ、まず、今後の財政運営についての認識をお伺いいたします。
 
●財源確保の取組み
郡市政においては、これまで小中学校へのエアコン設置や、中学校へ35人以下学級の導入、都心再構築プロジェクトなど多額の財政需要を伴う施策に順次取り組んでおりますが、今後とも、財政の健全性を確保しながら、本市にとって必要となる施策や政策課題への対応を推進していくためには、まず、本市の自主財源の根幹である市税収入の安定的な確保に一層取り組む必要があります。
徴収対策の早期着手やAIを活用した分析など、当局の意欲的な取り組みは評価するところでありますが、さらなる収入率の向上に向け、現在どのような点を課題と捉え、今後どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
また、本市の地域経済をより活性化させる観点からの税源涵養の取組みが必要不可欠であり、「仙台経済成長戦略2023」などに掲げる各般の施策を進めるほか、公共事業の事業量確保など、必要な予算を重点的に配分していくことで効果的に税源涵養を図るべきと考えるものですが、如何でしょうか。
 
●事務事業見直しと公共施設総合マネジメント
税源涵養の視点と同時に重要なのが、歳出の抑制と平準化の視点です。
仙台市役所経営プランに基づく行財政運営の効率化のほか、費用対効果等の観点から不断の事務事業見直しを進めるとともに、今後も、規律ある財政運営を意識し、将来にわたって財政負担の平準化を図るためにも公共施設総合マネジメント事業を着実に進めていくべきと考えるものですが、如何でしょうか。
 
■総合計画関係(まちづくり)
次に、現在策定中の新総合計画について、私は、人口減少や少子高齢化など、地域課題が複雑化する中にあっては、従来型の計画ではなく、仙台の特性を生かした前向きな計画を作っていくことが求められるものと考えており、そのような視点から数点伺ってまいります。
 
●本市の強み
そのうちの一つは、10年という長期にわたる総合計画は、ともすれば総花的なものとなり、どの自治体の計画を見ても構成の違いこそあれ、あまり変り映えしないものとなるのではないか、ということです。本市の特性、個性といったものをしっかりと把握し、他地域と差別化を図りながら、激化する都市間競争を勝ち抜く計画となるよう、留意すべきと考えますが、まず初めに、本市が目指す都市の姿の前提となる、本市の独自性や都市個性、あるいは、強みといったものについて、どのように認識しているのか伺います。
 
●東北のハブとしての仙台
 資料によれば、市の人口は、2017年に自然減に入り、今後、2020年から21年をピークに、以降緩やかに減少していくとのことですが、一方で、東北各県の人口は、すでに1990年代には減少に転じ、そのスピードも加速度的に増しており、国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2045年には2015年から3割減少するとされています。
ここで気を付けなければならないのは、東北の人口減少の要因は、少子化だけではないという点であります。仙台市から首都圏への社会移動、つまり人口の転出超過は、2017年度は3502人と政令指定都市の中で第1位、2018年度は第2位となったものの、3880人と状況は悪化しています。東北全県の状況も同様で、山形新幹線や秋田新幹線の開業により、若者たちにとって東北と首都圏の距離が時間的にも心理的にも大変近くなったことも影響してか、6県全体では毎年2万人を超える人口が首都圏に流出している状況であります。現時点では仙台市の転入超過が続いてはいるものの、支店経済都市とも言われるだけに、いったん東北の若者が仙台を通り過ぎて首都圏へと流れてしまう「仙台パッシング」が本格化したならば、仙台への影響にとどまらず、東北のダム的機能が損なわれ、引いては東北全体の「活力」の低下につながりかねない危機的な状況であります。
私はかねてより、東北の発展なくして仙台の発展はないという考えのもと、東北において、本市が担うべき役割について質疑をしてまいりました。本市の強みの一つに全国、世界への発信力がありますが、これを生かして、東北の強みを本市が外に発信していくことが重要と考えています。では東北の強みは何か。日本の農林水産物、食品の輸出は近年着実に伸びています。国の統計によりますと、2018年のわが国の農林水産物の輸出額は、対前年比12,4%増の9068億円であり、これは6年連続の増加であるばかりでなく、政府が1955年に統計を開始して以来の最高値を更新したとのことであります。特に農産物の伸びが大きく、対前年比14%増の5661億円を記録しました。
アジア諸国の購買力の向上、あるいは、2013年の和食の無形文化遺産登録などによる世界の和食への関心の高まりに加え、2016年の国が取りまとめた「農林水産業の輸出力強化戦略」に基づく、海外プロモーションに関する施策、輸出先規制や国際認証取得への支援策などのサポート体制も、輸出の順調な拡大を後押ししているものと考えています。
東北はまさに農林水産物の宝庫であり、東北の強みである品質の高い豊富な農林水産物の輸出市場の拡大に向けた、仙台の役割が重要であります。輸出の拡大が、企業の農業参入や、IoTなどの最先端技術の活用を促し、輸出をさらに加速するという好循環が生まれるものと考えます。このような東北の農林水産物を始めとした特産、名産はもとより、四季に応じた魅力を持つ豊かな自然や、各地の特色あるお祭りに代表される多様な文化など、東北各地の様々な魅力を仙台がハブとなり全国、世界へ発信することは、物産の販売促進にとどまらず、東北における交流人口の拡大、ひいては働く場の確保にもつながります。そのような東北のハブ機能を担うことが最大の役割ではないでしょうか。新総合計画策定にあたって、どのような認識をお持ちなのか、市長の想い、ビジョンについてお示しください。
 
●スマートシティ
 人口減少社会において東北唯一の政令指定都市としての強みを生かす取り組みとして、私はスマートシティがあると思っております。このスマートシティは、2000年代に欧州を中心に、都市を支えるエネルギー供給と消費の最適化を目指すものとして始まったものであります。現在はIoT、AI、ロボティクスなどのデジタルテクノロジーの発展に伴い、モビリティ、医療、介護、健康、食料、交通、移動、教育、福祉、防災・減災、行政、金融といった都市における人々の生活のほぼすべての領域をテクノロジーにより最適化しイノベーションを通じて都市を丸ごとスマート化することにより、住民の生活の質を向上させることに主眼が置かれています。
一方で、スマートシティの中にも、様々な規模のものがあります。千葉県柏市の「柏の葉スマートシティ」のように、自治体の中の一部の地区に限ったものもあれば、フランスのスマートリージョンのような複数の自治体をまたぐ広域行政において実施されているもの、シンガポールのようにスマート国家を目指しているもの、さらにはフィンランドのヘルシンキとエストニアのタリンのように海を挟んで向かい合う二つの都市が共同してスマート化を目指す動きもあります。
本市では、泉パークタウンにおける取り組みが国の重点事業化促進プロジェクトに選定されたと伺いました。さきほどご紹介したように世界各地でのスマートシティに向けた取り組みが様々ある中で、今後、人口減少局面を迎える本市においては、どのようなまちづくりをしていくのか伺います。
 
●都心まちづくり(勾当台エリア)
 新総合計画に影響を及ぼすとも考えられる都心まちづくりに関する問題について伺います。先般、市役所本庁舎建替えの完成目途が半年遅れるという報告がありましたが、新たな本庁舎は、多くの市民がまちづくりに参画し、集える機能を有するものとし、新本庁舎低層部、敷地内広場、さらには勾当台公園市民広場との一体利用についても検討されていますが、私としては、いま一歩広い視野から検討すべきではないかと考えています。
勾当台公園の市民広場では毎日のように様々なイベントが催されており、新本庁舎との一体的な利活用の検討は不可欠なことについては私も異論がありません。一方で、勾当台公園全体としてみれば、野外音楽堂や親水施設、市民広場の地下駐車場なども老朽化が進んでおり、こういった状況等を踏まえると、公園部分全体の見直し、大幅なリニューアルの時期を迎えていると言えます。さらに、市民広場の南側にある定禅寺通の活性化に向け、現在、地元の方々を中心とした検討会で将来構想について検討が進められているところですが、これに大きな影響を及ぼすものとして県民会館の移転も濃厚となっています。勾当台エリアは、まさに大きな変革期にあるといってもよく、駅前に並ぶ本市都心部のもう一つの核として、本市のまちづくりに大変重要な拠点となる地域であります。もっと幅広い視点から、市長が率先してこの地区のあり方についてのビジョンを打ち出す必要があるのではないかと考えますがご所見を伺います。
 
 
 
●県との協議
 県民会館の移転先は、駅東の国立医療センター跡地であり、併せて県立美術館の移転も行うという県の方針が示さました。先日、市長は知事と会談し、両施設のあり方、跡地活用について今後意見交換をしていくこととしたとのことであります。多くの市民、県民が利用するこれらの施設のあり方について、県市で協議していくことは当然ですが、県の発表により、県に主導権を握られて検討が進んでいくことを危惧せざるをえません。この問題については、市側で先んじて検討し、市の考えを示したうえで、県に対し協力を求めていくことが重要であります。これこそが政治家である仙台市長のミッションだと考えますが、市長にはそのようなお考えはあるのでしょうか、伺います。
 
■先端技術の活用による宮城地区活性化(青葉区)
また、併せて、地域活性化の観点で宮城地区における今後の方向性についても伺っておきます。
宮城地区西部においては、少子高齢化、人口減少が急速に進んでおり、今年度末には、作並小学校と大倉小学校の2校が上愛子小学校に統合されることになっております。
 地域の方々と接する中で、地域コミュニティの重要な核である小学校がなくなってしまうことで、地域の衰退が一気に進んでしまうのではないかといった不安の声を伺っておりますが、こうした声は、当然のものであり、この地域の活性化に向けた取り組みは、喫緊の課題であると考えます。
 改めて、市長は、宮城地区西部の活性化についてどのような認識を持っておられるのか、まず、伺います。
私は本年第1回定例会において、さまざまな先進技術、例えば、自動車の自動運転やドローンによる宅配といった新たな技術の実証やアートをきっかけとした地域づくりといった手法も、宮城地区の発展に向けた一つのテーマになり得ると考えており、そうした取り組みを、本市から世界に発信していくことで、未来を担う子供たちをはじめとして、地域の皆様に大きな夢を与えることができると考えている旨申し上げるとともに、重視すべき点として、これからのまちづくりを考えていくに当たり、職員の主体性の重要性を指摘させていただきました。
これまでの本庁と区役所といった関係ではなく、自分たちの地域の素晴らしさをしっかり捉え、積極的に発信し、それにより企業の投資も獲得していく、そういった取り組みを進めることが肝要である旨申し上げところであります。
これを受け、現在、本市では、具体的な検討を進めているのでしょうか。また、今後、どのように進めていくおつもりか伺います。
 
 
■東京オリンピック・パラリンピック(文化観光)
次に、東京オリンピック・パラリンピックへの対応について伺います。
いよいよ開幕まで7か月余りと迫り、連日、世界各地で出場権を懸けた熱い戦いが繰り広げられております。また、本年開催されたラグビーワールドカップでも日本全体が盛り上がるなど、スポーツ界全体が熱気に充ち溢れております。
本市においても、この盛り上がりをスポーツ、パラスポーツの振興のみならず観光、文化、教育なども含め、まちの活性化につなげていくことが重要であると考えます。
国においても、オリンピックを契機として大会参加国との経済的・人的・文化的な交流により地域の活性化を目指すというホストタウン構想を掲げており、本市はイタリアとキューバのホストタウンとして取り組むこととしていますが、現在、オリンピック及びパラリンピックの事前キャンプの誘致の状況はどのようになっているのか伺います。
ラグビーワールドカップのキャンプ地では、ファンによる国歌斉唱、地元子どもたちによるハカの披露、寿司・そば作り体験など各地域でのおもてなしが世界で話題となりました。本市においても、せっかく多くのオリンピアン・パラリンピアンに来ていただくこととなりますので、ホストタウンとしての取り組みを成功させるため、市民一体となって最大限おもてなしするべきと考えますが、セレモニーなどチームの受け入れ準備や市民との交流事業等をどのように進めていくのか伺います。
さらに、この東京オリンピック・パラリンピックでの盛り上がりを一過性のものではなく、いわゆるレガシーの残る取り組みとすべきでありますが、どのようにお考えか伺います。
 
■観光振興関係(文化観光)
関連して、観光振興について、数点お伺いします。
近年、全国の自治体では、地域活性化策として観光振興に力を注いでいます。
本市においては、本年3月に「仙台市交流人口ビジネス活性化戦略」を策定し、体験型観光やインバウンドの促進、MICE誘致などの各般の施策を展開することとしています。
将来を見据えた戦略を掲げ施策を推進することは重要ですが、現状をしっかりと把握し、課題を正しく抽出することが、政策の大前提です。震災により大きく落ち込んだ宮城県、東北地方全体の観光振興のためにも、本市が、宮城県、東北地方のゲートウェイとして交流人口拡大に積極的に取り組むとの観点も重要だと考えます。市長は、本市の観光の課題をどのように認識しているのでしょうか。お伺いします。
本市の観光の課題に適切に対応していくためには、必要となる財源の確保が極めて重要です。しかしながら、本市では、今後、社会保障関係費の増加や公共施設の長寿命化対策などにより、財政需要は増大する見込みであり、このままでは観光費への予算充当の水準が確保できず、減少していくことも懸念されます。したがって、これまでの一般財源とは差別化した、確実に観光振興に活用できる独自財源を確保する必要があります。
現在、宮城県では、新たな観光振興財源の確保策等を検討するために設置した「宮城県観光振興財源検討会議」が宿泊税導入を妥当する「とりまとめ案」をまとめるなど、宿泊税の導入に向けた検討が行われています。県内の宿泊者数の約6割を占める本市の位置づけを踏まえれば、県とは十分な協議が必要です。この件に関して、これまで本市として、どのような対応を取られてきたのか、また、今後どのように対応されるつもりなのか伺います。
宿泊税に関しては、東京都、大阪府、京都市、金沢市などで既に導入されているほか、福岡市・北九州市では、福岡県における宿泊税導入の動きに合わせて、市としても導入を決定している状況です。
本市においても、宮城県に合わせて本市独自の宿泊税を導入することで、福岡市・北九州市と同様に、自らその使途を決定し、観光振興施策に活用することが可能となります。
市内の宿泊事業者の方々にお話をお聞きしますと、「仙台市にはこれまで以上に交流人口の拡大に取り組んで欲しい。」との声も聞かれます。さらに、仙台経済同友会から本市に提出された「地方創生提言」においても、交流人口増加に向けた宿泊税の導入が求められています。本市における宿泊税の導入は、今後の観光振興施策の推進に不可欠であると考えますが、市長のご所見を伺います。
 
■いじめ対策(子供)
 次に、一般会計補正予算中、第4款健康福祉費に、いじめ対策推進に要する経費が提案されておりますが、その狙いと概要について伺います。
 本市においては、いじめ、体罰等への対応をいじめ対策推進室が担っておりますが、増加の一途をたどる不登校や深刻化する児童虐待の問題を含む様々な課題への対応も急務であり、出産から育児、幼稚園・保育所、小中学校等にわたる切れ目のない総合的な対応が求められていると考えます。
 今回提案されている相談支援窓口は、今後の対応組織を見据えたうえで、設置されるものなのか、伺います。
 
■駐車場附置義務条例(都市整備)
次に,第127号議案、駐車場附置義務条例の一部改正について伺います。
これまで、本市では昭和40年に、急速に増加する自動車の駐車需要に対応すべく、駐車場法の規定により、駐車場附置義務条例を制定し、その後、地下鉄の開業や鉄道にバスが結節する交通体系の構築などを進め、都心における人や車の流れは、時代の変化とともに大きく変化してきております。
そうした中、本条例においても、駐車場の利用状況等を考慮し、より実態に即した駐車場の整備を進めることはもとより、都心の良好なまちづくりに寄与するような取り組みが重要であり、今回、附置を義務付ける駐車場の台数等について、都心を中心に大幅な見直しを行うことには基本的には賛成の立場をとるものでありますが、改めて今回の条例改正の目的とその概要について伺います。
また、都心部の土地や建物の有効活用を更に進めていく上で、新規建築物だけでなく既存建築物に対する取り組みも重要であると考えるものですが、今回の条例改正により、既存建築物への対応をどのように考えているのか伺います。
今年度から始動した「せんだい都心再構築プロジェクト」により、まさに躍動する都心を目指すこととしておりますが、その施策の一つである今回の条例改正により、都心部の活性化にどのような効果を与えることを期待しているのか、併せて伺います。
 
■ガス局民営化(ガス)
最後に、ガス事業の民営化について伺います。
 先日、「仙台市ガス事業民営化推進委員会」から市長へ民営化の時期や具体的な手法などについて答申がなされました。
 その中で、まず、民営化の時期につきましては、令和4年度上半期を基本に事業継承者と協議の上決定するとされています。国内最大の公営ガス事業者である本市ガス事業の民営化は、過去の事例とは大きく異なるものであり、これを推進するには、着実な引継ぎも含め一定の期間を要するものと理解しますが、一方で、社会情勢を踏まえれば、スピード感を持って進めることが重要です。
公募の開始時期や事業継承者の決定といった今後のスケジュールをどのように考えられているのか伺います。
また、事業継承後の本市の経営の関わりついては、確かにエネルギー間の競争を考えれば、民間事業者の柔軟性や想像力を活かした経営が望ましいとの考えもあると思われますが、本市の関わりを弱くすることで、市民へ影響が生じないのか一抹の不安も感じるところであり、一定期間、事業継承者からの報告を求めるなどの対応も想定されますが、経営の関与を原則行わないとした理由について伺います。
 さらに、民営化において重要なことは、ガス局が365日24時間実施してきたガスの安定供給や保安が確保され、これまでのサービス水準が維持されることです。
この点、これまでガス局が培ってきたノウハウを確実に継承し、事業を円滑に継承するための対応が必要と考えますが如何でしょうか。 
また、安全・安心の確保やサービス水準の維持には、本市のガス事業の発展を支えてきた関連事業者の皆さまの力も不可欠と考えます。民営化にあたっては、これらの事業者との連携や更なる取引機会の拡大なども事業継承者に強く求めるべきと考えますが、併せて伺います。
 答申では、平成28年の電力、平成29年のガスの小売全面自由化により関東圏や関西圏において競争が激化している状況を踏まえ、事業範囲や供給エリアに制約のある公営事業者のままでは、中長期的には需要家数や収益の減少が見込まれるとし、民営化を進める時期にあるとまとめられています。
100年以上の長きにわたり本市の発展に大きく貢献してきたガス事業が、今後も永続的に発展することが、需要家である市民や関連事業者の皆さまの利益につながると考えれば、答申を踏まえ、ガス事業の民営化を前に進めていくべきと考えますが、如何でしょうか。市長のご決意をお伺いして、代表質疑を終わります。