仙台市議会委員 加藤和彦のHP。活動及びプロフィールなどのご紹介。

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定例会一般質問

 
 
自由民主党の加藤和彦です。
アフターコロナにおける地域経済の活性化に関し、集中的・重点的なスタートアップ支援、仙台・東北の強みを生かした商品の研究開発、戦略的な企業誘致と、企業の積極的な海外展開について、順次質疑してまいります。
 
1.集中的・重点的なスタートアップ支援について
 
世界中で猛威を振るった新型コロナウイルス感染症は、ようやくこの5月から2類から5類へと位置づけの見直しが行われようとしています。まさにアフターコロナの時代を迎えるわけであります。
私はこれまでも、「アフターコロナの世界で仙台、東北はどのようにして戦うべきか」という観点から、今後の経済成長に向けた取組みについて、議会で繰り返し取り上げてまいりました。これはアフターコロナを迎えてから取り組んだのでは遅きに失する、猛烈なスピードで変化する現代を勝ち抜いていくためには、常に先を見ながら投資をしていかなければならない、との思いからであります。
昨年の第三回定例会では、世界をマーケットにした新たな成長産業の育成や、イノベーションを生み出す人材の育成・集積、東北大学やナノテラスなどの資源のフル活用など、様々な提案をいたしました。
また、本市経済の持続的発展を牽引する成長産業やスタートアップの創出に向けて、人材育成を通じてイノベーションが起こる社会的土壌を整え、それにより投資を呼び込むことでビジネスの付加価値や生産性の向上を生み出し、政策による労働分配率の向上を通じて全体的な所得増加へつなげていく、そうした好循環を生み出す仕組みづくりの重要性についても質疑をいたしました。
 
 今回の施政方針において市長は、「コロナ後の時代に、本市の未来を切り開いていく鍵は、幅広い人材の交流と新たな価値の創出により、域外から投資を呼び込む好循環にある」と述べられたうえで、スタートアップへの支援やリサーチコンプレックスの形成などを強力に推し進めることとされております。これまで私が議会で指摘してきたことと、方向性を概ね一とするものであり、その方向性に賛同するものです。
 
成長の20世紀から成熟の21世紀へと時代は変わり、また現代はVUCA(ブーカ)の時代とも呼ばれております。これまでも指摘してきたとおり、従来の常識や手法は通用しなくなっております。
 こうした時代環境の変化に対応するため、いわゆるGAFAM(ガファム)に代表される、世界の経済成長を牽引するグローバル企業やスタートアップ企業においては、イノベーションの創出を継続的に、そしてスピード感を持って進めております。時代はめまぐるしいスピードで移り変わっています。
我が国はどうでしょうか。特に地方の現状を見る限り、グローバル経済の状況から大きく乖離しており、コロナ禍を経てその差はむしろ広がっているのではないかと、私は大変危惧しているところであります。
 
 スタートアップを本市の経済成長のエンジンと位置づけ、地域経済の活性化を目指すことについては、私も同じ思いではありますが、一方で、本市としてどのようなビジョンを持ってスタートアップ支援に取り組んでいくのかが、今回の予算からはよく見えないというのが、率直な感想でもあります。
国でも「スタートアップ育成5か年計画」を策定し、全国のスタートアップ・エコシステム拠点都市をはじめ、各都市が競って取組みを強化しております。また、一口にスタートアップといっても様々な分野があります。
とかく行政の施策は広く薄く、公平性を第一に展開されがちです。確かにそういう配慮が必要な施策分野があるのも事実ですが、ことスタートアップに関しては、都市間競争に打ち勝つ観点や他都市との差別化を図る観点からも、総花的ではなく、本市の強みや特色を十分に踏まえ、集中的にかつ重点的に支援策を打ち出していくべきであると考えます。
本市ではどのようなビジョンのもとで、どういった分野でスタートアップ支援を展開されていこうとしているのか、市長の所見を伺います。
 
2.ナノテラス稼働を契機とした仙台・東北の強みを生かした戦略商品の開発について
 
次世代放射光施設「ナノテラス」が令和6年度に本格稼働を迎えます。世界最高水準の性能を持つナノテラスの稼働は、本市にとって待ち望まれたものであり、その存在は仙台・東北の地域経済にとって大きな武器になります。
しかしながら、重要なことは、その武器をどのように生かしていくかであります。ナノテラスを活用して世界のマーケットに打ち出していける商品をどのように生み出していくか。その際には、企業の大半を占める中小企業のイノベーションに活用していくという視点はもちろんのこと、東北の大きな魅力であり、強みである農水産や食をどう生かし、研究開発につなげていけるかという観点が重要であります。仙台・東北の魅力や資源を最大限生かした、さらには、東北人のまじめさ、粘り強さを生かせるような新産業を興し、それがしっかりした雇用につながるようにすることも考えていく必要があります。
私は、令和4年第1回定例会の質疑において、関山(作並)街道を軸とした仙山連携について取り上げ、国道48号を大きな軸に、愛子地区から新川・作並地区を経て山形側の東根や天童に至るそれぞれの地域が持つ魅力を引き上げ、そして繋げていくことにより、より一層、エリアとしての魅力の向上を図ることができる、新たな仙山連携の可能性を指摘しました。
さらに広い視野で東北連携を考えたときに、これまではインバウンドの推進、すなわち観光分野での連携に力点が置かれがちでした。交流人口の増加に伴う外貨の獲得や関連産業へのすそ野の広い波及効果といった点でそれも必要であることは理解いたしますが、観光分野にとどまらず、仙台が東北のハブとして、東北の持続的発展、経済成長、そして投資の呼び込みのために何ができるのかということを考えなければなりません。それこそが広い意味でのまちづくりであり、地方創生といえるのではないでしょうか。
施政方針では、「ナノテラスを核としてリサーチコンプレックスの形成を進めていく」と述べられていますが、本市ではナノテラスの立地を契機としながら、どのように東北の魅力を生かした商品や製品の研究開発に活用し、東北全体を見据えた、地域経済活性化へとつなげていこうとしているのか、具体的にお示しください。
 
3.戦略的な企業誘致について
 
スタートアップへの支援は、将来大輪の花を咲かせるためにも、小さいうちから芽を育てるという観点で、大変重要なものです。一方で、スタートアップ企業の育成には一定の時間がかかることも現実であり、市の産業としてバランスを取る意味でも、戦略的な企業誘致もまた必要なものと考えます。
 そうした意味で、ナノテラスの稼働とリサーチコンプレックスの形成は大きな追い風となります。この機会を逃してはなりません。できうるならば年商1兆円以上の、最低でも5000億円規模の売り上げのある企業を一つの核として誘致することができれば目指すところに大きく近づくのではないでしょうか。その際、単に高額の補助金を出してということではなく、互いにメリットが生まれるような仕掛けをしながら、仙台に根付き、地域経済のけん引役になっていただくような企業誘致にしなければなりません。
 これまでも立地助成金などを活用しながら企業誘致に努めてきたものと認識しておりますが、ナノテラスの稼働を目前に控えた今、どういう展望をもって企業誘致を進めようと考えているのか、所見を伺います。
 
4.海外展開について
 
我が国は今後急激な人口減少局面を迎えます。内需がどうしても先細りにならざるを得ない状況下で、それぞれの企業において、国内需要頼みから脱却し、海外への展開を進めていくことが急務であると言えますが、我が国全体で見てもアメリカや中国はもとより、人口の少ないドイツやオランダにも遅れを取っているのが現状であることを、昨年第三回定例会で指摘をさせていただきました。
このような現状を打破するために、本市経済を支える中小企業が、成長が著しく有望なマーケットであるアジアやアフリカなどへ進出できるよう、本市としてこれまで以上に支援を強化していく必要があると強く感じております。
本市では、タイのバンコクに「仙台・タイ経済交流サポートデスク」を設置し、市内企業等のタイへの販路開拓を支援しておりますが、現在の情勢を考慮すると、これで十分とは私には思えません。今後の重点マーケットをしっかりと見極めること、そして、地元企業の海外展開の窓口になるような本市の出張所を、他地域でも更に展開していくような思い切った取り組みも必要ではないでしょうか。
企業の海外展開支援の充実強化の必要性について、これまでも繰り返し指摘をしてきたところでありますが、本市では今後どのように取り組まれていこうとしているのか、所見をお伺いし、私からの一般質問といたします。
ご清聴ありがとうございました。