仙台市議会委員 加藤和彦のHP。活動及びプロフィールなどのご紹介。

 

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定例会代表質問

 

自由民主党の加藤和彦です。

 新型コロナウイルス感染症の関連を始めとした、本市が現在直面している課題に加え、その先を見据え今後本市が取り組むべき重要課題について、会派を代表して順次、質疑をしてまいります。

 

残り任期一年の市長の所感

 郡市長が仙台市長に就任して早や3年余りが経過しました。この間、わが会派は、市長の各般の施策については、正に是々非々の対応を行ってきたところでありますが、この激動する時代にあって、市長の決断力、あるいは市政の発信力、さらには市役所組織全体のリーダーシップといった観点で、はたして市民の負託に十分に応えていると言えるものなのか、先般特集されました地元紙によれば、その評価は二分されているとのことです。

 就任から3年、市長は、これまでの仙台市長としての自らの取り組みをどのように総括しておられるのか、まず伺っておきたいと存じます。

 その上で、残り1年を切った任期にあたっては、これまでの状況とは全く次元を異にする取り組みが求められております。この間の全世界を席巻するコロナ禍にあって、市民の命を第一に守り、さらにその上に立って、甚大な被害を受けた地域経済の立て直しを同時に行うという施策の展開はもとより、今後は、アフターコロナも見据え、本市のこれからの未来を決定づけると言っても過言ではない市政のかじ取りが求められます。その際には、一地方自治体である本市のみならず、宮城県あるいは国との連携がますます重要になってくる

ものと推察いたしますが、その点も含め、市長はどのように残り1年、取り組んでいかれるのか、その決意をお聞かせ願います。

 

財政運営

89号議案「令和元年度仙台市一般会計・特別会計歳入歳出決算認定に関する件」に関連して伺ってまいります。

昨年度は、元号が平成から令和に変わり、また、本市も平成元年の政令指定都市移行後30年を経過した、まさに一つの節目の年であったと思います。

改めて、その決算年度の一般会計歳出決算について、前年度と比較してみますと、歳出については、市庁舎整備基金造成や荒井小学校建設などにより221億円、4.4%の増加となっており、歳入については、税制改正等による市税の増収などにより178億円、3.5%の増加となっております。また、少子高齢化の進行による社会保障関係経費の増加は続いており、経常収支比率も98.7%と高止まりの状態にあります。これまでの決算から大きな変化は見受けられないのですが、ここで忘れてならないのは、この令和元年度の決算には、新型コロナウイルス感染症による影響がほとんど反映されていない点であります。

今年度、全国的な感染拡大に伴い、本市においても数次にわたり補正予算を講じ、対策を進めております。国や県からの財政支援のみで全額賄えるはずもなく、事務事業の見直し、財政調整基金や中小企業活性化基金の繰入金のほか、12年振りとなる市債管理基金からの借入にも踏み込んでいる状況です。

このようなかつてない厳しい予算となっているところですが、

まず今年度、令和2年度の決算をどのように見込んでおり、また、財源を含めどのように対応していくお考えか伺います。

5月の緊急事態宣言下では、外出自粛などで経済活動が著しく抑制され、低迷しました。先般、国が発表した4月から6月の実質GDP成長率は、年率換算でマイナス28.1%と戦後最悪とのことです。アメリカはマイナス32.9%、ユーロ圏に至ってはマイナス40.3%と、統計開始以来の歴史的な落ち込みとのことであり、感染症の影響は世界に及んでいます。今後のGDP成長率については様々な意見があることは承知していますが、コロナ禍の現状を見ますと、その見通しは予断を許さないものと考えています。

ここで、私が危惧するのは、少なくとも今の経済状況の悪化は、来年度に納付される市税収入に影響するということ、つまり、来年度の予算編成に大きく影響するということですが、新たな総合計画の初年度でもある新年度の予算編成に向けたご所見を伺います。

先般、当局から令和5年度までの財政見通しと、これを踏まえた令和3年度の予算編成方針案が示されましたが、財政見通しでは、今年1月のものに比べ、収支差が拡大しております。

私は、一昨年前の定例会において、財政調整基金の残高の減少を踏まえ、基金は一度崩してしまえば減少する一方で、将来にわたっての安定した財源になりえないことを指摘しました。現下の厳しい状況を鑑みれば、対処療法的とはいえ、基金の活用も検討しなければならないのは理解するところです。しかしながら、コロナ禍が今後本市の経済、財政に及ぼす影響は、まったくもって見通すことはできません。それぞれ数百億円規模の建設費が見込まれている本庁舎の建替えや音楽ホール建設への影響も懸念されます。

今後の財政運営においては、ウィズコロナ、アフターコロナという中長期的な視点が重要となってまいります。そのような状況である今こそ、私は、財政運営の基本に立ち返ること、つまり歳入アップと歳出削減という両面での再検討が必要と考えるのであります。コロナ禍の先にある時代の変化に耐えうる財政基盤をどのように構築し、財政運営を行っていくのか、ご所見を伺います。

 

新東北連携

 私は、歳入アップの王道は、先を見通した戦略的な地域経済、産業政策にあるものとの基本認識ですが、コロナ禍によりグローバルサプライチェーンが崩壊する中で、今後本市が向かうべき産業政策の方向性について、私の所見を示しながら、当局のお考えについて伺ってまいります。

農業政策の方向性

新型コロナウイルス感染症拡大により、飲食・宿泊業を中心に売り上げが大きく落ち込むなど、本市経済に大きな影響が出ており、先行きが見通せない状況となっています。こうした中、域内循環の重要性が再認識されており、とりわけ、私たちの生活に直結する「食」を守ることは、最重要課題の一つであります。

国は、今年3月、新たな基本計画の中で、カロリーベースで食料自給率を令和12年度には「45%」とすることを目標としたところですが、農業を取り巻く状況は依然として厳しく、農業者の減少や高齢化、耕作放棄地の増加などの諸課題が深刻さを増すばかりです。

本市においても、市内総生産に占める農業の割合が極めて低く、農業者の減少や高齢化が進み、担い手不足が大きな課題となっています。昨年、市と農業委員会がまとめた「経営意向調査報告書」によれば、後継者がいないとの回答が62%でした。また、経営規模を縮小、又は農業を辞めたいとの回答が45%でしたが、その理由として、後継者不足や高齢化をあげる割合が高く、担い手の確保が急務です。また、農業は食料生産のみならず、国土保全や景観、レクリエーションなど市民生活に様々な効果をもたらすほか、地域コミュニティの維持や景観・雨水調整など多面的な機能を担っており、私たちは、次の世代にしっかりと継承していくという強い意思を共有しなければなりません。そして、単に継承するのみならず、従来の枠を超えた、時代を切り開くための新たな視点が求められています。

その視点の一つが「広域連携」です。東北は優れた農産物の産地であり、本市はその中心都市です。市内における生産にとどまらず、東北の生産者や食産業と積極的に連携し、農産物を活用した商品開発や物流、販路拡大などに取り組むことによって、農業を軸とした新たな産業振興の可能性が生まれ、そして、その魅力を国内外に発信することにより、域外からの投資促進にもつながるのではないかと考えるものです。

今後、本市の農業施策をどのような方針で進めていこうとしているのか伺います。

 

 

新しい東北連携のビジョン

今後の域内循環を考える上では、仙台市内、あるいはその周辺という限定された範囲で考えるべきではありません。農業について言えば、東北のポテンシャルは極めて高く、こうした利点を生かしていくためにも、今こそ東北との連携を一層強めるべきであります。

これまで東北連携は、広域観光や「絆まつり」など、観光やお祭りを軸とした事業展開をしてきました。これ自体は一定の成果を上げ評価をするところですが、そもそも本市が目指した東北連携とはこうした限定的な分野の連携だったのでしょうか。

今後は、観光はもちろん、産業やエネルギー、社会課題解決など、より広範な分野での連携を模索する新たな段階に進むべきであり、新しい東北連携に向けた本市としての方針が必要ではないでしょうか。これまでの東北連携の総括と今後のビジョンについて伺います。

 

交流人口拡大に向けた戦略

 仙台は、域内だけでなく、国内外からの交流人口によって成り立ってきた都市であります。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で人の流れが制限され、何とか域内循環で耐え忍んでいるところですが、これにも限界があります。

そこで注目すべきは来年開催の東北デスティネーションキャンペーンであります。もともとは、東日本大震災から10年という節目で、復興する東北の姿を内外へ広くアピールするとともに、東京オリンピック・パラリンピック後のインバウンド需要の取り込みも、その狙いの一つとしていたところですが、コロナ禍の影響により、オリパラは延期され、国際便の再開も不透明であるなど、東北DCを取り巻く状況は大きく変わっています。

今、業界では、ウィズコロナ時代の観光のあり方として、感染拡大防止と地域経済を両立する、マイクロツーリズムなども提案されていますが、東北DCを、将来の本格的な観光復興、インバウンド回復へと繋げていく準備期間と捉え、東北に住む私たち自身が自分たちの地域を知り、その魅力をさらに磨き上げていく絶好の機会としていくべきではないでしょうか。このような視点に立って、東北DCの位置づけや具体的な取り組みについて、今一度見直す必要があると思いますが、ご所見を伺います。

 さらにその先についてであります。社会は元通りにはならないにしても、いずれワクチンの開発が進み、再び人の動きが出てくることが予想されますが、そのときから考えたのでは遅いのではないでしょうか。東日本大震災の折には、観光、特にインバウンドについては周回遅れとなってしまいましたが、今回は全世界が同じ状態であり、一斉にスタートする際に乗り遅れないよう、今から準備を進めていく必要があります。

この度、経済対策第5弾が発表されました。我が会派の要望も組み入れていただき概ね評価するものですが、交流人口拡大に向けた施策が一つも入っていないことには違和感を禁じえません。コロナ禍において観光関連産業は最も厳しい業界の一つであることを考えれば、今後の交流人口の回復を見据え、今のうちからその担い手となり、受け皿となる事業者を支援していくべきであり、しっかり対策を講じるべきと考えますが、当局のご認識を伺います。

 

言うまでもなく、交流人口の拡大や関連産業活性化は極めて重要なテーマであります。今、足を止めている場合ではありません。しっかりとした戦略を持ち、準備をしておく必要があります。活性化戦略の重点プロジェクトの第一に掲げる1,000本の体験プログラム創出の見直しなども避けられないものと考えますが、この点も含め、今後の交流人口拡大に向けた当局の考え方を伺います。

 

新総合計画

先般、約2年をかけて取りまとめられた本市の新たな基本計画の中間案が公表されましたが、これまでと同様に計画期間を10年間としています。改めてこの10年を振り返りますと、現行の基本計画が議決される直前には、東日本大震災がありました。また、令和元年、東日本台風を始めとした、全国に甚大な風水害をもたらす異常気象現象の多発、さらには新型コロナウイルス感染症という、正に、想定外の事態が生じています。

コロナ禍は既に社会に大きな影響を及ぼしていますが、私は、今後の影響も含め、コロナ禍が社会にもたらす変化が5つあると考えております。女性や障害者、高齢者などが生き生きと仕事で活躍する「生産人口構造の変化」、今後求められるデジタル化等に伴う「産業構造の変化」、サプライチェーンの抜本的な変化がもたらす「世界市場の変化」、これらの変化に適応するための企業や行政の「組織の変化」、そして、人類の知識をフルに活用して創り上げるべき領域、「創造の領域の変化」であります。これらの変化を可能な限り想定した上で、未来創造型の総合計画とするのが理想ではありますが、これは中々難しいかもしれません。今後、災害を始めとしたどのようなマイナス面の事象が起こるか、予測が難しい時代であり、加えて、コロナ禍によるデジタル化の加速のような、災害などによる社会活動への影響も含めると、10年先の社会の姿を見通すことは極めて困難であります。例えば横浜市では、既に10年間の基本計画の策定をやめ、4か年の中期的な計画策定にシフトしています。

以上申し上げた現状において、本市はあえて10年間の基本計画を策定することとしたところですが、そうした理由と、今後ますます予測が難しくなると思われるリスクや時代の変化にどのように対応していくお考えか、併せて伺います。

新基本計画中間案では、各区の地域づくりの方向性も示されました。いわゆる総合計画の一部である以上、どの区も総花的であるのはやむを得ないにしても、金太郎あめとまでは言いませんが、大きな違いは見えないというのが率直な受け止めです。

青葉区を例にとってみましても、都心部では都心再構築への取り組み、丘陵団地では高齢化率上昇への対応、愛子周辺では人口増加への方策の必要性など、一つの区の中でも地区によって大きく異なる状況です。このような各区・地域の特性に応じ、もう少しメリハリをつけてはどうかとも感じています。また、地域づくりの具体性についても、今一つ期待感が沸かないというのが私の正直な感想です。このコロナ禍の中で、地域づくりの方向性を踏まえた具体的な事業構想はお持ちなのでしょうか。

 

青葉区の都心周辺地域は観光また学術の中心として、また良好な居住環境を持つ地域であり、一方、西部山岳丘陵地域は山形とも接しており、仙山連携による様々な分野での活性化の可能性など、それぞれ大きなポテンシャルのある地域であります。このような地域の特性、区全体の特性を踏まえながら、最終形に向け、区としての取り組みも進めるべきと考えます。以上の点について、各区を代表し青葉区の地域づくりの方向性について、区長のご所見を伺います。

 

新杜の都環境プラン

 基本計画と並び、市議会の議決が必要とされているものが「杜の都環境プラン、環境基本計画」であり、次期プランの中間案も今般示されました。本計画は、杜の都を標榜する本市にとって非常に重要な計画であり、数点伺ってまいります。

〇輝く!グリーン&クリーンプロジェクト

 その次期プランにおいては「輝く!グリーン&クリーン都市プロジェクト」が掲げられており、都心部において新たに「(仮称)グリーンビルディング建築整備方針」を導入することなどにより、杜の都にふさわしい建築物の整備を促進すると書かれております。

現在、本市では、老朽建築物の建替えを促進し、都心の機能強化を図るため、都心再構築に取り組んでいるところであり、都心部における建築物の新築や建替えの機会を捉え、都心の魅力向上や杜の都としての都市ブランドの強化を図るためにも、時期を逸することなく、スピード感をもって進めていく必要があると考えますが、本整備方針の策定にあたっての基本的な考え方と、どのように進めていくお考えか、伺います。

 

〇エネルギー循環プロジェクト

 もう一つ、次期環境プランを議論するうえで重要な論点は、私はエネルギーであると考えます。エネルギーは、市民生活や社会を支える源であり、エネルギーがなければ産業も成り立ちません。我が国はエネルギー資源に乏しく、将来にわたって持続的に発展をしていくためには、それぞれの地域が自らエネルギーを生み出していくという視点が極めて重要であります。

本市では、これまでも再生可能エネルギーの普及や、環境負荷の小さい次世代エネルギー等の研究開発に取り組んできたところですが、今後は、エネルギーの地産地消や地域資源の循環を構築することにより、生み出したエネルギーを市内の事業者はもとより、将来的には東北各地にも提供していけるような一歩踏み込んだ積極的な取り組みが求められるところです。

そのためにも、新しい「環境基本計画」のもとに取り組む「つながる!エネルギー循環プロジェクト」は大変重要な意味を持つものですが、「絵に描いた餅」にならないよう、モデルとなるような事業に早期に着手することが重要と考えます。ご当局はこのプロジェクトをどのように進めようとしているのか具体的にお示しください。

 

〇みやぎ環境税

関連して、みやぎ環境税について伺います。先日、地元紙において、県が、みやぎ環境税について、5年間延長する方針との報道がなされました。みやぎ環境税については、本市からの納税額に対する県からの交付金の配分割合が約10%にとどまっており、これまで我が会派の同僚議員が、県に対し交付金の増額を要求すべきと、繰り返し求めてきました。また、本年第2回定例会では、環境局担当の髙橋副市長のご認識について伺ったところ、県に対しては、みやぎ環境税を

活用して県が実施している事業のうち、本市の市民や事業者のために活用されている金額を示すこと等を要請してきており、今後、県から示される回答内容を確認の上、本市の要望が反映されるよう、強く要請していくとの答弁がありました。

そこで、今回、県からはどのような回答があったのか、また、今般、県が公表した延長方針を踏まえ、どのような認識で、今後、どのように対応していくのかご所見を伺います。

 

冬季に向けた医療提供体制の確保

今回の補正予算、第96号議案「令和2年度仙台市一般会計補正予算(第5号)」は、第2回臨時会で使い残した国の地方創生臨時交付金等を全額活用し、新型コロナウイルス感染症対策や、地域経済対策などが主な内容となっています。我が会派の要望を一定程度取り入れたものとなっており、基本、了とさせていただきますが、一点だけ、確認の意味も含め、お伺いいたします。

第4款、健康福祉費では、今後、インフルエンザの流行により、多数の発熱の患者の受診が想定されることに備え、災害時医療対策事業費として2億7700万円余の追加が提案されています。

当局においては、これまで、市医師会の協力を得て、コールセンターを通じて発熱患者に対応可能な診療所の情報提供を行う取組みを7月から実施してきました。しかしながら、今後、インフルエンザが流行すると、これまで対応していただいた診療所の中にも診療が難しくなるところが出てくるのではないか、という懸念も感じるところであります。

国は、828日に「新型コロナウイルス感染症に関する今後の取組」を示し、その中でインフルエンザの流行期に向けて地域の医療機関で発熱患者の検査・診療を行う体制確保の方針を示しました。

当局の提案は、国の方針に先駆けたものと言えます。今回の補正予算での提案内容は、情報提供に協力いただいている診療所を中心に、唾液によるPCR検査の検体採取等を行う診療所に対し、感染防護具の提供や補助金による支援、初期救急体制の強化のため、オープン病院の外来を土日等に開設するというものと伺っております。特に、診療所における検体採取等の支援は新たな取組みであり、どのような課題認識を持ち、このたびの提案に至ったのか。また、その目的と期待する効果について、当局はどのように考えているのか、お示しください。

 

今後、秋・冬にかけて多数の発熱患者が発生することを想定し、患者が安心して受診できる診療体制を早期に確保することが重要です。予算上は、11月からの実施を想定しているようですが、取組みに協力していただける診療所を着実に広げ、11月からと言わず、準備が整ったところから速やかに開始すべきと思いますが、当局の所見を伺います。

 

救急活動時の感染症対応マニュアル

次に、これと同様の観点から、救急搬送時における新型コロナウイルス等感染防止に関する取り組みについて伺います。先日の市民教育委員会において消防局から報告された内容によりますと、本年3月から7月までの間に、新型コロナウイルス感染症が疑われる症状を呈する患者の救急搬送が249件で、そのうちPCR検査で陽性が確定した症例が5件とのことです。

救急隊員は、新型コロナウイルス感染防止対策として、高気密のN95マスク、二枚重ねの手袋、密着タイプのゴーグル等を装備して活動しているとのことですが、今後、新型コロナウイルスの波が危惧されている中で、冬季におけるインフルエンザの流行、あるいは、別の感染症の出現の可能性なども考慮しますと、救急隊員自身が感染する事態に陥らないよう、最大限の取り組みを求めるものであります。

昨年の救急件数が54千件を超えて過去最高となりましたが、今後も高齢化の進展等により、救急需要の増加が見込まれる中、109万市民の万が一のとりでといっても過言でない本市の救急搬送体制の維持、継続をしっかりと確保するためにも、多様な感染症に対応した、医学的にも裏付けされた救急隊の感染対応マニュアルが必要と考えますが、ご所見を伺います。

 

教育関係

 次に、コロナ禍における学校教育の課題に関し、大きく2点伺ってまいります。

中学校運動部活動における感染症対策

 まず、運動部活動における感染症対策についてであります。全国的に感染者が増加している中で、高校や大学の事案ではありますが、学生寮や運動部での大規模なクラスターが発生しました。また、京都市の中学校でも7月末に部活動でのクラスターが確認されております。本市におきましても、6月の学校再開以降、学校現場においても様々な感染症対策が行われておりますが、教育活動の一環である運動部活動、中でも剣道・柔道、バスケットボール、バレーボール

など屋内で行う競技については、特に換気や接触など感染リスクに

注意を払う必要があると考えます。これら屋内で行う部活動の現状や感染症対策について伺います。また、夏休みも明け、部活動においては、より技術力の向上等を図るために、校内での活動に加えて、他校との練習試合や遠征を伴う

合同練習等も行われるのではないかと思います。特に遠征に関しては、その場所にもよると思いますが、このコロナ禍にあって、参加する生徒やその保護者の理解が必要と考えますし、他の学校関係者や地域の方々にとりましても、他の地域からの感染の広がりなどについて、不安を感じるケースも少なくないのではないでしょうか。そこで、他校との練習試合や遠征を実施するにあたっての留意点について、ご所見を伺います。

 

中総体運動部活動の新人戦

 関連して、中学校の新人大会に関して伺います。来月、10月には、本来なら本市においての新人大会が開催される予定ですが、現在の状況はどうなっているのか伺います。6月の中総体が中止となったこともあり、是非開催し、出場する生徒には引退した3年生の分まで頑張って欲しいと、心から願うものであります。

一方で、多くの生徒たちが各競技会場に集まりますので、試合や交流の最中に感染者が発生し、感染が拡大するといったことも懸念されます。そのためにも、参加する生徒や顧問、大会関係者の感染症対策については十分配慮したうえで、安全な大会運営がなされるべきと考えます。また、保護者など外部からの観客の受け入れに関しては、各会場での運営スタッフの増員といった人的な体制強化など、感染予防に対して、より慎重な対応が必要となってまいります。保護者等外部の方々の観覧の可否も含め、新人大会開催にあたっての、感染防止対策について伺います。

 

県補助対象からの交通局除外

次に、第99号議案「令和2年度仙台市自動車運送事業会計補正予算(第2号)」に関連してお伺いします。

今般のコロナ禍により、交通局では、今年度の市バスの運送収益について、当初予定の約26%に当たる182千万円の減少を見込んでおります。経費の削減や特別減収対策企業債の発行などによりカバーするとのことですが、経営的に極めて大きなダメージを受けている状況に変わりはありません。その中で、第2回臨時会で可決した補正予算による公共交通運行継続奨励金は、一定の効果があるものと評価しております。ところで、この奨励金と趣旨を同じくする「宮城県定時定路線・生活維持支援金」制度が、県でも設けられました。しかし、仙台市交通局は、宮城県内の交通事業者であるにもかかわらず対象外とされています。本来受けられるべき補助金約1億円が受けられない、さらに対象外の理由も明確にされておりません。これについては、第2回臨時会の総務財政委員会において、我が会派の委員より、事前に市長と知事がしっかりと話し合っていれば避けられた事態ではないかと指摘し、今からでもトップ会談や県市調整会議の場などを活用して、補助金の対象とするよう二役が動くべきであると求めたところであります。1か月が経過しましたが、この間、市長は、知事に対してどのような行動を起こしたのか、相手方の反応も含めてお答えください。

 

新せんだい都市交通プラン

本市のバス事業経営の問題は、市民の生活の足の確保の問題に直結します。市営バスはコロナ禍以前から全路線で赤字であり、今後も移動手段の多様化や、生産年齢人口の減少などによる更なる需要の減少が見込まれ、現状の運行サービスを将来も維持していくことは難しい状況となっています。

現在、本市では、次期せんだい都市交通プランの策定が進められておりますが、公共交通を中心とした交通体系の充実や、日常生活における移動の確保といった、次期都市計画マスタープラン素案の交通分野における方針のもと、検討が進められているものと理解しています。

こうした中、本市では、宮城野区の燕沢地区や、太白区の坪沼地区において、住民が主体となって運行する地域交通の取組みが進められており、先月からは、八ツ森でのデマンド型の乗り合いタクシーの試験運行が開始されました。今後も市民の移動手段を継続的に確保していくためには、路線バスと、地域交通など路線バス以外の公共交通サービスが適切に役割分担していくことが求められるものと考えるところであります。また、鉄道の高い利便性を活かすため、バスが鉄道に結節するスムーズで効率的な移動ができるような交通体系をつくることも大事な取り組みであると考えます。

以上のことを踏まえ、本市の目指す交通体系の考え方や、市民の日常の移動手段の継続的な確保に向けた今後の取り組みの方向性について、当局の所見を伺います。

 

風水害対策

今年も7月には九州や中部地方で豪雨が発生し、多くの人命が失われるなど、日本全国で毎年のように大きな豪雨災害に見舞われております。また先週末に台風で九州地区に大きな被害が生じています。昨年の令和元年東日本台風においては、仙台市内においても大きな被害が発生しました。令和元年第4回定例会における私の代表質疑では、内水対策の一層の推進や団地等の法面対策、ため池の改修等について伺い、当局からも支援のあり方の検討や対策を進めるとのご答弁をいただいたところですが、今回は内水対策に絞って伺います。

報道によれば、今年の日本付近の海水温は平年に比べて高く、台風が日本に接近しても勢力は衰えず、さらに発達する危険性が指摘されています。大雨が降ると、たびたび浸水被害が発生する場所があり、それらの地域の住民や事業所などは昨年のような被害があるのではないかと不安に思われております。浸水被害の軽減には膨大な費用と長い期間がかかることは承知しておりますが、本市における喫緊の課題です。市民の安全・安心を確保するため、ハード面・ソフト面の対策を合わせ、いち早く浸水被害を軽減する必要があります。昨年度から現在まで、浸水対策にどのような進捗があったのか、今後どのように被害を軽減していくのか伺います。

 

ガス事業民営化

次にガス事業の民営化について伺います。先月末、公募条件等を

議論してきた仙台市ガス事業民営化推進委員会から第2次答申がなされ、今月2日からいよいよ公募が開始されました。思い起こせば、今回のガス事業民営化は、昨年の第1回定例会で、我が会派の代表質疑に対して、市長から公募再開に向けた具体の検討を進めると答弁がなされ、これをきっかけに、再び大きく動き始めたものと記憶しております。その後、新型コロナウイルス感染症拡大による影響があったものの、こうして公募に至ったことは、かねてより民営化に賛同してきた立場として、喜ばしい限りであります。本公募には多くの事業者にご参加いただき、民間の多彩なアイデアやノウハウを生かした提案がなされることを期待するものです。

私は、今後、民営化を進めるにあたって、まずは、インフラ事業者の責務として公営化以降70年以上にわたり行われてきた、都市ガスの安定供給や保安がきちんと確保されることが大変重要な視点と考えます。市民はこれまでと変わることなく安心してガスを使用することができ、また、ガス局と一体となり安全・安心を担ってきた、関連事業者の方々との連携が図られることが必要と考えますが、

応募者にはどのように求めていくのか伺います。

また、応募を検討される方々には、是非、高い価格での提案を望むものであります。募集要項で定めた最低譲渡価格の400億円はあくまで最低ラインであり、実際の提案価格はより高くなると信じておりますが、現下のコロナ禍が、企業の投資マインドにも影響を与えていると考えているのか、こうした点も含め、400億円という金額、そして、提案価格の具体的な評価基準や設定にあたっての考え方を伺います。

今から12年前にも、本市は事業継承者の公募を行いましたが、当時、地域独占事業であった都市ガス事業は、平成28年の電力小売全面自由化、それに続く29年のガス小売全面自由化により置かれる環境が大きく変化しています。

ガス局が公営事業者として都市ガス供給のみを続け、将来にわたり、競争力を維持することは非常に困難であると言わざるを得ず、また、近い将来見込まれる人口減少への対応のためにも、早期の民営化が待たれるものです。本市が、長年の間、成し遂げられなかったガス事業の民営化を、このタイミングを逃してはならないという覚悟をもって、取り組むべきと考えますが、最後に市長のご所見を伺い、代表質疑を終わります。