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定例会代表質疑![]() 自由民主党の加藤和彦です。
はじめに、能登半島地震により、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。
心安らかな新年であるはずの元旦を突然襲った地震は、多くの尊い人命を奪い、住まいを失った方々は、いまだ不自由な避難生活を余儀なくされております。インフラの復旧はもとより、被災された方々が平穏な日常を取り戻すまでには、息の長い支援が不可欠です。東日本大震災を経験し、多くの皆さまから支えていただいた本市として、最大限の支援を継続すべく、市議会、当局ともに尽力してまいりたいと存じます。
本定例会の開会にあたり、市長から令和6年度の施政方針の表明があり、以下、施政方針、提案された議案、市政の重要課題に関連して、質疑を行ってまいります。
施政方針
(新年度の位置づけ)
令和6年度はどのような一年であるべきか。施政方針からは、過去の成果は成果として、それに満足せず、さらに前に進むという前向きな心持ちを感じます。「令和6年度は、国内外に「仙台」を打ち出す絶好の機会」、「グローバルな視座に立ってまちづくりを進め、内外との交流を活性化させることでイノベーションを創出させることが不可欠」、「新たなチャレンジをスタートさせる画期となる一年」等々。外の世界に目を向ける、挑戦する。これまでの施政方針と比べても、極めて積極的な意思を感じますが、新年度をこのように位置づけた市長の想いと決意を伺います。
(ダイバーシティ)
市長はこのところ、「ダイバーシティの推進」に言及されております。施政方針でも、本市が内外から選ばれる都市となるために、ダイバーシティの観点からまちのあり様を見つめ直すことが必要と述べておられます。
世界に通用するまちづくり、そのために多様な力を取り込むという発想は理解しますが、ダイバーシティには、それこそ様々な立場、考え方、主張があります。市長の考えを、市民や職員が正しく理解しなければ、言葉だけが独り歩きしかねないことも、懸念するところであります。
近年、民間企業などでもダイバーシティの推進が言われますが、成果が見えにくい、ハラスメント発生のリスクがある、適切に取り組まないと逆効果になる、などの懸念も指摘されており、あいまいな認識のままダイバーシティを取り入れると、多様化の負の側面が強まる可能性があるとも言われております。
新年度は、まちづくり政策局にダイバーシティを推進する新たな組織が設置されるとのことです。あらためて市長の考える「ダイバーシティ」の内容、そして、このまちのあり様をどのように捉えなおして取り組むのか、明確にしておく必要があると考えますが、市長のお考えを伺います。
(東北の牽引)
施政方針では、東北との連携についても述べられています。一つは、東北絆まつりに関連して、東北各地の魅力をPRし交流人口の増加を図ること。もう一つが、DXに関連して、人口減少が進む東北の課題解決に向けて、各自治体との連携を深めながら東北の持続的な活力維持に取り組むということです。
そのためにも市長には、より積極的な姿勢が求められます。人材獲得にしても、あるいは企業誘致やインバウンドにしても、本市のみならず東北全体に魅力がなければ、国際的な競争の中で勝つことはできません。東北絆まつりの仙台開催、これだけが東北連携ではないと思います。
市長は新年度において、東北市長会の会長に就任されます。単に仙台市内のみではなく、東北についてのビジョンを持ち、本市が東北を牽引するとの気概を持って取り組むべきと考えますが、市長の所見を伺います。
予算編成
施政方針を具体化するための土台となる、第14号議案、令和6年度仙台市一般会計予算について伺います。
新年度予算は、「ひと中心のまちづくり」を世界に通じるステージへと押し上げるべく、「未来の担い手を育み、生き生きと学べる環境の充実」、「都市個性を生かした賑わい・活力の創出とグローバルな魅力の発信」、「安全・安心な暮らしを支え、自分らしく輝ける活躍を応援」の3つを柱に、予算を重点配分したとのことです。
長きにわたったコロナ禍を経て、少子高齢化や人口減少が進んでいくダイナミックな社会変化の潮流にあって、市長の目指すまちづくりを具現化するためにも、新年度予算は、これまで以上に重要な意味を持つと考えます。まずは、市長が新年度予算に込めたねらい、思いについて伺います。
新年度予算を総括的に見ると、一般会計においては総額6,481億円と、前年度に引き続き、過去最高の予算規模となっております。税収が堅調に伸びているとはいうものの、社会保障関係費は右肩上がりで増加しており、また、長引く物価高騰の影響もあって、厳しい予算編成を余儀なくされたと思うところですが、今般の予算編成においては、増大する歳出需要に対して、どのように対応したのか、伺います。
新年度の予算案とともに、今後10年間の本市の財政見通しも示され、相変わらず厳しい財政状況が続く見込みとなっております。持続した財政運営のためにも、将来を決して楽観視することなく、所要の経費を見積もった結果と理解しますが、それにしても3,838億円という収支不足には不安を感じざるを得ません。もう少しメリハリをつけてもよいのではと考えますが、今後の財政運営をいかに乗り切っていくのでしょうか。また、本庁舎建て替えや複合施設といった大規模事業が本格化していきますが、計画への影響はないのでしょうか、あわせて伺います。
音楽ホール・中心部震災メモリアル拠点複合施設
大規模事業に関連して、音楽ホール・中心部震災メモリアル拠点複合施設について伺います。このたび基本計画中間案が示されましたが、これは、基本構想をもとに、施設整備というステージに入っていく上で重要な意味を持つものと考えます。
策定過程では、特に音楽ホールについて、掘り下げた検討がなされたものと考えますが、改めて、この施設ならではの特性、アピールポイントは何なのか、新県民会館との差異なども含め伺います。
基本計画においても、整備事業費の見込額は約350億円と示されました。当局は、近年の建築単価の上昇などの社会の流れも織り込んだ試算であると説明しています。資材高騰や労務単価の上昇など、様々な要素を考慮すると、整備費はさらに増えていく可能性も否定できませんが、重要なのは、今後、設計、工事、運営体制の構築などのプロセスで、最新の検討状況や整備費の見込みについて、施設が産み出す価値、波及効果と合わせて市民に説明し、理解を得ながら進めることです。ご所見を伺います。
こうしたプロセスにおいて重要なのが、複合施設で展開される事業の中身です。音楽ホールと震災メモリアル拠点との複合施設という、世界で例を見ない施設から、何を創造し、発信していくかです。基本計画では、「仙台ならではの創造・発信」、「防災環境都市・仙台ならではの災害文化創造」といった表現が随所に見られますが、この「仙台ならでは」というのが何を意味するのか、事業展開について、現段階での構想、イメージを伺います。
子ども・子育て支援
施政方針の第一の柱に関連して、子ども・子育て支援について伺います。
本市は、昨年11月に、「仙台こども財団」を設立し、新年度には、民間企業や団体、財団等と連携して、子どもと子育てを応援する取り組みを全庁的に推進するため、こども若者局に「子育て応援都市推進課」を新設するとのことです。
新年度予算案は、「未来の担い手を育み、生き生きと学べる環境の充実」を柱の第一に掲げ、体制的にも、予算的にも、市長の並々ならぬ覚悟の表れと受け止めますが、市とこども財団が連携して「子育てが楽しいまち・仙台」の実現に向けて取り組んでいかねばなりません。どのようなビジョンのもと、市民に子育ての楽しさを実感してもらうのか、具体にどのように進めていくのかも含めて伺います。
先月23日、厚生労働省が発表した人口動態統計の速報値によれば、2023年1月から11月までの出生数は、前年同期比5.3%減の69万6886人となっており、11月までの出生数が70万人を割るのは、比較可能な2004年以降で初めてで、2023年通年の出生数は過去最少を更新する見通しです。
少子化・人口減少社会の進行は、まちの持続可能性に大きな影響を及ぼす看過できない課題であります。本市としても、これまで以上に少子化対策を強力に推し進めることが重要です。新年度、様々な事業が予定されているようですが、どのような考えのもと進めるのか伺います。
特別教室及び体育館空調等整備
子どもの教育環境づくりとして、予算計上されているエアコン設置について伺います。
連日の猛暑が続いた昨年の夏、学校においては、エアコンが設置されていない特別教室や体育館での授業、クラブ活動に影響があり、時間割を変更して比較的涼しい時間帯で授業を行うなど、余儀なくされました。
今後も同様の暑さが想定される中、予算案において、市立学校の特別教室及び体育館の空調整備に6億1,768万円が計上されたことは評価をします。まずは、特別教室及び体育館のエアコン整備の基本的な考え方と進め方について伺います。本市は学校数も多く、一度に進めることは難しいのかもしれませんが、新年度の具体的な予定を伺います。
体育館については大型冷風機を設置するとのことです。東日本大震災や能登半島地震を見ても分かるように、体育館は避難所の拠点であります。また、選挙の際は投票所にもなります。大型冷風機を導入する理由、どのような効果を期待しているのか伺います。
学校給食費無償化
次に、学校給食費の無償化について伺います。
今月の衆議院予算委員会で、総理が本件に関し、「全国ベースの実態調査をし、結果を6月までに公表する。実施状況の違いや法制面を含めた課題を整理して結論を出す」と答弁しています。議場の皆様もご承知のとおり、本市議会においては、令和5年第3回定例会において、国の負担で学校給食費の無償化の早期実現を求める意見書案が全会一致で可決され、国に提出いたしました。一方で、無償化に当たっては、多額の財源を要することもあり、自治体ごとの対応では限界があるのも事実であります。市として、国に対し、さらに強く要望していく必要があるものと考えますが、当局の見解を伺います。
新たな学生フリーパス制度・イクスカ
教育環境づくりの一環として、新たな学生フリーパス制度についても伺います。市長は施政方針において、宮城交通エリアの路線バスも乗り放題となるフリーパスの導入を明言されました。新たなフリーパスは、通学や余暇活動に至る学生の移動を支えるとともに、本市や周辺区域も加えた公共交通の利用促進に繋がるものと評価します。あらためて、本制度の概要・目的を伺います。
多くの学生に利用してもらい、持続可能な制度にしていくためにも、より使いやすい制度にしていく必要がありますが、現時点での利用枚数の見込みと、利用促進のための取り組みについて伺います。
フリーパスは、イクスカを活用して発行することとなります。イクスカは、本市の複雑なバス路線に対応した定期券や、敬老乗車証、ふれあい乗車証などにも対応し、公共交通の利便性向上に大きな役割を果たしていますが、残念ながらスイカ等の他社カードのようなモバイルサービスは実施していません。モバイル化には費用面等での課題があり、長期的な視点での検討が必要であることは理解しますが、利用者の使い勝手を良くするために、できることから対応すべきと考えます。交通局の考えを伺います。
バス事業の2024問題
公共交通に関わる課題について、第25号議案、仙台市自動車運送事業会計予算に関連して伺います。
本市バス事業においては、コロナ禍後の行動変容の影響により、乗車料収入が未だに以前の水準に達しておらず、さらに経費の増嵩も重なり、非常に厳しい経営状況が続いています。6年度の当初予算でも、経営改善を促進するために創設された新たな交通事業債の借り入れを10億円計上するなどしておりますが、資金不足比率は17%と、経営健全化団体の判断基準である20%に極めて近い水準となっています。
他方、いわゆる2024年問題として、社会的にトラックやバス運転手の人材不足がクローズアップされています。この4月には、運転手に係る労働時間等の改善のための基準が改正され、労働時間の規制が強化されることにより、働く方々の労働環境は改善される一方、運転手不足に拍車がかかる状況となっています。
こうした中、本市バス事業では、厳しい経営状況や運転手不足を背景として、新年度も一定の減便を行うと伺っております。しかしながら、より長期的視点に立ち、経営の改善とともに、慢性的な運転手不足へ対応し持続可能な事業運営を行っていくためには、バス路線のより抜本的な見直しが必要ではないかと考えます。また、人材確保に向け、最新技術を搭載した車両導入など、働く場としての魅力向上も必要と考えますが、当局の認識と今後の対応について伺います。
関連して、もう一点伺います。
一般ドライバーが自家用車を使って有償で乗客を運ぶライドシェア、いわゆる「白タク」は現行法令では禁止されておりますが、4月よりタクシー事業者の管理下という条件付きで一部解禁されることになりました。ライドシェアは、主要な観光地におけるタクシー不足への対応や、山間部など交通空白地における移動の足の確保策として注目されている一方、安全面での懸念もあり、不安視する声も聞かれます。
国では今後、タクシー事業者以外の参入も含めた全面解禁についても検討を進めることになっていますが、本市におけるタクシーの供給状況と、地域に見合ったライドシェアに対する当局のご所見を伺います。
施政方針の第二の柱は、「都市個性を生かした賑わい・活力の創出とグローバルな魅力の発信」であります。これに関連して数点伺います。
半導体工場立地への対応
まちの活力を高める上では、そこで働き、活発な経済活動を支える人の定着が重要であり、企業誘致はその起爆剤となります。昨年10月に、台湾の半導体製造大手のPSMCとSBIホールディングスが共同で設立したJSMCが、半導体工場を宮城県大衡村に建設することを発表しました。この工場は、総投資額が約8,000億円、従業員数が約1,200人と、大規模なものであり、関連企業の立地はもとより、従業員とその家族の移住や雇用の増加など、本市に対しても大きな経済波及効果が見込まれます。これが仙台市主導でなかったことはかなり残念ではありますが、立地表明以降、どのような取り組みを進めてきたのか伺います。
半導体工場の誘致については、広い土地が必要とされるなど、本市において適地を見つけることは難しいとは思いますが、研究開発拠点など関連企業の誘致の可能性はあると考えられます。今回の半導体工場の進出をチャンスとして、仙台を軸とした、関連企業の積極的な誘致につなげるべきと考えますが、今後の企業誘致をどのような戦略で進めていくのか所見を伺います。
リサーチコンプレックス形成
いよいよ次世代放射光施設ナノテラスが令和6年4月より本格稼働を迎えます。ナノテラスの有する世界最先端の性能を本市への企業誘致や研究開発機能の集積に結び付けることも重要と考えます。
施政方針では、ナノテラスの運用開始を契機として、リサーチコンプレックスの形成に向けた企業誘致を進め、産学官協働によるイノベーション創出の基盤づくりを推進すると述べられていますが、どのように取り組むのか伺います。
また、ナノテラスの立地を本市の経済活性化に活かすには、地元企業に使っていただくことが不可欠でありますが、本市の持つ利用権を中小企業に使っていただくための取り組みについて伺います。
特に私は、軟X線に強みを持ち、軟らかい物の分析に適しているナノテラスの特徴を踏まえますと、東北の大きな魅力であり、基幹産業である農水産や食の分野は、有望なターゲットであると確信しております。活用の見通しと活用促進に向けた今後の取り組みについて伺います。
観光戦略
次に、観光施策について伺います。
市長が「観光再生元年」と位置づけた今年度も1年が過ぎようとしています。コロナ禍で大幅に落ち込んだ交流人口の回復を図るべく、様々な取り組みを展開してきたと思いますが、取り巻く環境は刻一刻と変わっていきます。いわゆるゴールデンルートの後追いをするだけでは競争に打ち勝つことはできません。今後ナノテラスや大衡村の半導体工場立地を契機として、ビジネス関係のインバンドが期待されますが、観光面においては、海外のみならず国内からの誘客にこそ力を入れる必要があると私は考えます。また、今年は7年ぶりに仙台で東北絆まつりが開催されますが、今後の展望も含め、新年度における観光の戦略をどう描いているのか、またその先のビジョンも含め伺います。
宿泊税
都市間競争がますます激化する中、仙台が選ばれる観光都市としてさらに発展していくためには、観光施策の一層の強化と、安定的な財源の確保は極めて重要であります。
こうした中、今後の施策の方向性と財源のあり方を検討する「交流人口拡大推進検討会議」が昨年11月に再開し、精力的に議論が進められております。今月5日の会議では、宿泊税導入の方向性と、税率なども含めた具体の制度設計案が提示されましたが、まず、この案を提示するに至った基本的な考え方について伺います。
宿泊税については、宮城県が令和2年2月に条例案を県議会へ提出していましたが、コロナの収束を経て、あらためて同様の内容での提出に向け準備が進められているところです。県との調整状況はどうなっているのか、また県との調整も含め、宿泊税導入に向けた今後の進め方、スケジュールを伺います。
観光を基軸とした交流人口の拡大は、仙台・東北の未来にとって不可欠なものであり、その意味で、安定的な財源を確保し、取り組みを強化していく方向性には大いに賛同するものです。宿泊税を活用し、どのように取り組みを強化していく考えか、市長の意気込みを伺います。
電力ビル街区の再開発
第47号議案、仙台市地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の改正に関連して、電力ビル街区の再開発について伺います。
令和元年度に都心再構築プロジェクトが始まり、第一号案件であるNTTアーバンネット仙台中央ビルが昨年11月に竣工し、その後も施策を活用した案件の竣工が続いております。ナノテラスの本格稼働や、スタートアップ拠点の供用開始など、新年度は都心部における経済活性化の契機となる動きが本格化するところであり、まさに、この機会に、民間開発の連鎖を生み出し都心のさらなる機能強化を図るべきであります。
今回、地区計画の見直しがなされる電力ビル街区での再開発事業は、これまでに類を見ない大規模な事業であり、都心再構築プロジェクトにより完成した複数の開発に続き、都心の機能強化にいかにつなげていけるかが重要と考えますが、再開発事業の概要と、まちづくりへの波及効果について伺います。
都心の回遊性
都心再構築プロジェクトの公表以降、電力ビル街区を含めた5件の施策活用案件が動き、一部は完成も迎え、さらに、勾当台・定禅寺通エリアでは、市役所本庁舎の建替えや、仙台第一生命ビルの建て替え公表など、都心での開発の広がりが見えてきました。こうしたまちなかの拠点整備が各地で進む一方で、それが点の開発だけでは都市の賑わいは生まれてこないと考えます。本市の都心全体の賑わいを高めるためには、点と点とを「線で」結び、さらに面的な広がりを持たせることで、回遊性を向上させ大きな人の流れを生み出していく取り組みが必要と考えますが、ご所見を伺います。
杜の都環境プラン(仙台市環境基本計画)の改定
施政方針の第二の柱に関連して、第30号議案「仙台市環境基本計画に関する件」について伺います。
脱炭素社会の実現は世界的に喫緊の課題であります。当局では、現在の国際情勢や、国の温室効果ガス削減目標の引き上げ等を踏まえ、令和3年3月に策定した「仙台市環境基本計画」について、令和7年度の中間評価を待たず改定することとし、2030年度の温室効果ガス削減目標を、現行の35%削減から、55%削減に大きく引き上げるとのことです。また、昨年11月には、国から「脱炭素先行地域」にも選定され、新年度から加速度的に取り組んでいくことになり、脱炭素都市の実現に向けた市長の意気込みを伺います。
2030年度というのは決して遠い未来ではなく、今後、わずか7年の間に、温室効果ガス排出量を、現状のおよそ半分にしなければなりません。
現実的にはかなりハードルが高いと感じますが、目標達成のためには、効果的な施策を、的確に展開することが重要です。また、行政だけで実現することは困難であり、事業者など様々なステークホルダーとの連携が不可欠です。計画改定の初年度である新年度は、どのような取り組みに力を入れていくのか伺います。
施政方針の第三の柱、「安全・安心な暮らしを支え、自分らしく輝ける活躍を応援」についても、関連して数点伺います。
救急需要対策
まず、市民の安全安心の確保を図る上で大変重要な役割を担う救急業務について伺います。
本市ではここ数年救急件数が増加の一途を辿っており、令和4年の救急件数が初めて6万件超えとなりましたが、令和5年は、これを上回る6万4,830件と、一向に落ち着く気配がありません。
消防局では令和4年4月に、我が会派が提案し実現に至ったデイタイム救急隊の運用を開始したほか、昨年にはさらなる対策として予備の救急車を2台増強し、通常の救急隊と臨時救急隊をあわせて最大で39隊運用できる体制を整え対処している状況と伺っております。
現場の最前線で常に困難な状況に直面している救急隊の方々の活動に思いを致すと同時に、さらなる体制の強化が必要であるとの認識をもっておりましたが、今般、市長は施政方針の中で「救急隊の増隊」を明言されました。この判断に至った経緯と増隊の内容を伺います。
また、救急隊増隊に加えて、効率的かつ円滑な救急搬送も肝要と考えます。引き続き増加が見込まれる救急要請に対して、総合的な救急需要対策として今後どのようなことをお考えなのか、あわせてお示しください。
敬老乗車証
次に、高齢者福祉の向上に関連して、第39号議案仙台市敬老乗車証条例の一部を改正する条例について数点伺います。
敬老乗車証は、高齢者の社会参加の促進に寄与してきた重要な制度ですが、毎年20億円以上の事業費の大部分は一般財源です。医療や介護など義務的経費の増加が見込まれる中においても、将来にわたりご利用頂くためには、持続性確保に向けた見直しを速やかに進める時期と考えます。
今般、最終案をとりまとめ、本定例会への提案に至ったところですが、あらためて、背景や提案までの経過について伺います。条例案は、原則の利用者負担割合を25%に改正する内容とですが、その根拠についても伺います。また、見直し中間案に係るパブリックコメントでは600件を超える意見が寄せられたようですが、どのように総括しているのか伺います。
新制度の施行を令和6年10月に予定しておりますが、周知は幅広く行う必要があります。高齢者の中には、対応できるまでに時間を要する方もいることを考慮すると、これまで以上に丁寧な周知が欠かせないと考えますが、今後の対応を伺います。
高齢者施策全般に係る事業費の増加が見込まれる中、高齢者の日常生活を支える各種施策の持続性の確保が課題となります。
ここ10年で高齢者の行動様式や考え方も変わっているほか、自動運転や顔認証などの技術の進歩をはじめ、社会環境の急速な変化が訪れています。これからの10年、さらにはその先の将来を見据えながら、施策のあり方を検討する必要があると考えますが、当局の認識を伺います。
4病院
市民の健康を守り、安心な暮らしを支える最重要課題の一つである4病院再編について伺います。
先月16日に、厚生労働省は、仙台赤十字病院と県立がんセンターについて「重点支援区域」の対象に選定しました。全国で8例目とのことですが、今回初めて「条件」が2点示されております。1点目は「仙台市をはじめとする関係自治体に丁寧に説明を行い、理解を得ること」、2点目が「医療機能の再編等により影響を受ける地域住民に丁寧に説明を行い、理解を得ること」です。
2点目に関しては、基本合意ありきとも言える住民説明会の開催など、県はあまりにも誠意を欠く進め方と言わざるを得ず、当然の指摘であります。
1点目の条件は、本市がいわば当事者だが、受け止めについて市長の所見を伺います。
本市は先だって、県に対し、県市間での協議を要請しました。なぜこのタイミングで要請することとしたのか、県に対して何を求め、どのような成果を得ようとするのか伺います。
東北労災病院と県立精神医療センターの移転・合築案については、患者やその家族、医療関係者からの疑問の声が、さらに大きく上がっています。
東北労災病院は、本市の重要な拠点病院の一つであり、移転となれば大きな影響があることは容易に想像できます。精神医療センターに関しては、県は、名取市に分院を設けて仙南の患者をフォローする、としていますが、そこまでして富谷市に移転させる必要性があるのか、県内の精神医療体制をどのように構築するのか、などの点について、宮城県精神保健福祉審議会の議論も停滞し、混迷を深めています。これでは関係者の理解を得るのは相当難しいと思います。
県は年度内の合意を目指し、強引に協議を進めることも考えられますが、日赤・がんセンターの統合に対し国が付した2つの条件は、東北労災と精神医療センターについても、当然必要です。県は、国から言われるまでもなく丁寧に進めていくべきです。本市としても、具体的に考えを整理して県に示すなど、必要な対応を求めるべきだと考えますが、市長の見解を伺います。
中央卸売市場の再整備
第三の柱に関連して、中央卸売市場の再整備についても伺います。
本市の中央卸売市場は、東北全体の食の流通拠点として大きな役割を果たしてきましたが、施設の老朽化に加え、コールドチェーン化への対応や衛生管理基準の高度化などの社会的な要請に十分対応できていない状況もあります。
こうした中、昨年度、現地建替えの方針を決定し、今年度は再整備検討委員会を設置し、市場関係者や有識者等の意見を伺いながら、基本構想の策定を進めております。
業務を継続しながら再整備を進めるため、全体工事の完了までには相当な期間を要する見込みですが、その間にも市場を取り巻く環境は刻々と変化していきます。2024年問題への対応をはじめ、時代環境を捉えた長期的なビジョンが必要であることは言うまでもありません。また、東北の拠点市場として、仙台・東北ならではの特色ある市場を目指すべきであります。再整備にあたってのコンセプトや方向性を伺います。今後の事業のスケジュールについても具体的にお示しください。
再整備にあたっては、これまで市場が果たしてきた役割に加え、賑わいの創出といった観点が求められます。現在も飲食街はありますが、広く市民に開かれているとは言えない状況です。
東京の豊洲市場では、飲食店や物販店が賑わいを見せ、温浴施設も今般開業しました。豊洲までとは言いませんが、例えば、本市でも、東北の魅力ある農水産物を直接味わえるよう、飲食・物販施設の整備も検討してはいかがでしょうか。
私は、東北の一番のよさは農業や水産業にあると再三指摘してまいりました。賑わいや集客機能の充実を図り、東北の豊かな食材の魅力を広く発信していくことは、東北の基幹産業である一次産業の活性化につながるものであり、国内外から観光客を呼び込む有力なコンテンツにもなりえると考えますが、所見を伺います。
DX推進
最後に、施政方針で市長が述べておられる行政運営の改革に関連して、DX推進について伺います。
人口減少局面を迎える中で、行政サービスを安定的に維持・向上していくためにも、デジタル化による市役所変革は不可欠であり、計画を実行に移すデジタル人材の確保は、最も重要な観点のひとつです。
外部人材の活用は、技術進化の激しいデジタル分野において有効である一方で、それだけに与える影響も大きく、考え方や感覚、本市の目指すべき方向に照らして、相応しい人材を登用する視点が重要です。新たなDX推進計画を策定する重要な時期であった今年度、CDO補佐官とデジタル推進専門官を登用しましたが、外部人材の評価の総括を伺います。
日進月歩するデジタル技術を本市業務の現場に取り入れていくためには、外部人材活用だけでは円滑に進みません。職員がデジタル時代に適応して業務を変えていくことこそが必要です。それには、職員の確保・育成が鍵となりますが、今後の取り組みについて伺います。
そしてデジタルの利便性を市民の皆様に実感していただくことが何により重要です。特に窓口での長い待ち時間や煩わしい手続きなどをデジタルで最優先に変革しなければならないと考えますが、今後の取り組みについて伺います。
これまでのような、行政の縦割りの姿勢では、DXは成し遂げられません。民間の手続きは、殆どがスマートフォンでできるのが当たり前の時代です。乗り遅れてはなりません。泉区役所、本庁舎の建て替えも控えています。この機を逃さずに、市役所のデジタル変革を危機感を持って、加速していただきたいと考えます。あらためて新たなDX推進計画に臨む意気込みを伺います。
業務改革の推進
一昨年から引き続く事務ミスの発生は、市政の推進に当たって極めて憂慮すべきことです。今議会前にも、補正予算の事前説明資料の一部に数値の誤りがあり、修正の報告がありました。これまで積み重なったミスにより、いまや市民の信頼は大きく失われており、一刻も早く信頼を回復するために、本気になって取り組まなければなりません。
市長は、施政方針で、市民ニーズに向き合い「ひと」中心の業務に注力できるよう業務改革を推し進めるとしています。業務改革は、業務プロセスの最適化や効率化を図るものとのことですが、単なる事務の簡素化にとどまらず、その成果は確実に市民サービスの向上につなげていかなくてはなりません。過去最大規模という新年度予算に掲げる各般の施策を着実に推し進めるためにも、業務改革を強力に推進し、事務事業の見直しによる効率化と適正化を進める必要があると考えますが、どのように取り組んでいくのか伺います。
以上、ご当局の明快な答弁を求め、代表質疑とします。
ご清聴ありがとうございました。
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